50 0 0 0 OA 水痘ワクチン

著者
浅野 喜造
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.249-256, 2009-12-24 (Released:2010-07-03)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

1974年に岡株水痘ワクチンの成績がLancet誌に公表され30年以上が経過した.米国では同ワクチンを定期接種化し10年以上が経過し,接種率は約90%に到達しており,水痘が過去の疾患になりつつある.しかるに水痘ワクチンの開発国である我が国では未だ任意接種のままで接種率は40%を超えたものの水痘の流行は以前のままである.水痘ワクチンの定期接種化は小児のみならず国民すべてに有益であり,公衆衛生学的にも医療経済学的にも意義の高いことは同ワクチンが世界中で用いられていることからも明らかであろう.
著者
菅原 民枝 大日 康史 多屋 馨子 及川 馨 羽根田 紀幸 菊池 清 加藤 文英 山口 清次 吉川 哲史 中野 貴司 庵原 俊昭 堤 裕幸 浅野 喜造 神谷 齊 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.555-561, 2007-09-20 (Released:2011-05-20)
参考文献数
19
被引用文献数
6 8

目的: 現在ムンプスワクチンの予防接種は任意接種であるが, 定期接種化された場合の費用対効果分析を行った.方法: 本研究は, 外来診療における医療費と家族の看護負担に関する調査を行い, 入院や後遺症死亡例の重症化例の情報を加味した.外来診療の医療費と家族看護に関する調査は, 平成16年6月15日から平成18年1月15日までの19カ月間, 人口10万人都市で, 小児科を標榜する9診療所と県立病院大学付属病院の11医療機関で実施した.入院例調査は, 平成16年1月から平成17年12月までの2年間, ムンプス及びムンプスワクチン関連により24時間以上入院あるいは死亡した例について実施した.結果: 外来診療に関する回収は189枚家族票112枚であった. 外来診療の疾病負担は, 家族看護費用も含めて平均値471億円 (最大値2, 331億円, 最小値6億円) であった.ムンプスの入院患者数は全国で4596例と推測した. 入院は, 家族看護も含めて平均値13.5億円であった. 後遺症, 死亡例を加え総疾病負担は, 平均値525億円 (最大値2434億円, 最小値109億円) であった.費用対効果分析では, 予防接種費用を6000円とすると, 増分便益費用比は, 5.2であり, 95%信頼区間下限においても1を上回っていた.考察: 増分便益費用比は1を上回っており, 定期接種化によってもたされる追加的な便益が, 追加的な費用を上回っていた. したがって, ムンプスワクチンの定期接種化に向けて政策的根拠が確認された.