著者
河野 英子
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.82-95, 2012-06-20 (Released:2022-08-27)
参考文献数
35

本研究は,関係的組織能力という考え方を中心にすえ,多角化分野で競争優位を構築したプロセスについて明らかにするものである.自動車用ばねからHDD用サスペンションへと多角化し,突出した成功例となった日本発条の事例を取り上げ,そのプロセスをやや長期に渡って分析した.その結果,既存事業で培ってきた組織能力をベースにしながら,進出先分野における特定企業との多段階の相互作用が,当該分野で必要とされる関係的組織能力の発展段階的な形成に大きな意味をもつことを明らかにした.
著者
河野 英子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.8, pp.413-432, 2015-08-25 (Released:2016-08-25)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本研究は、つながりという視点をもとに、多角化事業において競争優位を構築したプロセスについて明らかにするものである。自動車用ねじから医療機器への多角化成功例となった東海部品工業の事例を取り上げ、そのプロセスを分析した。そこでは、基層的な能力を土台に、弱いつながりの広範囲な形成とその強化のもとで能力を高め、医療機器で成功するために乗り越えるべき三つの壁―技術、規制、市場―を段階的に乗り越えることが可能となったという発見事実を論じていく。
著者
河野 英子 竹内 竜介 大沼 雅也 福嶋 路
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、新しい医療の制度化と国際的普及の事例分析を通じて、制度化過程とその変容を明らかにするものである。対象とするのは、自動体外除細動器(AED)を使用した一般市民による救命を意味する「市民による除細動(PAD)」である。PADの制度化と国際的な普及プロセスについて地域間比較を行う。多様な制度や組織・集団と関係する医療産業は、その重要性・特異性に比して社会科学的な研究が相対的に少ないなか、本研究成果は制度論に関する議論への貢献が期待できる。
著者
河野 英子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.179-198, 2014-05-25 (Released:2015-05-25)
参考文献数
35

本論文は、研究開発型企業として長期に発展してきた事例を、状況的両利きの組織という概念に立脚し分析したものである。知識の探索と活用を追求しながらどのように成果を実現してきたのか、その動態的組織適応を長期に観察した。その結果、そこでは社会的支援と成果管理の両者が高次元となるような関連施策の段階的導入と両者の相互作用が枢要であることが明らかになった。