著者
仙波 由加里 柘植 あづみ 長沖 暁子 清水 きよみ 日下 和代
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.147-153, 2006-09-25
参考文献数
17

2003年、厚生科学審議会生殖補助医療部会の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」の中では、提供された精子・卵子・胚を利用した生殖補助医療(DC)で生まれた子の福祉を尊重するという姿勢から、DCで生まれた人たちに提供者を特定できる情報をも提供するという方針が提示された。そこでDCの中でも、すでに生まれた人が成人し、自らの経験を語ることが可能なAIDに注目し、この技術で生まれた者5名を対象にインタビューを実施して、彼らがどのような提供者情報を望んでいるかを考察した。結論としては、AIDで生まれた人たちは提供者の氏名や住所、社会的情報や医学的情報のみならず、精子提供者のそれまでの人生や生き方、現在の生活、嗜好、考え方などを含む人間性や人柄を知ることを強く望んでいることがわかった。こうした点から法の中では、将来DCで生まれてきた人たちがその提供者と会うことを前提とした措置についても講ずるべきだと考える。
著者
神澤 佳子 片平 理子 千歳 万里 金坂 尚人 清水 きよみ 河村 美穂 上村 協子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

目的:神戸市のA児童館は、18歳未満の子どもが利用可能な地域住民に開かれた施設であり、放課後児童クラブと一体的に運営されている。ここでは平成21年度より毎年10~12月の3か月間、遊びの一つとして「どんぐり」を通貨とした買い物体験プログラム「どんぐりマーケット」を行っている。このプログラムを消費者教育の視点からとらえなおして特徴を抽出し、今後の内容の広がりの可能性を考察する。 <br>方法:「どんぐりマーケット」の見学と利用児童の観察、職員へのヒアリングを行い(2016年10~12月)、「子どものまち」等の体験型プログラムと内容を比較検討した。 <br>結果:このプログラムで子ども達は、地域でどんぐりを収集し、マーケットの商品を選択・購入する。そのマーケットで販売する商品を製作し、自ら値段をつけ、会社を組織し販売と通貨管理を行い、売上の一部と労働によって給料を得る。消費者・生産者・労働者の立場を体験しながら、主体的な価値選択と意思決定を行っている。これらは、バイマンシップだけでなく、組織の運営とルールを守りプログラムに参画するシチズンシップの要素も含む「消費者市民」教育の具体的な形といえる。さらに、住民参加による「地域社会との共生」、どんぐりを発芽させ植樹する自然循環体験の内容を持ち、日常に溶け込む継続的な消費者教育という特徴がある。今後、子ども達の企画への参加等を加えることで、一層の内容充実が期待される。