著者
佐藤 彰治
出版者
釧路工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本報告書は、夏期に濃霧が多発し低温・高湿となり、冬期には豊富な日射が得られる北海道東部太平洋沿岸地域と対象として、サンルームの調温調湿効果を明らかにするための実態調査と実測・実験を行い、それらから得た知見をまとめている。第一章は、研究に至る背景、申請研究の目的、研究対象地域について述べている。第二章では、釧路市西部地区のサンルーム付住宅居住者を対象として、特に熱環境に関わる項目を中心としたアンケート調査の結果を報告している。当地域におけるサンルーム付設の満足度は全体的に高いことが分かった。特に、サンルームの間口が広い場合、冬期の暖房燃料削減、居間温度の低下抑制の効果とともに、夏期の濃霧による不快感の軽減効果を生活体験として実感している住戸が多かった。第三章では、既存付設温室付き住宅の夏期および冬期の温湿度実測結果に基づき、サンルームによって居間空間にもたらされた熱環境的な効果についての検討結果を報告している。釧路地域における大型サンルーム付き住戸の濃霧期の測定結果から、サンルームの設置によって、隣接する居室の温湿度環境に好影響を及ぼすことが分かった。冬期の快晴日の簡易型および大型サンルーム内の温度は外気温よりピーク時で20度以上上回っており、隣接居室への熱的好影響が期待できるものと推察された。第四章では、実験用サンルーム(ビニルハウス)を作製して行った温湿度実測の結果と、そこで確認された結果に基づいて行った調湿のための追加実験の結果について報告した。遮光屋根が居室の温度上昇に及ぼす弊害や、地盤面の露出によるサンルーム内の過度の湿度上昇が明確になり、地盤面の防湿・調湿実験によって相対湿度の低減や水蒸気量上昇の抑制効果を明らかにすることができた。
著者
繪内 正道 羽山 広文 森 太郎 瀬戸口 剛 本間 義規 林 基哉 佐藤 彰治
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本申請研究の目的は、冬をポジティブに捉えている子供達が、何時の時点で冬をネガティブに考えるようになるか、それに影響を与えている大人の側では、冬に対してどの様な適応状況にあるか、北方圏域における小学生や成人を対象にしたアンケート調査を通じて、経時的推移の実態把握を量ることにある。下記の「冬への適応に関する6軸の項目」に関わって、日本(札幌・盛岡・仙台)、カナダ(Waterloo, Gatineau)、フィンランド(Espoo)、ロシア(Knabarovsk)、中国(Harbin)においてアンケート調査を実施した。1.Enduring Winter(冬を忍耐する)、2.Tolerating Winter(冬を大目に見る)、3.Accepting Winter(冬を受け入れる)4.Respecting Winter(冬に期待する)、5.Appreciating Winter(冬に感謝する)、6.Celebrating Winter(冬を祝賀する)6項目合わせて、100%とするアンケート調査の実施例はなかった。この6軸項目を拠り所にして小学校学童や成人を対象にアンケート調査を実施することにより、言語や文化な違いを超えて、北方圏域で生活する人々の『冬の捉え方』を相互に分かり合い、共通の尺度を共有することは、冬とどの様に向き合い、冬期の屋外活動とどの様に取り組むのか、のシナリオが見出された時、積雪寒冷な地域に望まれるこれからのライフスタイル、特に微気候計画に基づいた街づくり(コミュニティーづくり)や省エネルギーのあるべき姿が明らかになり、これからの建築環境計画や都市計画に欠かせない基礎資料となる第一部では、日本の小学生(低学年)は、冬をポジティブに捉え、大人になるに従ってネガティブになる。カナダの小学生も冬をポジティブに捉えるが、成人は2面的になっていた。フィンランドは小学生も成人も冬をポジティブに捉え、ロシアや中国(Harbin)では、冬を受は入れるという心理特性にあることが分かった。また、対象地域において学童や成人の外套下の温湿度測定・就寝時の寝室の温湿度測定の結果を取りまとめ、検討を加えた。第二部では、札幌で行われたInternational Forum CREATION OF BETTER OPEN SPACES IN COLD REGIONS のProceedingsを収録した。このフォーラムでは、北方圏域における公開空地のあり方や学童の冬の屋外活動の実態を対象に、発表・討議を行い、Winter Citiesに求められる公開空地等の基本的な都市計画は如何にあるべきか、についてディスカッションを行った。更に、学童の冬の屋外活動を誘発するためワークショップを行い、学童による屋外活動を活発にする施設の提案や、研究者・都市計画家・建築家・行政官による屋外活動を誘発するためConcepts, Strategies, Toolsに関わった基礎的なディスカッションの結果を取りまとめた。
著者
佐藤 彰治 絵内 正道 横平 昭
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.69, no.581, pp.15-20, 2004
被引用文献数
3 1

Some regions along the coast in East Hokkaido have peculiar climates, with dense fog in summer and abundant sunshine in winter. The purpose of this paper is to propose how to effectively use a "sunroom" during summer and winter in these regions. Air temperature and humidity conditions were measured in both summer and winter within two detached houses in these regions containing a "sunroom". From these measurements, the following knowledge was acquired: 1) In summer, a large sunroom provides good environmental temperature conditions for a living room connected with it during the dense fog season. 2) In the case of a detached house built with a sunroom, it could be predicted that the heat loss through glazing doors situated between the living room and the sunroom greatly decreases in winter.