著者
渡部 靖憲 但木 慎治 山田 朋人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_61-I_65, 2011 (Released:2011-11-09)
参考文献数
4

Deformations of air-water interfaces throughout a splash event of falling water drops on a still water surface were studied in this paper on the basis of back-light imaging measurements.A series of interfacial processes, formations of fine sprays shedding from crown tips, air bubbles released from the center of a cavity, secondary droplets fragmented from a centric jet, was parameterized with Froude and Weber numbers as well as relative densities of impacting and receiving liquids with the aim to develop a future model to describe local heat and moisture exchanges between atmosphere and ocean under rainfall.
著者
山田 正 萬矢 敦啓 安田 浩保 藤田 一郎 山田 朋人 清水 義彦 長坂 俊成
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、経験的要素を排除した数理科学的な河川計画のあり方を提示した。従来型の河川計画では、基本高水位や計画高水位は、決定論的に一つの値が決められ、それに基づいて計画が立案されてきたが、水文諸量には観測手法の違いやその精度といった不確実な要素を内包している。本研究の成果である不確実性を考慮した極値統計理論と流出解析手法より得られる水位の分布(不確実性)は、洪水時の避難情報発令タイミングを議論する素材として極めて有用であることを示した。さらに、従来は経験的に取り扱っていた流砂量や河道形状の抵抗を、不確実性として河川計画に取り込むことで、新たな社会認識に対応した数理科学的な計画手法を提示した。
著者
竹内 大輝 山田 朋人 Farukh Murad Ahmed
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_263-I_269, 2014

2010年夏, パキスタンにて過去100年間で最も激しい豪雨が発生した.パキスタンを襲った同年の豪雨はロシア北西部におけるブロッキング現象とインドモンスーンの蛇行が主な原因と指摘されている.本研究ではモンスーンの蛇行パターンの分類を行い,パターンごとの大規模気象場の特徴を調べた.その結果,パキスタンに洪水をもたらしやすいモンスーンの蛇行パターンが存在し,その場合では中東全域における海面気圧の負の平年偏差及びロシア北西部広域での正の平年偏差が見られた.1982年から2012年の31年間では,パキスタン豪雨時に発生していたブロッキングの発生回数は6月から8月にかけて減少する一方,パキスタンに豪雨をもたらしやすいモンスーンの蛇行発生回数は増加する傾向にあった.
著者
大屋 祐太 北野 慈和 グエン レ ズン 山田 朋人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_43-I_48, 2018

北海道において線状降水帯による豪雨災害は近年増加しており,代表的な例として2014年9月に同地域で初めて大雨特別警報が発生した事例が挙げられる.本研究では,線状降水帯を形成する複数の積乱雲内の風速場を詳細に解析するため,上記事例にドップラーレーダのドップラー速度を用いた三次元風速場推定手法(the Multiple-doppler Synthesis and Conitinuity Adjustment Technique, MUSCAT法)を適用した.線状降水帯の一部では高さ6km付近において線状降水帯に直交する流入風による鉛直循環構造が見られ,流入風の風下側では強い反射強度が対流圏上層まで到達するという特徴を得た.これらの特徴は,2015年9月に鬼怒川流域で発生した平成27年の関東・東北豪雨の線状降水帯においても観察された.
著者
福島 大輝 山田 朋人 宮崎 真
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_1759-I_1764, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
9

This paper discussed the land and sea breeze circulation (LSBC)between Ishikari and Yuhutsu areas in Hokkaido. The diurnal variation of LSBC during boreal summer(July and August) of 1985-2009 was mainly investigated by using various data. LSBC was observed between Ishikari and Sapporo up to 13km from coastal zones of the Japan Sea. Tomakomai to Atsuma area also showed LSBC around16km from coastal zones of the Pacific Ocean. For inland region that area from Chitose to Naganuma, southerly wind was observed all day long. The reason is related to a fact that this inland region has strong southerly wind associated with the meridional temperature gradient between Ishikari and Yuhutsu area. Thermal balance between SST and temperature of land could be important to control the horizontal scale of LSBC. In the La-Nina years, SST over the Japan Sea at the vicinity of Sapporo area was higher than the climatology, and LSBC was enhanced and expanded its spatial scale.
著者
久保 慎也 二宮 順一 森 信人 馬場 康之 水谷 英朗 久保 輝広 内山 雄介 渡部 靖憲 山田 朋人 大塚 淳一 猿渡 亜由未
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_487-I_492, 2016
被引用文献数
1

台風イベント時の水温躍層の破壊・再形成のプロセスに着目して,観測データの解析を行うことでプロセスの経過について検討した.水温躍層は水域内の流動に大きな影響を与え,水質問題が生じる要因にもなるため,詳細な現象の把握が求められている.そこで本研究では,台風イベント時の観測データからブラント・バイサラ振動数およびリチャードソン数を算出し,成層の安定性を評価した.その結果,密度成層期には,まず高波浪により成層の安定が崩され強風により更に不安定さが促進されるという仮説を得た.また,混合期は成層が不安定で,台風接近前からシア流の不安定が生じていて混合が生じていることがわかった.これらの結果を踏まえて,更にTS図を作成し混合期の水塊の特性を評価した.
著者
和田 卓也 山田 朋人 SUSENO Dwi Prabowo Yuga
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_397-I_402, 2012

