著者
乙丸 晶世 叶谷 由佳 渡辺 久 日下 和代 加藤 秀樹 高野 正信 佐藤 千史
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.67-76, 2003

咀嚼が口腔機能や身体状態を改善することはよく知られているが, 多くは動物実験であり, 人の心理状態に及ぼす影響については十分に明らかではない. そこで, 小学校5年生を層別化無作為に11名のグミ咀嚼群と10名の対照群に分け, 特別に調整したグミを夏休み中の28日間に咀嚼することが心理状態, 口腔機能にどのような影響を及ぼすかについて検討した. 心理状態については児童用内田クレペリン精神検査, 児童用顕在性不安検査を用いて検討し, 口腔機能については咬合力, 唾液量を測定した. その結果, 対照群では夏休み期間後に咬合力が有意に低下していたが, グミ咀嚼群では低下がみられず, グミ咀嚼が咬合力の低下を抑制する可能性が示唆された. またグミ咀嚼により作業効率が有意に上昇し, ものごとへの積極性も有意に増加することが明らかになった. また顕在性不安検査と唾液量には差がみられなかった. 咀嚼は子供の心理状態, 口腔機能へ好ましい効果をもたらす可能性がある.
著者
清水 清美 長沖 暁子 日下 和代 柘植 あづみ
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本年度は、昨年度からの調査を継続(対象者35名へ拡大)した。また、成果発表として、第23回日本受精着床学会(ラウンドテーブル)、第16回日本発達心理学会(シンポジウム)、第3回不妊看護学会(一般演題)として提示、医療者、研究者、一般市民やから評価を得た。不妊治療を実施する医師からは、「日本のAIDの方向づけがない。また、AID実施後にカップルが遭遇する問題や課題が分からない。また分かったとしても臨床の現場ではフォローする時間と余裕がない。このような情報提供やカウンセリングを実施する団体、組織があるなら情報提供することは可能である」などの意見があった。また、看護師からは、「AIDを選択するカップルへどう対応したらよいか分からなかった。対象の特性が理解できた。」「子どもへの告知の問題提示をする必要は感じるが、担当医師はそのように考えていない。どのように折り合いをつけたらよいか難しい」等の意見があった。社会福祉士からは、不妊治療を受ける親と生れた子どもの利益が一致しない現状に対し「AIDは社会的な虐待」という子どもの立場に立った意見があった。また、養子縁組を迎えるカップルからは、「自分たちは親の資質を問われるのに、不妊治療により血のつながらない親子関係をつくるカップルが問われないのはおかしい」という意見があった。今後もAID情報を一般の方にも広め、不妊治療を受けるカップルと生れてくる子ども、双方の利益を考えた我が国の治療体制の有り方の実現化に向け、さまざまな立場から討論される必要があると考えられた。また、AIDが実施されているにもかかわらず、医療者自体がその後のカップルや家族の情報を理解していない現状があり、医療者への情報提供の必要性も考えられた。3年間の調査より、AIDを受けるカップルへの情報提供のツールとして、容易に情報を得る手段として小冊子の作成の必要性が考えられた。そこで、A6サイズの小冊子「AIDについて(仮題)」を現在作成している。作成後には関連する不妊治療施設・不妊相談施設に配布予定である。
著者
仙波 由加里 柘植 あづみ 長沖 暁子 清水 きよみ 日下 和代
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.147-153, 2006-09-25
参考文献数
17

2003年、厚生科学審議会生殖補助医療部会の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」の中では、提供された精子・卵子・胚を利用した生殖補助医療(DC)で生まれた子の福祉を尊重するという姿勢から、DCで生まれた人たちに提供者を特定できる情報をも提供するという方針が提示された。そこでDCの中でも、すでに生まれた人が成人し、自らの経験を語ることが可能なAIDに注目し、この技術で生まれた者5名を対象にインタビューを実施して、彼らがどのような提供者情報を望んでいるかを考察した。結論としては、AIDで生まれた人たちは提供者の氏名や住所、社会的情報や医学的情報のみならず、精子提供者のそれまでの人生や生き方、現在の生活、嗜好、考え方などを含む人間性や人柄を知ることを強く望んでいることがわかった。こうした点から法の中では、将来DCで生まれてきた人たちがその提供者と会うことを前提とした措置についても講ずるべきだと考える。
著者
半田 美織 日下 和代 叶谷 由佳 佐藤 千史
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.20-30, 2004-01-13 (Released:2012-10-29)
参考文献数
20
被引用文献数
6 1

