著者
笹岡 勇佑 須藤 洸基 清水 義彦 今井 一雅 河合 和久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.482, pp.213-218, 2014-03-01

英単語を習得する方法には,従来型の単語カードを使ったものから,Web上のオンライン教材,近年では携帯情報端末上で学習する方法などがある.報告者らは,携帯情報端末の利用場面(シーン)に着目し,いわゆる「すきま時間」にも英単語の学習から復習テストが行なえる,高専生を対象とした英単語学習支援システムを開発した.このシステムを高専専攻科の学生20名に授業の一部として17週間利用させ,その利用状況や習得度を分析し,学習支援効果の検討を行なった.利用前と利用後テスト,利用時間の状況,利用者アンケートの結果から,学習支援効果を認めた.
著者
山田 正 萬矢 敦啓 安田 浩保 藤田 一郎 山田 朋人 清水 義彦 長坂 俊成
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、経験的要素を排除した数理科学的な河川計画のあり方を提示した。従来型の河川計画では、基本高水位や計画高水位は、決定論的に一つの値が決められ、それに基づいて計画が立案されてきたが、水文諸量には観測手法の違いやその精度といった不確実な要素を内包している。本研究の成果である不確実性を考慮した極値統計理論と流出解析手法より得られる水位の分布(不確実性)は、洪水時の避難情報発令タイミングを議論する素材として極めて有用であることを示した。さらに、従来は経験的に取り扱っていた流砂量や河道形状の抵抗を、不確実性として河川計画に取り込むことで、新たな社会認識に対応した数理科学的な計画手法を提示した。
著者
清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

わが国の礫床河川の多くは低水路の極端な河床低下と植物繁茂した砂礫州との比高増大により,河道内樹林化や砂州・みお筋の固定,水衝部の形成が治水上の問題となっている.本研究では,中小洪水を比高の高い砂州の内部に導く砂州掘削路を設けることにより,洪水撹乱を誘発して,①砂州上の樹木生育基盤の撹乱 (樹林化の抑制),②砂州・低水路河床の大きな高低差(横断比高)の解消,③低水路線形の変更(屈曲した低水路流れによる水衝部形成の是正)をねらい,その効果評価を通じて洪水のダイナミズムを利用した新たな河道管理手法の提案を行うものである.
著者
清水 義彦 小葉竹 重機
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高水敷の動的樹林化に関する検討 セグメント1の礫床河川である利根川水系渡良瀬川において,前年度の検討では,平成10年台風5号出水1年後,2年後の河道内樹林地調査を行い,洪水撹乱後のハリエンジュ樹林の再生過程を求めた.今年度もさらに時間経過した状況での樹林地回復過程の調査を実施した.洪水後1年目では洪水前に比し約10倍の萌芽本数となったが,競争による生物学的淘汰のため2年後には6倍に減少した.今年度においてはさらに減少することが当初予想されたが,調査結果により,洪水後2年目の生育状況を維持していることが確認された.このことは,洪水撹乱の動的樹林化によって数年にわたり高い密生度の樹林地が維持されることを意味し,樹木管理の必要性が重要との結論に至った.このような動的樹林化によって礫床河川の樹木繁茂が生まれていることを,近年の経験洪水規模と高水敷冠水時の樹林地撹乱の考察から明らかにした.洪水による樹林地の撹乱規模評価の検討 洪水規模との関係から,高水敷樹林の撹乱規模を推定しておくことは,樹林地管理において重要な判断材料となる.そこで,樹林地の破壊につながる洪水規模,樹木の世代交代を生んだ洪水規模,また,動的樹林化を生む近年の洪水規模について,河床表層の移動限界礫径を指標として評価できることを示した.また,洪水規模を上げた状況予測を一般化座標系平面流計算から求め,セグメント1河道特性をもつ礫床河川では、樹林地の平面的位置関係によっては高水敷基盤撹乱が生じる可能性があることを示した.高水敷樹木管理の指針作成に関する基礎資料の作成と総括本研究の実施により,高水敷樹林地における治水上の問題があきらかになった.とくに,(1)樹齢の浅いハリエンジュでは樹木根茎支持層が細粒砂層内にあることが多く,このため,洪水時に高水敷乗り上げ流れが生じることで樹木の破壊を含む撹乱が生じやすい.(2)高水敷樹林地と堤防間に流水が生じると,移動限界礫径が大きくなり,高水敷侵食の可能性が生まれる.(3)高水敷(低水路)河岸沿いに樹林帯を伴う場合は,河岸侵食によって樹林地の破壊(流失)が生じ,河道内流木生産源と成り得る可能性が生まれる.(4)現況密生度の樹林地が拡大した場合で,抵抗増加分を水位上昇分として捉え,これを洪水規模別に樹木抵抗を考慮した般化座標系平面流数値計算から評価した.こうした基礎資料のもとに,高水敷樹木管理の判断を,ハリエンジュの繁茂特性と移動床過程に着目して提案した.
著者
小葉竹 重機 清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

