著者
渡辺 美紀 小川 浩平 石黒 浩 濱口 秀司
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

対話において、人の想像力を引き出すことは親密な関係性を築く上で重要である。人の想像力に関して、自由意思を担保することが人を想像的にするもっとも良い方法であると知られてきた。一方で、人は自由な発想を許されたとしても、人は自分の経験の範囲内でしか想像できないことが示されている。本研究では、人の発話に制約を与える選択式対話システムを開発し、対話における制約が人の想像力に与える影響について検証した。
著者
渡辺 美紀 小川 浩平 石黒 浩
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.1251-1261, 2016-04-15

ロボットが多様な役割を担い共存する社会が到来しつつある.人間に酷似した身体的特徴を持つアンドロイドは,これまで想定されていなかった状況において役割を担える可能性があると考えられる.本研究では,アンドロイドを販売員として用いることを提案し,百貨店において顧客との対話を通じて商品を販売できるか検証するフィールド実験を実施した.実験の結果,アンドロイドは商品を43万円程度売り上げ,販売員として社会的な役割を担える可能性が示された.フィールド実験の結果より,アンドロイドによる主観的・感情的なメッセージが顧客の購買行動に影響を与えた可能性があると考察し,アンドロイドがそれらのメッセージを効果的に伝達可能な特性を一般的な状況においても持つかどうか検証する実験室実験を実施した.その結果,統制された環境においても,アンドロイドによる主観的・感情的なメッセージは人間に違和感なく受け入れられることが示された.さらに,これらのメッセージの効果的な伝達においてはアンドロイドの存在が必要であることが検証された.本研究成果は,販売という状況だけでなく,人とインタラクションするロボットの社会実装において有用な知見になりうると考える.
著者
渡辺 美紀 小川 浩平 吉川 雄一郎 石黒 浩
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.411-419, 2016-12-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
16

Human judgment and decision making is influenced by artifacts as well as other people. Human-robot communication in real life has been attracting attention and robots have begun to be utilized as a human interlocutor in recent years. For instance,Watanabe et al. (2015) reported that an android as a salesperson could influence human preferences through a touch display conversation. In order to apply robots as inter-locutors for human decision making, we need to understand how people are influenced during interactions with robots. Thus, we investigated how semi-forced choices through a touch display conversation with an android and human interlocutor influenced human preferences based on cognitive dissonance theory. The results indicated that people are more willing to accept a semi-forced choice with an android as an interlocutor rather than with a human interlocutor.
著者
柿原 泰 上田 昌文 笹本 征男 瀬川 嘉之 吉田 由布子 渡辺 美紀子 桑垣 豊
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、原爆被爆者調査とは何だったのか、どのような調査研究を、何のため、誰のために行なってきたのかについて、科学史的に明らかにすることを目的として、先行研究の再検討やこれまであまり知られていなかった資料の発掘・研究を行なった。とくに原爆投下直後から始まり米軍占領下初期に「学術研究会議・原子爆弾災害調査研究特別委員会」として組織化された日本側の原爆調査について重点的に調査・検討を進め、その成果の一部を報告書『原爆調査の歴史を問い直す』にまとめた。