本研究はデイケアに通所中の精神障害者59名を対象とし, アンケートと面接調査, 参与観察により主観的QOLや影響要因を分析することによって, 障害者の抱える問題を明確化し, デイケアにおける援助について検討することを目的とした.その結果, 以下のことが明らかになった. (1) 入院経験のある人はない人に比べて生活満足度が低かった. (2) 疾患によって心理的機能の満足度が異なる. (3) 同居者や相談相手がいる人, 相談相手に家族やクリニック以外の友人が含まれている人の生活満足度が高かった. (4) 食事を週1回以上は自分で作る人は心理的機能領域で, 家族が食事を作ってくれる人は身体的機能領域で満足度が高かった. (5) 障害受容の満足度は全体的に低く, その満足度が高い人は生活満足度が高かった. これらから, 対人関係や自尊心, 自己認知概念などの要因は生活満足度への影響が大きく, これらの要素に対する援助の重要性が示唆された.
著者
片山 聡子 叶谷 由佳 日下 和代 佐藤 千史
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_147-1_161, 2003-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
39

精神障害者小規模作業所通所者の生活満足度と個人的特性,客観的QOLとの関係を明確にすることを目的に首都圏の精神障害者小規模作業所7カ所に通所する精神障害者58名を対象とし,面接調査を行った。 その結果,以下のことが明らかになった。 作業所通所者の項目別生活満足度で,最も得点が高かったのは作業所に対する満足度の項目であり,最も得点が低かったのは障害者として扱われることに対する満足度であった。 生活満足度総得点と総入院期間とは負の相関があり,生活満足度と情緒的サポート得点は正の相関があった。 情緒的サポート,手段的サポートのいずれも家族の占める割合が大きかった。 調査結果から,地域で生活している精神障害者に対し,病院においては入院早期から地域に患者を帰す援助,入院施設と作業所との連携,精神障害者と家族との関係を改善させる援助,地域にノーマライゼーションを浸透させる働きかけが重要であることが示唆された。
著者
坂口 輝子 池谷 幸子 中村 春美 湊 真理子 日下 和代 高橋 喜久雄
出版者
千葉県立衛生短期大学
雑誌
千葉県立衛生短期大学紀要 (ISSN:02885034)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.9-14, 2002

Edema, pain and limited jaw opening are common sequel after extraction of the impacted third molar tooth. We studied the efficacy of easy cold dressings in 111 patients, and compared it with a control group (n=118). The material of the dressing pad is packed frozen polydichlorosodium that is applied to the facial surface immediately following the removal of the tooth. The major findings are summarized as follows : 1) There was no statistical difference between the two groups with respect to body temperature, degree of swelling, maximum incisal opening and frequency of intake of analgesics. 2) Pain level and degree of difficulty in mouth opening were determined by patient self-assessment using visual analog scales (VAS). In these subjective findings, the cold dressing group showed a better outcome compared with the control group. 3) In the cold dressing group, 74.8% of the patients felt relief from the application of the cold pads. 4) There was no difference between the two groups in wound healing and the frequency of complications. The results of this study document the advantages of easy cold dressings following the extraction of the impacted lower wisdom tooth.
著者
半田 美織 日下 和代 叶谷 由佳 佐藤 千史
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.20-30, 2004-01-13
被引用文献数
5 1

本研究はデイケアに通所中の精神障害者59名を対象とし, アンケートと面接調査, 参与観察により主観的QOLや影響要因を分析することによって, 障害者の抱える問題を明確化し, デイケアにおける援助について検討することを目的とした.<BR>その結果, 以下のことが明らかになった. (1) 入院経験のある人はない人に比べて生活満足度が低かった. (2) 疾患によって心理的機能の満足度が異なる. (3) 同居者や相談相手がいる人, 相談相手に家族やクリニック以外の友人が含まれている人の生活満足度が高かった. (4) 食事を週1回以上は自分で作る人は心理的機能領域で, 家族が食事を作ってくれる人は身体的機能領域で満足度が高かった. (5) 障害受容の満足度は全体的に低く, その満足度が高い人は生活満足度が高かった. これらから, 対人関係や自尊心, 自己認知概念などの要因は生活満足度への影響が大きく, これらの要素に対する援助の重要性が示唆された.