Meteorological characteristics of the formation and environment of the Niigata-Fukushima heavy rainfall on 28~30 July 2011 were studied. Line-shaped rainfall systems were observed by using synthetic radar and Xband MP radar on 29 July at 09~17 and on 30 July at 00~04. The purpose of this study is to classify these events and to reveal the reason why these occur and stagnate. It was found that the former event can be classified as Back Building type while the latter can be classified as Back Building composite type. The development environments were focused by the convergence, relative humidity, wind and temperature by using the Japan Meteorological Agency GPV mesoscale model dataset. Results indicate that convergence area, flow of high-humidity air at 950hpa and incursion of dry-low-temperature air generated the event on 29 July at 09~17. The event on 30 July at 00~04 was generated by the effect of cold air at 400hpa which flowed into high-humidity region.
著者
田中 岳 八幡 洋成 山田 朋人
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2012
被引用文献数
1

二十四節季では,1月5日,6日頃を小寒,1月20日,21日頃を,大寒とよぶ.ただ,大寒の方が暖かくなることもある.近年,この大寒の頃の厳冬期に,気温上昇と降雨が観測されている.例えば,2002年1月21日,北海道の松前町,伊達市では,最高気温がそれぞれ8.2℃,5.0℃,日降水量12mm/day,114.5mm/dayが記録された.その際,札幌市では最高気温4.5℃,日降水量が53.5mm/dayとなり,市内を流れる望月寒川が氾濫し,16軒が浸水した.さらに,雪崩も発生し,国道二路線の一部,道央道の三路線,四区間の通行止めや,航空機の欠航も生じた.このような積雪寒冷地における厳冬期の気温上昇と降雨は,融雪を加速させて河川の氾濫や土砂崩壊をまねきかねない.また,冬期間の全体で気温上昇が続くと,積雪量が減少し水資源管理にも影響を与える.このように,冬期の気象変化は,治水,利水の観点からも注視しなければならない現象である. 本研究では,札幌を例として,積雪寒冷地における気温と降雨について,特に,一年で最も寒い厳冬期に着目し,その特性を気象データに基づき検討する.使用するデータは,気象庁札幌管区気象台で観測された1889年から2011年の123年間の気温,天気,降雨である.厳冬期に着目しているため,1月1日から2月28日の期間と,大寒の頃1月21日の前後2日を含む1月19日から1月23日の5日間のように解析期間を決め,平均気温,最高気温,最低気温および降雨の特性を考察した.その結果,人間活動の影響を強く受ける最低気温の最低値は,札幌市の人口変遷と概ね対応した形で,1940年以降に急激に上昇することを確認した.太陽の活動周期を除去した各気温の11年移動平均値には,上昇傾向と周期的な変動が確認された.そこで,各気温の11年移動平均値を直線近似した後,それぞれの偏差を求めた.その結果,直線近似された最高,平均,最低気温の最低値の長期的な変動傾向は,それぞれ2.2℃/100y,4.5℃/100y,9.7℃/100yと推定された.また,各気温には,およそ20年から25年の周期的な変動が確認された.これらの傾向は,解析期間を変えても確認され,降雨の発生頻度にも同様な傾向が認められた.
著者
鎌田 大督 山田 朋人
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2013年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.192, 2013 (Released:2013-12-01)

中緯度において発生する豪雨、豪雪、旱魃等のいわゆる極端現象はブロッキングによって引き起こされることが多い。本研究では、北半球冬季(12~2月)を対象にブロッキング現象の頻度と南北地表面温度勾配の関係を分析した。本研究は複数の全球気候モデル(GCM)の現在気候の再現結果及び将来予測結果を分析することによって極端現象をもたらすブロッキング現象の発生頻度及び、その物理機構の解明を目的とするものである。本要旨では2つのGCMの出力値を解析した結果を報告する。Pelly and Hoskins(2003)のブロッキングインデックスを用いた判定手法により判定を行った。本研究では将来予測におけるブロッキング現象の出現頻度がMIROC GCM、MPI GCM 共に増加傾向にあることが分かった。本学会の発表では、複数の全球気象モデルにおけるブロッキング現象の出現頻度及び物理機構について議論を行う予定である。
著者
山田 芳則 佐藤 友徳 山田 朋人 南雲 信宏 藤吉 康志 牛尾 知雄 原 旅人
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

観測や数値モデルによる研究から、大雪や突風をもたらすような降雪雲に関して多くの知見が得られた。観測では、Kuバンドレーダーによって対流スケールでの降雪雲の3次元構造の時間変化を高解像度で捉えた。マルチドップラーレーダー解析から大雪時の降雪雲内のメソβ~γスケールの気流構造の特徴が明らかになり、山地の地表面での鉛直流を含む解析により札幌での大雪には雲と地形との相互作用の寄与が示唆された。数値モデルでは降雪予測を改善するバルク雲微物理モデルを開発した。大雪や突風を伴うことがあるメソαスケールのポーラーローについて過去30年間の冬の領域モデル実験から、この低気圧の発生や発達に寄与する過程を解明した。
著者
山田 朋人
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年,世界各地で極端現象による被害が頻発しており,対策および予測精度の向上は喫緊の課題である.本研究は大陸スケールで発生した旱魃を対象事例とし,全球気候モデルにおける陸面初期情報が与える準季節スケールの予報スキルの評価を行った.人間活動の影響を考慮した陸面初期データを予報実験に用いたところ, 1988年夏に北米大陸において発生した旱魃の準季節スケールの予報スキルは向上し,高い精度で旱魃の事前把握の可能性を示した.また大陸河川の河川流量に与える陸面初期情報の影響についても検討を行い,人為的な河川流量の調整がない場合, 1か月先の河川流量の挙動は陸面初期情報に強く依存するという結果が得られた.