著者
武分 祥子 柄澤 邦江 岩﨑 みすず 熊谷 寛美
出版者
文化看護学会
雑誌
文化看護学会誌 (ISSN:18838774)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1_1-1_10, 2010-03-31 (Released:2018-11-13)
参考文献数
18

飯田市における人々のつながりから地域ケアにおける助け合いの可能性を探るために,この地域での「結い」の実態を把握することを目的とした。そのために,飯田市郊外12地区,19名の情報提供者に対して聞き取り調査を実施した。 その結果,飯田市では昔は農作業を中心に労働力を提供しあう「結い」が盛んに行われていたことが明らかになった。現在では,「結い」は縮小しているものの冠婚葬祭や農作業の一部などで行われていた。【現在の人々のつながり】では,「結い」を通してできた人々のつながり,公的あるいは民間組織活動によるつながり,共同での作業や行事,親戚によるつながり,家族のつながりがあった。【人々のつながりの変化】では,「結い」の衰退,農作業・仕事の変化,地域のつながりの変化,家族の結びつきの変化があった。さらに,【これからの人々のつながり】では,別の形の組織化,地域の中での人間関係の維持を望み,その一方で将来の地域での助け合いの困難を懸念していた。 以上より,飯田市において「結い」はかたちを変えて残ってはいるが,人々のつながりは時代や地域生活とともに変化していること,人々は地域における人間関係の維持の手段として,今後も異世代交流の場や助け合いの組織化を望んでいることが明らかになった。よって,人々のつながりを育むような組織化活動が今後の地域ケアにおいて必要であると考えられた。
著者
松添 弘樹 七星 雅一 角谷 誠 大西 祥男 清水 宏紀 畑澤 圭子 中村 浩彰 熊谷 寛之 辻 隆之 井上 通彦 則定 加津子 高見 薫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.54-60, 2014

症例1 : 30歳代, 女性. アルコール依存症, 神経性食思不振症にて精神科外来加療中であったが1 年前より通院を中断していた. 2012年5 月下旬の夕食後, 突然の痙攣様発作で救急要請. 救急隊到着時, 心室細動波形で心肺蘇生を開始, 合計3 回の電気的除細動が施行され当院搬入となった. び漫性左室壁運動低下を認め, 血清カリウム2.2mEq/L, 血清リン1.1mg/dLと電解質異常を認めていた. 入院後電解質補正を行い不整脈は消失したが, 低酸素脳症のため意識レベルの改善なく経過した. 症例2 : 40歳代, 男性. 2012年5 月下旬より下肢筋力低下, 起立困難から脳梗塞を疑われ近医で頭部精査入院となったが, 明らかな脳神経疾患は認めなかった. 前医第2 病日の朝食後, 突然心室細動が出現し心肺蘇生が施行されるも, 難治性心室頻拍となり某院救急センターへ搬送. 冠動脈造影にて有意狭窄はなかったが, 薬剤的, 電気的にもコントロール困難で経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary support ; PCPS) 挿入下に当院に紹介搬送となった. 当院では多形性心室頻拍 (torsades de pointes ; TdP) を認め, び漫性に左室壁運動が低下しており, 血清カリウム : 1.6mEq/L, 血清リン : 1.6mg/dLと電解質異常を認めた. 入院後電解質補正によりTdPは消失, PCPS抜去にいたるも低酸素脳症から意識障害が遷延し第10病日に死亡退院となった. 両症例ともアルコール依存症を背景に持ち, カロリー摂取後の致死的不整脈出現からrefeeding症候群の関与が疑われた. 慢性低栄養患者に発症した若年性心肺停止患者ではrefeeding症候群の可能性を常に考慮する必要があると考えられた.
著者
一二三 奏 根武谷 吾 熊谷 寛
出版者
一般社団法人日本医療機器学会
雑誌
医療機器学 (ISSN:18824978)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.450-458, 2016 (Released:2016-11-11)
参考文献数
13

Evaluation of lung function is a typical application of electrical impedance tomography (EIT) and a wearable EIT has been developed to give easy use and reliable EIT information in an intensive care medicine. However, chest shape information was important factor to decide measurement accuracy and it was very difficult to measure from a patient on a bedside in an intensive care unit. Therefore, we proposed a novel estimation method of a chest shape using curvature data and chest circumference that would be possible to measure with our wearable EIT. Measurement accuracy was evaluated by applying the proposed method to an ellipse shape with 20cm in X-axis and 10cm in Y-axis, the same ellipse with 20% random noise and two CT images of thorax. To evaluate accuracy of estimated shape, we defined eccentricity ‘e’ that was aspect ratio of estimated shape and compared it between actual and estimated shapes respectively. Error in eccentricity ‘e’ was approximately 3% in ellipse shape without noise, 7% in ellipse shape with noise and 7% in two CT images respectively. The result was considered that our proposed method was useful to estimate shape for accurate EIT measurement using a wearable EIT.
著者
高橋 和彦 熊谷 寛 荻原 勲
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.13-17, 2006 (Released:2006-04-11)
参考文献数
8
被引用文献数
2 3 1

In vitroにおいてサギソウ球根苗に菌根菌を接種し,菌根菌は球根苗の生育を促進するかどうかを明らかにしようとした.また,それはどのような栄養の吸収によるものであるかを調査した.このことにより,球根苗が形成する新球根の肥大に菌根菌接種は有効かどうかを検討した.1.菌根菌接種は球根苗の生育を促進し,形成される新球根を肥大させることが明らかとなった.2.菌根菌接種が球根苗の生育を促進したのは,菌根菌の作用によりオートミール培地から植物体が炭素化合物を多く吸収したことによると考えられた.3.植物体が吸収した炭素化合物は培地のオートミールが菌根菌によって分解され,根から直接吸収されたものであるか,あるいは菌根菌を経由して吸収されたものであるかは判別できなかった.