著者
浮田 真弓
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.113-121, 2003-03-31

岐阜県は、綴方教育運動において、大きな役割を果たした人物、今井誉次郎、野村芳兵衛を輩出した県である。また、戦後においては、恵那の綴方教育という特色ある教育実践を生み出した地域を抱えている。川口半平を取り上げることによって、多面的な生活綴方運動の一様相を明らかにしたい。
著者
浮田 真弓
出版者
岡山大学大学院教育学研究科
雑誌
研究集録 (ISSN:18832423)
巻号頁・発行日
no.158, pp.63-70, 2015

本稿は,保科孝一に言及している論文をレビューすることによって,保科孝一の仕事である国語政策,及び国語政策に付随的に扱われてきた国語教育政策の持つ意味を明らかにし,特に国語教育史研究上の課題を明らかにするものである。近年,保科孝一の仕事は社会言語学や社会学の文脈で再検討されることはあったが,国語教育の分野では再検討されるということはなかった。保科孝一の国語教育は,国内においては「内なる辺境」である地方に標準語を普及させ,国民を形成するものであった。そして,保科孝一の国語改革は植民地,「大東亜共栄圏」などの「外なる辺境」の発見によって,国語を普及させるために国語自体を学びやすく変化させるものであった。
著者
高木 史人 矢野 敬一 立石 展大 蔦尾 和宏 伊藤 利明 生野 金三 浮田 真弓
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は当該研究の2年目として、平成28年度に行ったシンポジウムの成果を活かして、さらなる研究の深化を期した。具体的には国語科の文部科学省検定済教科用図書及びその教師用指導書に徴して、「伝統文化」教材の扱われ方と指導書における指導法への言及の分析を進めた。なお、平成29年告示の『小学校学習指導要領』では、従来の学習指導要領における国語科の「3領域及び1事項」という区分が見直された。従来の1事項が〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕であったものが、今次の学習指導要領では大きく〔知識及び技能〕〔思考力、判断力、表現力等〕〔学びに向かう力、人間性等〕の3本の柱が立てられ、その中の〔知識及び技能〕が「(1)言葉の特徴や使い方に関する事項」「(2)情報の扱い方に関する事項」「(3)我が国の言語文化に関する事項」に分かたれ、その(3)が従来の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の前半「伝統的な言語文化」部分に相当するものと見られる。この間の学習指導要領の推移、変化の分析に多くの努力を行った。これらは生野金三・香田健児・湯川雅紀・高木史人編『幼稚園・小学校教育の理論と指導法』(平成30年2月、鼎書房刊、206ページ)にまとめられた。また、高木は「社会的・共=競演的でひろい悟り」へのアプローチ―小学校教育史、国語科教育史との係わりから―」(『口承文芸研究』第41号、平成30年3月、日本口承文芸学会刊)において平成29年12月に行った科研費メンバーによるシンポジウムの概略を紹介しつつ、現行の伝統文化教育の根拠となっている平成18年改教育基本法第2条第5項の淵源が、昭和16年3月改正の小学校令第1条第3項にあることに触れて、日本の長い教育史の中ではこれは伝統的でなったことと結論づけた。伝統という語じたいが昭和初期の流行りであった。