著者
瀬戸口 剛 小林 英嗣 堤 拓哉 佐藤 滋
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

積雪寒冷都市では、冬季における除雪エネルギーを低減し、快適な都市空間の創造は大きな課題である。本研究では北海道内都市を対象に、都心部の公共空間での堆雪量と除雪エネルギーを低減させる都市デザイン手法、およびプロセスを開発した。都心部でも高層ではなく中層を主体とした街区空間をデザインが望ましい。さらに、堆雪量と除雪エネルギーの低減には、風雪シミュレーションを並行させた都市デザインプロセスが重要である。
著者
瀬戸口 剛
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

北海道のように冬季の積雪が多い寒冷地では、駅やバス停など公共交通機関の交通結節点の計画において雪や寒さへの対策が必要で、都市デザインにおいて重要な課題である。本研究では積雪寒冷の都市を対象に、積雪シミュレーション実験を行い、冬季に吹雪の影響を受けにくい交通結節点(駅やバスターミナル)のデザインを研究し、交通結節点における都市デザイン手法を確立した。わが国では、積雪時の都市デザインシミュレーションを行った研究は、筆者以外には無い。本研究では、稚内駅および中心市街地を対象に、積雪インパクトの評価を大型風洞実験装置による積雪シミュレーションを用いて行った。実験装置は、旭川市にある北海道立北方建築総合研究所が所有するものを利用した。積雪シミュレーションにより、稚内駅舎のデザインや建物配置、乗客動線システムを具体的に計画し、実際に設計に反映できる結果を得られた。積雪シミュレーションにより、稚内駅舎計画に反映した内容は以下の3点である。(1)稚内駅舎は歩行者動線に吹きだまりをつくらないよう、曲面型のファサードとした。(2)駅前広場に雪の吹きだまりが溜まるため、堆雪スペースを中央に設ける。(3)線路の先端部分に雪の吹きだまりができにくいよう、吹き払いができる駅舎設計にするとともに、除雪がしやすいようにする。さらに、積雪シミュレーション結果を実際の設計プロセスに反映させるための、デザインガイドラインを開発した。
著者
繪内 正道 羽山 広文 森 太郎 瀬戸口 剛 本間 義規 林 基哉 佐藤 彰治
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本申請研究の目的は、冬をポジティブに捉えている子供達が、何時の時点で冬をネガティブに考えるようになるか、それに影響を与えている大人の側では、冬に対してどの様な適応状況にあるか、北方圏域における小学生や成人を対象にしたアンケート調査を通じて、経時的推移の実態把握を量ることにある。下記の「冬への適応に関する6軸の項目」に関わって、日本(札幌・盛岡・仙台)、カナダ(Waterloo, Gatineau)、フィンランド(Espoo)、ロシア(Knabarovsk)、中国(Harbin)においてアンケート調査を実施した。1.Enduring Winter(冬を忍耐する)、2.Tolerating Winter(冬を大目に見る)、3.Accepting Winter(冬を受け入れる)4.Respecting Winter(冬に期待する)、5.Appreciating Winter(冬に感謝する)、6.Celebrating Winter(冬を祝賀する)6項目合わせて、100%とするアンケート調査の実施例はなかった。この6軸項目を拠り所にして小学校学童や成人を対象にアンケート調査を実施することにより、言語や文化な違いを超えて、北方圏域で生活する人々の『冬の捉え方』を相互に分かり合い、共通の尺度を共有することは、冬とどの様に向き合い、冬期の屋外活動とどの様に取り組むのか、のシナリオが見出された時、積雪寒冷な地域に望まれるこれからのライフスタイル、特に微気候計画に基づいた街づくり(コミュニティーづくり)や省エネルギーのあるべき姿が明らかになり、これからの建築環境計画や都市計画に欠かせない基礎資料となる第一部では、日本の小学生(低学年)は、冬をポジティブに捉え、大人になるに従ってネガティブになる。カナダの小学生も冬をポジティブに捉えるが、成人は2面的になっていた。フィンランドは小学生も成人も冬をポジティブに捉え、ロシアや中国(Harbin)では、冬を受は入れるという心理特性にあることが分かった。また、対象地域において学童や成人の外套下の温湿度測定・就寝時の寝室の温湿度測定の結果を取りまとめ、検討を加えた。第二部では、札幌で行われたInternational Forum CREATION OF BETTER OPEN SPACES IN COLD REGIONS のProceedingsを収録した。このフォーラムでは、北方圏域における公開空地のあり方や学童の冬の屋外活動の実態を対象に、発表・討議を行い、Winter Citiesに求められる公開空地等の基本的な都市計画は如何にあるべきか、についてディスカッションを行った。更に、学童の冬の屋外活動を誘発するためワークショップを行い、学童による屋外活動を活発にする施設の提案や、研究者・都市計画家・建築家・行政官による屋外活動を誘発するためConcepts, Strategies, Toolsに関わった基礎的なディスカッションの結果を取りまとめた。