著者
渡部 匡隆
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.83-95, 2002-09-30 (Released:2019-04-06)

1名の自閉症生徒に、電車とバスを利用した移動スキルを形成した。まず、環境調査と両親および本人へのインフォームド・コンセントを行った。事前テストに続いて、現実場面において即時プロンプト条件と、遅延プロンプト条件による指導を行った。それによってほとんどの行動連鎖は獲得されたが、現実場面での指導において習得が困難であったバスへの接近と乗車行動については、パソコンを用いたシミュレーション指導を行った。その結果、現実場面において移動スキルの行動連鎖を形成することができた。一方、地域の人々と生徒とのかかわりについて継続的に観察を行った。その結果、生徒に対する地域の人々の反応の出現に、特徴的な傾向があることが示された。それらの結果について、指導方法については代表例教授法の観点から、地域の人々との相互作用については、強化随伴性の観点から考察した。
著者
渡部 匡隆 上松 武 小林 重雄
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.27-35, 1993-11-30
被引用文献数
4

養護学校高等部と中学校特殊学級に在籍する2名の自閉症生徒に、バス乗車スキルの指導を行った。まず、現実場面のバス乗車スキルの課題分析を行った。そして、現実場面をシミュレートした場面を訓練室に構成し、バス乗車に必要な基本的な行動連鎖の形成を行った。現実場面では、訓練室場面での指導の効果を評価するとともに、バス乗車に必要な訓練を行った。2名の生徒はいずれも、(1)訓練室での基本的な行動連鎖の形成、(2)現実場面での直後プロンプト手続きによる訓練、(3)訓練室で目的の停留所をボタンを押して知らせるための自己記録手続きの訓練、並びに現実場面での自己記録の継続的使用によって、単独のバス乗車が可能になった。これらの結果から、訓練室場面と現実場面での指導を組み合わせて訓練することが効果的であるとともに、標的行動が適切な場面で生起するために自己記録法を用いることの有効性が示唆された。
著者
渡部 匡隆 岡村 章司 大木 信吾
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、知的障害を伴わない広汎性発達障害児への包括的な教育支援プログラムの開発を目的とした。研究では、1.広汎性発達障害の心理特性とアセスメント方法の開発、2.広汎性発達障害児への指導プログラムの開発、3.広汎性発達障害児の関係者への支援プログラムの開発、4.広汎性発達障害児への教育支援システムの調査を行った。本研究により、学齢段階において主に通常学級に在籍する知的障害を伴わない広汎性発達障害児への教育支援プログラムを明らかにすることができた。