著者
物部 博文 照屋 寛英 海老原 修 朝野 聡
出版者
日本教育医学会
雑誌
教育医学 (ISSN:02850990)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.146-154, 2006 (Released:2021-10-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

We investigated the situation of blood donation behavior and attitude toward blood donation in 426 university students. It was observed that samples had little concern for blood donation and the negative images popularly. For a factor analysis in attitude of the blood donation, it was revealed ten factors that were "a pain and fear for blood donation", "a tendency to evasion to blood donation", "contribution to society of blood donation", "physical condition defectiveness of oneself", "an image that blood donation "is to be good",“the badness of an image for blood donation”, “a medical examination of oneself", "a feeling of waste in time", "a dangerous image for blood donation", "influence of the mass media" as the obstructive factors for blood donation. One of the factors, "Indifference to blood donation" contributed strongly to blood donation behaviors as a result of the multiple regression analysis. It was indicated that improvement of promotion for recruitment of blood donation was important.
著者
大坪 菜々美 海老原 修
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.88_3, 2018

<p> 国民の誰しもが経験する身体検査や体力・運動能力テストにより暗黙裡に身につけた性向は、同じく誰もが参加する運動会で強化され、さまざまな男女別の区分けに敷衍される。この区分けへの疑義をもたず、アプリオリな制度としてジェンダーの論議の蚊帳の外にある。文部科学省「体力・運動能力調査報告書」のありようが論議されるセクハラやジェンダー・バイアスの源流にあたる可能性を秘めるかもしれず、そこで、本研究では平成27年度調査報告書にテスト項目ごとの加齢に伴う男女の差の変化傾向を手掛かりにこの論議の端緒を求めた。そこには長座体前屈を除くすべての種目で、男子が女子よりも高い水準を示しているという文言が記載され、女子は男子よりも体力・運動能力が低いと判定される。体力・運動能力テストはもとよりスポーツが男女別に運営・管理される理由が再生産される。しかし、積極的な運動能力における男女の差は、全体の平均値のみで求められる調査が多く、男女の差が存在するのかは定かでない。そこで、社会的・文化的な要因によって、男女の体力・運動能力に差が生じたと仮定し、体力・運動能力調査報告書を傍証に、その要因が何であるかを検証する。</p>
著者
海老原 修
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.67-82, 2014-09-30 (Released:2016-07-02)
参考文献数
16

社会科学による質的なデータの数量化は主に同じ土俵上での相対的な重みづけを志向しており、変換されたダミー変数は説明変数であって被説明変数にはなりにくい。量的研究が質的現象を説明するのか、質的研究が量的現象を説明するのか。はたして、両者は対称的な位置づけなのか、もしかすると非対称ではないだろうか。このスタンスに基づき、体育・スポーツ研究領域で長い間、普遍的なデータを提供している内閣府「体力・スポーツに関する世論調査」に質的研究事例を、文部科学省「体力・運動能力調査報告書」に量的研究事例を求めて、それぞれの解釈と課題を提供した。 質的なデータが示す時系列分析は当事者のみならず社会の変容を理解する好材料を呈示する。一方で、量的データはウソをつくかもしれない。平均値の表示は作為的か不作為か判然としないが、体力低下がまやかしである可能性を教えてくれる。2人の得点が50点ならば平均値は50点であるが、2回目に1人が0点となってしまった。したがって平均点50を維持するには残る1人が100点を取らねばならない。3人の平均値が50点であるが、2回目には2人が0点となってしまったので、残る1人は150点を獲得しなければならない。平均点を表示する体力・運動能力の年次推移の背後には、運動やスポーツを行なったりやめたりする子どもたちの運動習慣の変動があり、運動実施状況別にたどると体力・運動能力そのものは不変である可能性が浮かび上がる。このような錯誤を指弾する姿勢は肉感的なフィールドワークによってかたちづくられる、ほんとかしらん、なぜなのかしらん、といった不思議の開陳である。聞き取りや参与観察、インタビューなど質的なアプローチが、研究対象にたいして多元的・多段階的な昆虫の複眼と単眼による量的な分析を刺激し続けている。
著者
海老原 修
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.67-82, 2014

社会科学による質的なデータの数量化は主に同じ土俵上での相対的な重みづけを志向しており、変換されたダミー変数は説明変数であって被説明変数にはなりにくい。量的研究が質的現象を説明するのか、質的研究が量的現象を説明するのか。はたして、両者は対称的な位置づけなのか、もしかすると非対称ではないだろうか。このスタンスに基づき、体育・スポーツ研究領域で長い間、普遍的なデータを提供している内閣府「体力・スポーツに関する世論調査」に質的研究事例を、文部科学省「体力・運動能力調査報告書」に量的研究事例を求めて、それぞれの解釈と課題を提供した。 質的なデータが示す時系列分析は当事者のみならず社会の変容を理解する好材料を呈示する。一方で、量的データはウソをつくかもしれない。平均値の表示は作為的か不作為か判然としないが、体力低下がまやかしである可能性を教えてくれる。2人の得点が50点ならば平均値は50点であるが、2回目に1人が0点となってしまった。したがって平均点50を維持するには残る1人が100点を取らねばならない。3人の平均値が50点であるが、2回目には2人が0点となってしまったので、残る1人は150点を獲得しなければならない。平均点を表示する体力・運動能力の年次推移の背後には、運動やスポーツを行なったりやめたりする子どもたちの運動習慣の変動があり、運動実施状況別にたどると体力・運動能力そのものは不変である可能性が浮かび上がる。このような錯誤を指弾する姿勢は肉感的なフィールドワークによってかたちづくられる、ほんとかしらん、なぜなのかしらん、といった不思議の開陳である。聞き取りや参与観察、インタビューなど質的なアプローチが、研究対象にたいして多元的・多段階的な昆虫の複眼と単眼による量的な分析を刺激し続けている。
著者
海老原 修
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

平成11年12月〜平成13年1月に実施したアンケート調査「運動部顧問の指導信条に関する調査」の追跡調査を実施した。平成14年12月〜平成15年1月にかけて、高等学校運動部顧問552名、中学校顧問314名の合計866名を対象に郵送調査を実施した。前回と今回2回の調査にともに回答された対象者は294名であり、第1回調査に回答されないが第2回調査にのみ回答された対象者は167名で461名の回答を得た。また、アンケート調査実施に際しては、神奈川県教育庁、神奈川県高等学校体育連盟、中等学校体育連盟より、調査票作成や郵送法の配布・回収方法、および県内学校運動部の問題点について意見を交換した。さらに、同じような学校運動部と地域スポーツの関係に課題をかかえる地域の専門家とのヒアリングや意見交換を重ねた。すでに、アソシエーションとコミュニティを対比して運動部とスポーツ活動の関係性の限界を予測し(2000)、総合型地域スポーツクラブ、民間フィットネスクラブ、企業スポーツクラブ、学校運動部の4機関から、2機関または3機関が合同でクラブを形成することが現実的対応と提言したが、学校運動部の変化は、この提言に沿った形で変化している。このように抜本的な運動部活動の在り方を模索する事態を迎えたとき、先に指摘した4機関の合併にともなう外部指導者導入が運動部存続の活路のように思えるが、ヒアリング調査やアンケート調査からは、顧問教師の指導信条に著しい変化は認められず、指導者の指導信条が多様化する子どもたちのニーズに追いつけない事態を危倶する。今後は外部指導者の指導信条を知り、学校運動顧問のそれと比較することが必須の作業となる。