著者
洲見 光男
出版者
明治大学社会科学研究所
雑誌
明治大学社会科学研究所紀要 (ISSN:03895971)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.159-172, 2007-10

任意捜査は、その呼び名から自由に許されるかのように思われがちであるが、程度および方法において「必要な」限度を超えることは許されない(197条1項。なお、198条)。他面、任意捜査は、相手方の承諾・協力を得て行う捜査であって、何ら個人の権利・利益を制約するものではないことを想像させるが、実は、それは「強制捜査ではない」ことを意味するにとどまり、個人の権利・利益を制約し得る場合があるとされているω。捜索・押収などによる強制捜査は、広い意味で、個人情報の収集活動と捉えることもできるが、これについては憲法および刑事訴訟法に規定が置かれており、手続・要件の「法定主義」(憲法31条、刑訴法197条1項但書)および「令状主義」(憲法35条、刑訴法218条等)による規制が加えられている。
著者
洲見 光男
出版者
明治大学法律研究所
雑誌
法律論叢 (ISSN:03895947)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.41-69, 2007-03

アメリカ合衆国(連邦)憲法修正四条は、捜索(search)、押収・身体拘束(seizure)が合理的である。(reasonable)ことを要求しており、違法行為の嫌疑に基づかない捜索等は、原則として、同条に違反すると解されている。嫌疑によらない捜索等が許されるのは、法執行の通常の必要を超える「特別の必要」を確保するための捜索や行政目的で行われる捜索(立入り検査)、不法入国者の取締り・飲酒運転者の取締りを目的とした自動車検問所における短時分の停止(身体拘束)など、例外的な場合に限られている。合衆国(連邦)最高裁は、二〇〇六年六月、Samson判決を言い渡した。同判決は、違法行為の嫌疑なしに仮釈放中の者の身体を捜索することを許すカリフォルニア州法の規定が修正四条に違反しないかどうかに関し、連邦最高裁の判断を示したものである。
著者
奥村 正雄 緒方 あゆみ 川本 哲郎 洲見 光男
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究課題の比較法研究に欠かせないと判断したイギリス刑法の教科書(Andrew Ashworth and Jeremy Horder, Principles of Criminal Law 7thed., Oxford University Press 2013)を協力者を得て翻訳作業を行い、同志社法学に7号に分けて14本の原稿が掲載中である。この作業を通して、本研究課題のイギリスにおける背景事情と刑事法との関係等の理解が、本研究を実行している者だけではなく、読者にも一層深まるであろう。各人の研究成果として、奥村正雄「少年法の適用年齢の引下げを巡る議論ー犯罪被害者等への配慮の視点を中心にー」同志社法学396Ⅱ号(2018年)pp.833-867は、本研究課題との直接的関連はないが、保護処分の妥当性の問題、是非善悪の弁別能力の有無・程度の問題の検討は、未成年の精神障害ないし知的障害を有する加害者の非行と社会復帰支援、それらの傷害を有する少年加害者の被害者支援のあり方を考えるうえで、重要である。川本哲郎「犯罪被害者の人権と被害者支援」同志社法学396Ⅱ号(2018年) pp.813-832は、犯罪被害者支援のあり方について、2004年の犯罪被害者等基本法及び2005年の犯罪被害者等基本計画によって、精神障害や知的障害に起因する犯罪の被害者に対する支援も同等の支援を受けるべき権利があることを主張する。洲見光男「アメリカにおける取調べの規制―自白の証拠能力の制限―」同志社法学396Ⅱ号(2018年)pp.870-889は、知的障害を有する被疑者の取調べにおける捜査官の誘導等による自白の証拠能力の問題点を検討する。緒方あゆみ「摂食障害と万引きに関する一考察」同志社法学396Ⅱ号(2018年)pp.1148-1187は、万引き事犯における摂食障害との関係性を分析している。
著者
洲見 光男
出版者
明治大学法科大学院
雑誌
明治大学法科大学院論集
巻号頁・発行日
no.2, pp.83-102, 2007-03

アメリカ合衆国(連邦)憲法修正4条(1)は,前段で「不合理な(unreasonable)捜索・押収(身体拘束)」を禁止し(以下,「合理性条項」という),後段で,令状は「相当な理由(probable cause)」に基づいて発せられる必要があること,および,捜索場所・押収目的物(身体拘束対象者)が特定されていることなど令状の発付要件を規定している(以下,「令状条項」という)。「不合理な」捜索・押収とは何か,それに対しどのような保護が与えられるのかについては,解釈に委ねられている。①「ルールに基礎を置く(rule-based)」アプローチは,修正4条が令状主義を採用したものと解し,令状によらない捜索・押収は,令状主義の例外にあたる場合を除いて,不合理であるとする。