著者
五島 史行 守本 倫子 泰地 秀信
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.91-96, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
17

小児心因性起立, 歩行障害の症例を呈示し, 文献的考察を行った. 症例1は10歳男児で心因性発熱, 心因性視力障害を合併した症例で, 発症後約4カ月経過して症状は改善した. 症例2は10歳男児で, 頭痛, 微熱, 倦怠感, 心因性視覚障害を合併したものであり, 約5カ月経過して症状が改善した. 小児の心因性起立, 歩行障害の頻度は高いものではないが, 診察に際しては臨床的特徴を熟知しておく必要がある. 治療にはある程度の期間が必要である. 器質的疾患を除外し, 診断を確定した後は呈示した症例のように治療を急がず, 時間をかけた対応が必要である.
著者
泰地 秀信 守本 倫子
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.115, no.7, pp.676-681, 2012 (Released:2012-09-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

小児では突発難聴を来す疾患が成人とは異なり, また突発性難聴に比べて頻度が高い. 小児突発難聴20例の臨床像を検討した. 小児の突発難聴では心因性難聴がかなり多いので, 他覚的聴力検査を組み合わせて診断を行うべきである. 純音聴力検査とDPOAEの結果に乖離がみられる場合は心因性難聴が強く疑われるが, 確定診断のためにはABR検査が必要である. ムンプスでは不顕性感染が30~40%にみられるため, 耳下腺腫脹のないムンプス難聴例がある. 小児の急性感音難聴ではムンプスの罹患歴・予防接種歴を問診するべきである. 前庭水管拡大症も突発難聴において考えておくべき疾患であり, 低音域のA-B gapを伴う高音障害型のオージオグラムでは本症を疑う.
著者
神崎 仁 泰地 秀信 岡本 康秀 原田 竜彦
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.74-80, 2019-02-28 (Released:2019-03-14)
参考文献数
14

要旨: 目的; 耳鳴を主訴とする 4kHz, 8kHz のみの感音難聴症例の中 THI>18 以上の耳鳴に対する Sound generator 付き補聴器 (HA 群) とスマートフォンアプリ (SM 群) の音の効果を比較し評価した。方法; 23例の耳鳴を主訴とする高音域感音難聴症例を HA 群 9例と SM 群 14例の2群に分けた。耳鳴の効果は THI, 自覚的耳鳴評価 (大きさ, わずらわしさ, 生活への影響, 苦痛度) と自覚的改善度で評価した。結果; 治療後両群ともに, それぞれ THI スコア, 自覚的耳鳴評価スコア, 自覚的改善度は有意に改善した。しかし, 治療前後の上記項目のスコアの差については両群間には差がなかった。HA 群では治療前 4kHz の聴力レベルは SM 群より高度で, 耳鳴持続期間も長かった。結論; 聴覚系への長期の音響療法は SG 付き補聴器であれ, スマートフォンアプリであれ耳鳴を改善させると思われる。高音域 (4, 8kHz) の耳鳴患者には両者を比較して選択させることが推奨される。選択にあたっては 4kHzの聴力レベル, 耳鳴の持続期間, 補聴器のコスト, 音響療法を仕事中に必要とするか, 帰宅後にのみ必要とするかを考慮する。
著者
大原 卓哉 泰地 秀信 守本 倫子 本村 朋子 松永 達雄
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.289-294, 2011

Auditory neuropathy spectrum disorder (以下ANSDと略) は, 耳音響放射が正常であるにもかかわらずABRが無反応あるいは異常となる病態であり, 聴力に比し語音聴取力が低いことが特徴とされている。ANSDの遺伝的原因の解明が近年進んできており, 遺伝的原因として<I>OTOF</I>遺伝子変異などの報告がある。ANSDに対する根本的治療は確立されておらず, 人工内耳の効果や適応などについてまだ意見の一致がみられていない点が多い。今回我々は<I>OTOF</I>遺伝子変異を認めるANSDの乳幼児3症例に対し人工内耳埋込術を施行し, その臨床経過, 装用効果について検討したので報告する。3症例ともDPOAE両側正常, ABR両側無反応であり遺伝子検査にて<I>OTOF</I>遺伝子変異を認めた。補聴器装用効果は不十分であったが, 人工内耳装用により良好な聴取能が得られており言語も発達してきている。