著者
横丸 敏彦 泉 知論 高橋 篤司 梶谷 洋司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.72, pp.1-8, 1995-07-20

LUTをベースとしたFPGAのテクノロジーマッピングに登場する,2段部分論理回路を最小数のLUTに割り当てる問題は,共通信号線を考慮しない場合,整数ビンパッキング問題となる.整数ビンパッキング問題ではビンの容量を固定した場合,全探索アルゴリズムにより多項式時間で最適解が求まることがよく知られているが,実用性に欠ける.本文では,整数ビンパッキング問題の高速近似アルゴリズムであるFFD法が容量を6以下に固定した時に最適解を求めることを示す.また,入力を制限することにより,容量を7および8に固定した時にFFD法が最適解を与えることを示し,容量を8以下に固定した場合に高速に最適解を求める多項式時間アルゴリズムを提案する.In technology mapping of Look Up Table (LUT) based FPGA, the problem of mapping a two-level subcircuit into LUTs is formulated as the Integer Bin Packing Problem without taking account of the advantage of input signals connected to more than one gate. It is known that Integer Bin Packig Problem can be solved in polynomial time by exhaustive search when the size of bins is fixed, however, which is not practical. In this paper, we show that First Fit Decreasing (FFD) which is a fast approximation algorithm solves Integer Bin Packing Problem when the size of bins is fixed to less than or equal to 6. We show that FFD gives optimal solutions for some class of instances when the size of bins is fixed to 7 or 8, and suggest a polynomial time algorithm which solves fast when the size of bins is fixed to less than or equal to 8.
著者
荒川 尚久 泉 知論
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.70, pp.131-136, 2012-05-22
参考文献数
13

大容量化するFPGAの活用には設計生産性の向上が不可欠であり、抽象度の高い言語と高位合成系の活用が求められる。高位合成のための最適化アルゴリズムや設計支援ツールは実用段階に入ってきているが、それらを効果的に活用し品質の良い回路を得るにはノウハウが必要である。我々は、高位合成系を活用しつつ設計者の工夫や英知を効果的に反映させる設計方法論、記述法の確立を目指している。本稿では、一般にはハードウェア化が難しいとされるゲーム思考アルゴリズムを対象として、高位合成系を用いた設計試行を行う。ボードゲームConnect6を対象に、ソフトウェアプログラムの作成から、単純移植、記述の工夫による最適化を行う。記述の工夫により、回路規模が53%削減できた。
著者
初田 慎弥 大野 真史 泉 知論 孟 林
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 41.27 映像表現&コンピュータグラフィックス (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.25-28, 2017 (Released:2021-08-25)
参考文献数
12

外来生物であるアライグマが国内で繁殖し,農作物や建造物などに被害を及ぼしている.我々は野外カメラ・監視カメラの高度化により,生態や分布の分析,迅速かつ的確な対応に貢献することを目指す.本稿では,監視カメラ等組込みシステム向けの害獣の自動検出手法を検討する.一般的な画像認識手法に倣い,特徴量抽出にはHOG (Histograms of Oriented Gradients) を用い,分類にはSVM (Support Vector Machine)またはNN (Neural Network)を用いる.併せて近年注目されている深層学習の一種であるCNN (Convolutional Neural Network) を用いた特徴量抽出・分類も試行する.飼育施設で撮影したアライグマおよびタヌキの画像を学習・テストデータとし,HOG+SVM では 89.8%, HOG+NN では 88.5%, CNN では94.5% の正答率を得た.PC上での評価では,実行時間はそれぞれ111ms, 0.681ms, 11.9ms であった.
著者
泉 知論 吉川 寿広 荒木 大
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2010-MBL-53, no.17, pp.1-7, 2010-03-19

システム設計の効率化を求めて,動作記述から回路を自動的に合成する動作合成の技術が実用化されてきており,また,より抽象度の高いシステムレベルの仕様記述言語も提案されている.一方で,高度な最適化のため,あるいは,外部回路とのインターフェースをとるため,サイクル精度のタイミングまで考慮した詳細な設計が求められる場面も依然存在する.仕様記述によるモデリングと検証,ハードウェア化する部分については動作記述からの回路合成,そして必要に応じてサイクル精度記述による最適化,と設計を進めていくにあたって,記述言語や処理系の断絶なく設計レベルを徐々に深めていくことが望ましい.そこで,仕様記述言語 SpecC では 2.0 版でレジスタ転送レベル記述のための言語仕様が追加されている.しかし一般には,シミュレータやシンセサイザなどの処理系が必ずしも言語仕様上可能なすべての記述に対応するわけではない.そこで,Spec-C 2.0 と現在利用可能なシミュレータを対象に,基本的な回路例を取り上げながら,サイクル精度の記述を試行し,記述法を確認していく.
著者
辻野 孝輔 鴫谷 篤人 小林 亙 泉 知論 尾上 孝雄 中村 行宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.333, pp.55-60, 2003-09-22

近年、2チャンネル・ステレオを用いた三次元音響効果システムが研究、開発されている。こうしたシステムにおいては、頭部伝達関数(HRTF: Head Related Transfer Function)を用いて音源の立体感を表現することが一般的であるが、従来の手法には、演算量が大きくリアルタイム実装に適さないという問題点があった。これに対し、頭部伝達関数の特徴が周波数帯域によって異なることを利用した、組み込み実装に適した低演算量のアルゴリズムが提案されている。我々は、このアルゴリズムを利用した音像定位処理の高精度実装を行い、また、実装したシステム上で移動音を自然に表現するための音像位置の補間手法の検討および評価を行ったので、これを報告する。
著者
泉 知論 山内 寛紀
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.3_45-3_52, 2009-01-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
19

工学の技術を医療診断と治療に生かす方向の一つとして、超小形ロボットを使って、生体情報をモニタリングしたり、体内病巣を治療したりする、いわゆる低侵襲医療が活発化してきている。これは、人形ロボットと同様、工学の幅広い分野に関連している。五感の役割をする各種マイクロセンサ技術、センサ情報の信号処理技術、自立移動を実現するドライブ技術、超小形バッテリや燃料発電及び生体発電などのエネルギー技術、生体表面に優しい材料技術、ユビキタス無線通信技術、そして、これらを実装するLSI技術やフィルム基板実装技術などである。ここでは、実用化の先陣を切っているカプセル内視鏡と生体センサの動向を紹介する。また、これらマイクロロボットや生体センサの頭脳として開発した、私たちの体内コンピュータLSIを一例として紹介し、その応用例と発展の展望を述べる。