著者
熊田 陽子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第43回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.193, 2009 (Released:2009-05-28)

人間は、ある目的を達成するためだけに生きているのではなく、その過程や行為を楽しむ(「遊ぶ」)ものであると考えたホイジンガは、人間を「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」と呼んだ。様々な性行為も、生殖という目的だけで行われるわけではなく、それ自体の面白さを楽しむ「遊び」である。本発表では、あるSMクラブを事例に、そこで働く女性たちがSMプレイをどのように認識しているのかついて、「遊び」を手がかりに検討する。
著者
熊田 陽子
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

平成26年度採用分日本学術振興会特別研究員申請書の「研究の目的」及び「研究計画」の記載内容を、平成27年6月25日に行われたSPD研究発表会を通じて得た主任研究員の助言に従って修正し、平成28年度は、主な調査活動をオランダ・アムステルダムと東京の性風俗世界に絞って以下の通り調査研究を実施した。「性風俗世界を通じたアムステルダムの都市的“性”様式に関する調査研究」として、いずれもアムステルダムで、セックスワーカーと対象とした面接調査と参与観察調査、資料収集及び分析を行った。特に、合法的セックスワークが行われる「(飾り)窓」で働くワーカー宅における住み込み調査では、ワーカーの日常を具体的かつ包括的に捕捉することができたばかりか、ワーカーの客、友人である元セックスワーカーらに対しても面接調査を行う機会を得た。更に、昨年度から重点的に研究を行っている移民セックスワーカーについては、親族を中心に形成される諸関係の実態解明に向けて更に調査を拡充させた。「都市“性”様式のグローバル展開に関する研究」としては、国際学会におけるセクシュアリティ研究のパネル組織と研究発表、国際学会と現地調査を通じた研究者ネットワークの構築と今後の共同研究に向けた調整、性風俗世界を通じた東京の都市的“性”様式に関する調査研究等を行った。なお、東京の都市的“性”様式に関する調査研究の成果は、平成29年度6月に学術単行書として出版される予定である。その他の実績には、セクシュアリティ研究の立場から行ったゲストスピーカーとしての活動がある。平成28年度は以上を中心とした調査研究活動を実施しながら、学会誌への発表2件(平成29年度の出版・公表含む)及び学会等でのパネル組織と口頭発表5件(その内、国際学会における英語での実施は3件)を成果として公開した。
著者
熊田 陽子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.193-193, 2009

人間は、ある目的を達成するためだけに生きているのではなく、その過程や行為を楽しむ(「遊ぶ」)ものであると考えたホイジンガは、人間を「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」と呼んだ。様々な性行為も、生殖という目的だけで行われるわけではなく、それ自体の面白さを楽しむ「遊び」である。本発表では、あるSMクラブを事例に、そこで働く女性たちがSMプレイをどのように認識しているのかついて、「遊び」を手がかりに検討する。
著者
熊田 陽子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、性風俗世界(性風俗産業を中心に成る経済・文化・政治の複合的世界)の適法性をめぐる政治を明らかにしながら、日本の都市的生活様式の核である都市的"性"様式を解明することにある。平成22年度の成果は以下の通りである。第一は、「当事者」概念を使った本研究の方法論に関する検討である。本研究は民族誌的方法を用いた実証研究であり、実証性の確保には、調査研究方法、データの質・量、分析の妥当性などが鍵となる。研究の意義や意味を問う「当事者」議論の蓄積には、同時に実証性への問いが多く含まれる。現象学的な視点から「おんなのこ」(性労働者)と「私」(調査者)の関係を再考し、「当事者か否か」ではなく「(調査の場にいることを)許されるか否か」という点を重視して「当事者」概念を理解した本成果は、様々な実証研究に対する援用が可能である。第二は、本研究の軸となる性風俗世界と法の関係の検討である。詳細な分析の蓄積が薄かった「風営法」の条文を精査し、そのうえで、性風俗営業主体と性労働者が「適法性」を確保すべく行う諸実践を重点的に検討した。性労働者の視点を軸に、客や営業者とのつながりから性風俗世界を捕捉する本成果のアプローチは、(女性)性労働者と客・営業者を対立しあう存在として捉えることの多かった女性学や法学の成果に対して新たな視点をもたらす。第三は、「『おんなのこ』の民族誌」に向けた情報収集及び執筆活動である。東京都市部の性風俗店における参与観察調査の中で、性労働者と関係者を対象に、性労働に限られない様々な経験について情報を収集した。現在執筆中の本成果は、性風俗産業を経済・文化・政治の複合的世界として捉える本研究の根幹を成す。性の問題系から都市の人々の生を理解することは現代日本社会に生きる人々のありかたについて考えることに他ならず、都市研究を始め多くの研究分野に対する成果還元が可能である。