森林が大気循環に果たす役割について、観測とその結果に基づくシミュレーションモデルの構築という2本の柱を中心に研究を進めた。観測は平成8年度は琵琶湖プロジェクトに参加し、平成9年度は埼玉大学、千葉大学、建設省土木研究所との共同観測に参加した。琵琶湖プロジェクトでの観測は、参加者が集中的に観測を行っていた水田の近傍で、もと天神様のお社があった30m【cross product】50m程度の大きさの孤立林で、林内の気温、湿度、風速、日射、地温の観測を行った。平成9年度の共同観測は、つくば市の土木研究所の近傍にある100m【cross product】200m程度の林で、林内の気温、湿度、風速、地温の鉛直分布および日射と、林外での気温、風速、日射の観測を行った。これらの観測を通じて得られた共通の結果は、日中は林外の方が気温が1〜2°C高いが、午後3時〜4時頃からは林内の方が気温が高くなり、その状態は翌朝の6時の日出まで続く。気温のピークの時差は30分程度であり、樹冠部で受けた日射が順次散乱、放射によって下方に伝達されていることが分かるが、一方、強い風を伴う夕立のような急激な気象変化は林内も林外と同様な気温変化となり、外部の変化がそのまま林内に持ち込まれている。つくばでの鉛直分布の観測結果からは、丁度、樹冠から樹冠上に相当する14m〜18mにかけて、気温、比湿ともに勾配が大きく、また14mの付近で極大値をとることが分かった。この結果から2点法を簡略化して時刻を固定して拡散係数を逆算し、その観測期間中の平均値を用いてフラックスの算定を行ってみたところ、顕熱、潜熱の値が熱収支から予想される値の2倍程度となった。したがって推定した拡散係数の値が大き過ぎることが分かるが、得られたフラックスの向き、傾向は従来の知見と矛盾がなく、気温、湿度、風速などの鉛直分布の観測が、正しく行われていることが確認できた。LESモデルを用いてシミュレーションを試みている。
著者
小葉竹 重機 清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

森林の気候緩和効果に関して、観測とその結果に基づくシミュレーションモデルの構築という2本の柱を中心に研究を進めた。観測は大学から北約1. 5kmの山林のふもとにおける気温と湿度、大学構内に設置した簡易型総合気象観測装置による気温、日射、風速、風向、雨量について行い、この他に桐生市のアメダスの記録も収集した。さらに、異なった地被のもとでの夏期における気温、放射収支の計測も行った。得られた結果を要約すると以下のようである。1.地被の異なる場での気温、放射収支の観測から、夏期にはアスファルトと土の面上の気温差は2℃程度となり、アスファルトでは夜9時を過ぎても地面からの放射が50W/m^2程度残っている。2.夏期の日中の表面温度を熱収支式から検討したところ、アスファルトでは約60℃程度になることがわかった。これは浅枝等によって得られている値と同じである。3.森林の近傍にある孤立樹木の木陰で観測した気温と、大学に設置している簡易型総合気象観測装置による気温、および桐生市アメダスの観測結果を比較したところ、夏期には約2℃〜3℃程度森林の方が気温が低いことがわかった。また、日射の強かった日の夕方の数時間は、アスファルト等で舗装された地被の場合と比較すると5℃程度森林の気温が低くなる。これらが夏期の気候緩和の効果である。4.また、冬期には風が強い日の日中に森林の方が気温が高くなる場合がある。これは森林以外の観測地が風の通り易い場合であることと、それらが川沿いであることに一因がある。5.森林と大学の観測塔の気温差あるいは森林とアメダスの気温差の変化の様子は季節によって異なり、日射の効き方も季節によって異なる。正確な再現には厳密なシミュレーションモデルが必要である。6. LESモデルを用いた3次元モデルの構築を目指したが、熱収支式を取り込むところまで進めなかった。