著者
脇田 美佳 前田 文子 濱田 陽子 高橋 恭子 瀬尾 弘子 福留 奈美 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.17, 2004

[目的] 天丼、うな丼など丼物は古くから日本人になじみがある。また、近年多忙なサラリーマンや、手軽でおいしいものを求める若者のライフスタイルにマッチするためか、丼物のファーストフード店がブームである。本研究では丼物の種類や食材の種類、食べ方についての実態を知り、丼物が食生活の中で果たしている役割と新たな可能性を探るとともに、丼物と若者の食との関わりについて考察することを目的とした。<br>[方法] 全国の大学、短大等の学生及び職員に、1年間に家庭で食べた丼物・味付け飯についてアンケートを行った。調査期間は2003年10月から11月、1371名から回答を得た。<br>[結果] 家庭でよく食べられる丼物は親子丼、牛丼、カツ丼、天丼であり、これらについての地域差はほとんどなかった。また、親子丼、他人丼、そぼろ丼は手作りが多いのに対し、うな丼、牛丼、天丼、ビビンバなどは、調理済み食品あるいは半調理品の利用が多かった。ひとつの丼に材料として用いられる野菜は0から2種類、肉・魚・卵については1から2種類が多かった。丼物を家庭で食べるとき、22%の人は丼のみを食べ、丼に1品を添えて食べる人は44%で、添えられる品は汁物が多く、2品を添える人は26%で、汁物に加えて漬物・野菜・海草料理を食べる例が多かった。丼物を好きな人は82%、家庭で食べる頻度は月1から2回以上が66%であった。食べる理由は、好きだから、調理や後片づけが簡単という理由が多く、栄養的なバランスをとりやすいからという理由は少なかった。丼物は汁物や野菜料理等と組み合わせて食べることで栄養のバランスもとれ、また、手軽に楽しめることから、食事が偏りがちな若者の食生活改善にも有効である。
著者
宇都宮 由佳 伊尾木 将之 瀬尾 弘子 江原 絢子 大久保 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本人の食文化は年中行事と密接に関わって育まれてきた。2015年度農水省「「和食」の保護・継承推進検討会」が実施した「食生活に関するアンケート調査」(10,235人)データを分析した結果、「正月・大みそか」が最も実施され、行事食を食べていることが分かった。そこで本研究では、和食の保護・継承のため正月行事及びその食について、より詳細な現状を把握することを目的に、2017年の正月に関するアンケート調査を実施した。<br /><br />【方法】調査は2017年1-2月全国の和食文化国民会議のメンバーおよび本研究に賛同を得た大学教員・学生を対象に実施した。調査票2047件回収しデータクリーニングをしたのち統計分析を行った。世代別、性別、地域別、子の有無でクロス分析、相関分析等を行った。<br /><br />【結果】正月への準備は、大掃除が最も多く、次いで年越しそば、年賀状、雑煮、おせち料理であった。食関連では祝箸、鏡餅、お屠蘇が、年齢の高い世代ほど準備をしており有意な差がみられた。2017年正月、雑煮とおせち料理は8割以上の人が食べていたが、お屠蘇は全体で約2割、世代差があり50歳以上で4割弱、20歳未満は約1割であった。子の有無による違いをみると雑煮やおせちは、子有または子の年齢が若い方が喫食する率が高い傾向がみられた。雑煮の餅、調理法、調味料については地域差があり、特に餅の形状は東側(角餅)と西側(丸餅)で明確な違いが見られ、地域の食文化継承の様子が伺えた。一方、お屠蘇や祝箸は若年層で準備や実施率が低く、薄れつつある現状が明らかとなった。学校の授業では雑煮やおせちは取り上げることが多いが、今後は屠蘇や祝箸、鏡餅などについても意味等伝えていく必要があろう。
著者
前田 文子 瀬尾 弘子 福永 淑子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.58, 2012 (Released:2012-09-24)
被引用文献数
1

目的 加熱調理において、ガスとIHコンロという熱源の違いが(1)調理操作時の精神的及び肉体的負担(ストレスと表現)、(2)調理の仕上がり状態に及ぼす影響を明らかにする。方法 熱源としてガス及びIHコンロを使用し、20~60代の異なる年齢層に「炒める(野菜炒め)・焼く(焼き魚)・蒸す(茶碗蒸し)・揚げる(竜田揚げ)」の4種類の加熱調理をしてもらい、調理時のストレス及び調理の仕上がりを比較した。焼く、揚げるでは、ガス・IHそれぞれの両面焼きグリルの自動調理機能、揚げ物機能を利用した。調理時のストレスは、「操作のしやすさ・煙などによる不快感・調理中の不安感・調理の達成感」などについて5段階で評価させた。調理の仕上がりについても官能評価による外観、香り、味、総合評価など5段階で評価させ、結果を統計ソフトSPSSにより集計した。結果 調理操作においては、撹拌のしやすさ(炒め物)、油の予熱時間の短さ、火加減の調節しやすさ、調理の達成感などについてガスコンロによる調理が優位と評価された。とくに野菜炒めと竜田揚げについて、その差が大きかった。調理後の掃除のしやすさについてはIHが優位と評価された。ともにコンロの安全対策が充実しているためか、調理中の安全性については差が認められなかったが、一方でIHにおいて、火が見えないことへの不安を覚えるモニターもみられた。また、ガスのように、実際に火を見て自在に調節することが、調理の達成感につながるとの回答も多く見られた。料理の仕上がりについては茶碗蒸しには差がなかったが、焼き魚の焼き色と食感、竜田揚げの色においてガスコンロによる調理が優位と評価され、その差が顕著であった。