著者
仙波 由加里
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2003-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1690号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2003/3/15 ; 早大学位記番号:新3366
著者
仙波 由加里 柘植 あづみ 長沖 暁子 清水 きよみ 日下 和代
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.147-153, 2006-09-25
参考文献数
17

2003年、厚生科学審議会生殖補助医療部会の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」の中では、提供された精子・卵子・胚を利用した生殖補助医療(DC)で生まれた子の福祉を尊重するという姿勢から、DCで生まれた人たちに提供者を特定できる情報をも提供するという方針が提示された。そこでDCの中でも、すでに生まれた人が成人し、自らの経験を語ることが可能なAIDに注目し、この技術で生まれた者5名を対象にインタビューを実施して、彼らがどのような提供者情報を望んでいるかを考察した。結論としては、AIDで生まれた人たちは提供者の氏名や住所、社会的情報や医学的情報のみならず、精子提供者のそれまでの人生や生き方、現在の生活、嗜好、考え方などを含む人間性や人柄を知ることを強く望んでいることがわかった。こうした点から法の中では、将来DCで生まれてきた人たちがその提供者と会うことを前提とした措置についても講ずるべきだと考える。
著者
仙波 由加里 清水 清美 久慈 直昭
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.105-112, 2017 (Released:2018-08-01)
参考文献数
33

初のAID(提供精子を用いた人工授精) が実施されて70年近く経つ現在、日本でも遺伝子検査が普及し、民間人が手ごろな価格でDNA鑑定を受けられるようになってきた。したがって、親がAIDの事実を隠していても、子どもが親との遺伝的な関係を疑えば検査会社を通して親子の血縁関係の事実を確認でき、ドナーを探すことも可能となった。すなわちドナーの匿名性を保障できない時代を迎えている。そこで本稿では、このままドナーの匿名性を継続する場合に予想される問題をドナーのプライバシーの侵害と親子関係に焦点を当て検討した。日本では、ドナーの減少等を懸念して、今なお出生者の「出自を知る権利」を保留にし、ドナーは匿名とされている。しかし遺伝子検査の時代に入った現在、それは将来起りうる問題を軽視しているに他ならず、正義原則の観点からも問題である。また今後も、匿名性が完全に保障されないことを説明しないままドナーに精子提供してもらった場合、ドナーに自分の精子での出生者が将来接触をもとめてくるのではないかと不安を抱かせることにもなる。すなわちこれはドナーに対する危害とも言える。従って、まず提供配偶子を使う生殖補助医療で形成される親子関係について法で規定する必要があり、その上でAID出生者の「出自を知る権利」を認め、ドナーの匿名性を廃止する必要がある。
著者
仙波 由加里
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.69-78, 2009-10-01 (Released:2018-02-01)

The Donor Conception Review Committee of the Science Council of Japan concluded in March 2008, that surrogacy both with and without compensation should be prohibited in principle in Japan, albeit with possible exceptions for research purposes. However, it is unlikely that problems related to payments to surrogates can be eliminated simply by prohibiting commercial donor conception. If surrogacy for research purposes is permitted on a merely exceptional basis in Japan, issues regarding payments will undoubtedly remain. In this paper, I first give an overview of the current status of surrogacy in Japan and other countries and then go on to describe the details of a specific surrogacy case in California and the content of the 2008 Declaration of Istanbul on Organ Trafficking and Transplant Tourism. Finally, I discuss issues relating to the payment of reasonable expenses and reimbursement for surrogacy. Based on this discussion, I find that in the absence of a clear definition of "reasonable expenses," there is little difference between payments for commercial surrogacy, as in the U.S., and those for non-commercial surrogacy, as in the U.K. The Declaration of Istanbul explicitly discriminates between comprehensive reimbursements of the actual costs of live organ donation, as opposed to payments for an organ. It might be useful to apply a similar distinction to surrogacy by discriminating between the cost of surrogacy and the actual sale of women's or infants' bodies. In conclusion, we need to clearly specify the nature of "reasonable expenses" in order to prevent money-related disputes regarding surrogacy.
著者
仙波 由加里
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.190-197, 2003-09-18 (Released:2017-04-27)
参考文献数
36

近年、日本では少子高齢化が社会問題として注目され、これを打開するために政府は少子化対策をすすめている。この中で不妊に注目し、不妊治療に保険適用しようとする動きがある。しかし、少子化対策の本来の目的は出生回復させることであり、不妊当事者の利益を第1に考えているわけではない。Warwickは家族計画プログラムの検討の際に、(1)自由(2)正義(3)福祉(4)真実の告知(5)安全・生存という5つの倫理原則を設けた。少子化対策として不妊治療に保険適用する場合も、これらの原則に照らすと様々な問題を抱えていることがわかる。バイオエシックスの視座に立てば、不妊治療への保険適用は、少子化対策としてではなく、リプロダクティブライツの尊重や不妊当事者のQOL向上の視点から検討していくことが必要である。
著者
柘植 あづみ 武藤 香織 洪 賢秀 熱田 敬子 岩江 荘介 八代 嘉美 粥川 準二 小門 穂 仙波 由加里 張 チョンファン 三村 恭子 渡部 麻衣子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

医療技術の開発/応用とジェンダーの関係を検討するために日本、韓国、アメリカ等での遺伝子技術、生殖技術、再生医療研究の患者/利用者、研究者への聞き取り調査を実施し、さらにインド、中国などの情報を収集した。そこから医療技術の開発/応用にジェンダー役割が無批判に受容され、それが技術を要請する根拠になることを示した。その上で新しい医療技術の規制を考える際にジェンダーの視点の必要性を指摘した。