著者
浜 日出夫
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.465-480, 2010-03-31

近代社会は,均質で空虚な空間のなかに位置する社会がやはり均質で空虚な時間のなかを前進していくものとして自らの姿を想像してきた.そして,近代社会の自己認識として成立した社会学もまた社会の像をそのようなものとして描きつづけてきた.<br>本稿では,「水平に流れ去る時間」という近代的な時間の把握に対して,「垂直に積み重なる時間」というもう1つの時間のとらえかたを,E. フッサール・A. シュッツ・M. アルヴァックスらを手がかりとして考察する.<br>フッサール・シュッツ・アルヴァックスによれば,過去は流れ去ってしまうのではなく,現在のうちに積み重なり保持されている.フッサールは,過去を現在のうちに保持する過去把持と想起という作用を見いだした.またシュッツは,この作用が他者経験においても働いていることを明らかにし,社会的世界においても過去が積み重なっていくことを示した.アルヴァックスによれば,過去は空間のうちに痕跡として刻まれ,この痕跡を通して集合的に保持される.<br>この考察を通して,時間が場所と結びつき,また記憶が空間と結びつく,近代的な時間と空間の理解とは異なる,〈記憶と場所〉という時間と空間のありかたが見いだされる.

2 0 0 0 OA 記憶と場所

著者
浜 日出夫
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.465-480, 2010-03-31 (Released:2012-03-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1

近代社会は,均質で空虚な空間のなかに位置する社会がやはり均質で空虚な時間のなかを前進していくものとして自らの姿を想像してきた.そして,近代社会の自己認識として成立した社会学もまた社会の像をそのようなものとして描きつづけてきた.本稿では,「水平に流れ去る時間」という近代的な時間の把握に対して,「垂直に積み重なる時間」というもう1つの時間のとらえかたを,E. フッサール・A. シュッツ・M. アルヴァックスらを手がかりとして考察する.フッサール・シュッツ・アルヴァックスによれば,過去は流れ去ってしまうのではなく,現在のうちに積み重なり保持されている.フッサールは,過去を現在のうちに保持する過去把持と想起という作用を見いだした.またシュッツは,この作用が他者経験においても働いていることを明らかにし,社会的世界においても過去が積み重なっていくことを示した.アルヴァックスによれば,過去は空間のうちに痕跡として刻まれ,この痕跡を通して集合的に保持される.この考察を通して,時間が場所と結びつき,また記憶が空間と結びつく,近代的な時間と空間の理解とは異なる,〈記憶と場所〉という時間と空間のありかたが見いだされる.
著者
浜 日出夫
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.1-11, 2007-03

特集記憶の社会学投稿論文
著者
浜 日出夫
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.64-77, 1982-06-30
被引用文献数
2

A・シュッツの「現象学的社会学」についてはすでに多くの解釈や批判が提出されているが、それらは必ずしもひとつの像を結んでいないように思われる。本稿は、シュッツの思想の輪郭を明確にし、彼の「現象学的社会学」についてまとまりのあるイメージを回復することを狙いとする。<BR>そのための戦略として、シュッツがT・パーソンズとE・フッサールの両者に対して行なった批判を取り上げ、両者との接点を利用することによってシュッツの位置を明らかにすることを試みる。<BR>これによって明らかになるのは、「現象学的社会学」が実証主義と超越論主義の双方に対する否定としてそのアイデンティティを確立していることである。そして、この二重の否定を通して、「現象学的社会学」固有の対象領域としての<日常生活の世界>が姿を現わしてくる。
著者
浜 日出夫
出版者
筑波社会学会
雑誌
年報筑波社会学 (ISSN:09163336)
巻号頁・発行日
no.7, pp.55-74, 1996-02