著者
柘植 あづみ 菅野 摂子 田中 慶子 白井 千晶 渡部 麻衣子
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

まず2013年度に実施したアンケート調査の自由記述項目の分析を進めた。また2014年度末に実施したインターネット調査の結果のデータクリーニング、集計を実施した。そして、2014年に引きつづいて医療者と検査を受けた人等へのインタビュー調査を実施した。インターネット調査結果は、事前調査で40万人に配信し、この調査の用件に適う20歳~44歳の女性で、出生前検査を受けているか、出生前検査を受けていない女性、計8,766名に配信して、2,378人(受検者441人、未受験・非受検者1,937人)から回答を得た。データクリーニング後に結果を分析した。出生前検査の受検率は超音波検査は9割以上だが、それ以外の母体血清マーカー、羊水検査、NIPT、NTなどはいずれも1割以下だった。NIPTと着床前検査を受けたと答えた人の割合が高く、別の検査との混同の可能性があるため、さらに検討を行っている。2016年3月に拡大研究会(研究者向け)を開催した。「調査の概要」(柘植あづみ)、「アンケート調査結果-数量分析から」(菅野摂子)、「アンケート調査結果ー自由記述分析から」(白井千晶、石黒真里、柘植あづみ)、「インターネット調査結果」などを報告し、時間をかけて議論した。非常に有意義であった。また2016年3月には公開シンポジウム(一般、医療者、研究者向け)も開催した。山中美智子氏(産婦人科医師)による出生前検査の説明、井原千琴氏(遺伝カウンセラー)による遺伝カウンセリング等の説明、本プロジェクトの結果を3名の演者が報告した。その後、韓国と日本、イスラエルと日本の出生前検査の比較調査を行っている研究者(洪賢秀氏とIvry Tippy氏)が発表したのちに、全体の質疑応答をした。多くの質問が寄せられ、講師からの丁寧な返答がなされたため、参加者からのアンケート評価は高かった。
著者
清水 清美 長沖 暁子 日下 和代 柘植 あづみ
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

本年度は、昨年度からの調査を継続(対象者35名へ拡大)した。また、成果発表として、第23回日本受精着床学会(ラウンドテーブル)、第16回日本発達心理学会(シンポジウム)、第3回不妊看護学会(一般演題)として提示、医療者、研究者、一般市民やから評価を得た。不妊治療を実施する医師からは、「日本のAIDの方向づけがない。また、AID実施後にカップルが遭遇する問題や課題が分からない。また分かったとしても臨床の現場ではフォローする時間と余裕がない。このような情報提供やカウンセリングを実施する団体、組織があるなら情報提供することは可能である」などの意見があった。また、看護師からは、「AIDを選択するカップルへどう対応したらよいか分からなかった。対象の特性が理解できた。」「子どもへの告知の問題提示をする必要は感じるが、担当医師はそのように考えていない。どのように折り合いをつけたらよいか難しい」等の意見があった。社会福祉士からは、不妊治療を受ける親と生れた子どもの利益が一致しない現状に対し「AIDは社会的な虐待」という子どもの立場に立った意見があった。また、養子縁組を迎えるカップルからは、「自分たちは親の資質を問われるのに、不妊治療により血のつながらない親子関係をつくるカップルが問われないのはおかしい」という意見があった。今後もAID情報を一般の方にも広め、不妊治療を受けるカップルと生れてくる子ども、双方の利益を考えた我が国の治療体制の有り方の実現化に向け、さまざまな立場から討論される必要があると考えられた。また、AIDが実施されているにもかかわらず、医療者自体がその後のカップルや家族の情報を理解していない現状があり、医療者への情報提供の必要性も考えられた。3年間の調査より、AIDを受けるカップルへの情報提供のツールとして、容易に情報を得る手段として小冊子の作成の必要性が考えられた。そこで、A6サイズの小冊子「AIDについて(仮題)」を現在作成している。作成後には関連する不妊治療施設・不妊相談施設に配布予定である。
著者
柘植 あづみ
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.84-84, 2011

不妊治療や生殖医療研究または再生医療研究には人の卵子の提供(授受)が伴う。卵子提供には、社会経済的格差や身体の危険性、身体の商品化などについての批判がある。にもかかわらず卵子は提供されている。報告者はオーストラリアや韓国、アメリカ、日本での共同調査(主に半構造的なインタビュー調査)の結果から、卵子提供の理由として「金銭授受が伴う場合も伴わない場合にも「卵子提供」を「利他的な行動」として説明する理由を、ジェンダーの視点から分析する。
著者
仙波 由加里 柘植 あづみ 長沖 暁子 清水 きよみ 日下 和代
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.147-153, 2006-09-25
参考文献数
17

2003年、厚生科学審議会生殖補助医療部会の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」の中では、提供された精子・卵子・胚を利用した生殖補助医療(DC)で生まれた子の福祉を尊重するという姿勢から、DCで生まれた人たちに提供者を特定できる情報をも提供するという方針が提示された。そこでDCの中でも、すでに生まれた人が成人し、自らの経験を語ることが可能なAIDに注目し、この技術で生まれた者5名を対象にインタビューを実施して、彼らがどのような提供者情報を望んでいるかを考察した。結論としては、AIDで生まれた人たちは提供者の氏名や住所、社会的情報や医学的情報のみならず、精子提供者のそれまでの人生や生き方、現在の生活、嗜好、考え方などを含む人間性や人柄を知ることを強く望んでいることがわかった。こうした点から法の中では、将来DCで生まれてきた人たちがその提供者と会うことを前提とした措置についても講ずるべきだと考える。
著者
柘植 あづみ 武藤 香織 洪 賢秀 熱田 敬子 岩江 荘介 八代 嘉美 粥川 準二 小門 穂 仙波 由加里 張 チョンファン 三村 恭子 渡部 麻衣子
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

医療技術の開発/応用とジェンダーの関係を検討するために日本、韓国、アメリカ等での遺伝子技術、生殖技術、再生医療研究の患者/利用者、研究者への聞き取り調査を実施し、さらにインド、中国などの情報を収集した。そこから医療技術の開発/応用にジェンダー役割が無批判に受容され、それが技術を要請する根拠になることを示した。その上で新しい医療技術の規制を考える際にジェンダーの視点の必要性を指摘した。