著者
片岡 龍峰 岩橋 清美
巻号頁・発行日
2018-01-30

日時:2018年1月30日(火)~1月31日(水) 場所:国立極地研究所・国文学研究資料館・統計数理研究所 2階大会議室 主催:「天変地異と人間社会の変遷:言葉の在り方と世界の在り方」(2017年度 総研大 学融合推進センター センター長裁量支援研究) 共催:国文学研究資料館・日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画(歴史的典籍NW事業)・異分野融合・典籍防災学
著者
片岡 龍峰 山本 和明 藤原 康徳 塩見 こずえ 國分 亙彦 Ryuho KATAOKA Kazuaki YAMAMOTO Yasunori FUJIWARA Kozue SHIOMI Nobuo KOKUBUN
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.17-29, 2020-03

日本最古の天文現象の記録は、『日本書紀』巻二十二、推古二十八年十二月一日(西暦六二〇年十二月三十日)の條に記される「十二月庚寅朔、天有赤気。長一丈餘。形似雉尾」という一節である。「赤気」は、彗星の類と理解され、日本古典文学や歴史学などの研究では悪い兆候を示すもの、といった理解がなされてきた。その一方、地球物理学においては、オーロラと理解され、オーロラの最も早い事例としてこの『日本書紀』が位置づけられてきた経緯がある。今回の考察では、「赤気」だけではなく、文中の「雉尾」という言葉にも着目し、『日本書紀』諸本での記述を踏まえたうえで、扇形をした赤いオーロラが日本などの中緯度で観察されやすく、真夜中より前に見られ、かつ雉の尾に似た形状をし、「長一丈」に該当する角距離十度相当で見えるという最も構造が際立った形態であるということを、雉の生態など、鳥類学の研究も踏まえて明らかにした。文献学的な考察に加え、雉の生態や尾羽の特徴を理解する鳥類学、彗星に関する古天文学の知識も合わせて新たな考察を加えたことによって、『日本書紀』の編纂に当たった人々の記述に対する責任感や知性、私たち日本人のルーツとなった倭の人々の観察眼や感性を伺い知るうえで一定の視点を与えることに寄与しうるものである。The oldest record of an astronomical phenomenon in Japan was recorded in the Nihon-shoki as follows: "On December 30 in 620, a red sign appeared in heaven. The length was more than 1 jo (10 degrees). The shape was similar to a pheasant tail (Suiko-Tennou, 28)". The appearance of a red sign has been recognized as an expression of a bad omen in literature, while it has been interpreted as the northern lights in geophysics. First we examine the description of the pheasant tail in detail. We then introduce the latest scientific findings that the northern lights show a fan-shaped appearance with a red background when appearing over Japan. After showing that the fan-shape is similar to a pheasant tail, also pointing out the low possibility of comets, we conclude that the oldest record of the red sign is consistent with the appearance of the northern lights over Japan. We hope that this examination contributes to increasing awareness of the sensitivity of Japanese people 1400-years-ago who compared a beautiful behavior of birds with a magnificent and rare natural phenomenon.
著者
片岡 龍峰
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.3, pp.519-526, 2010-06-25 (Released:2010-08-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Possible influences of cosmic rays on terrestrial climate have been studied by many researchers since a good correlation between neutron monitor counts and global cloud amount was reported by Svensmark and Friis-Christensen in 1997. The cosmic ray-cloud relationship may be best tested during Forbush decrease events, in which cosmic rays largely decrease for several days associated with coronal mass ejections. Some cloud parameters are likely to respond to the transient decrease of cosmic rays with a typical time delay of several days, although we do not know the physics behind the cosmic-ray cloud relationship.
著者
片岡 龍峰
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.3, pp.519-526, 2010-06-25
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

 Possible influences of cosmic rays on terrestrial climate have been studied by many researchers since a good correlation between neutron monitor counts and global cloud amount was reported by Svensmark and Friis-Christensen in 1997. The cosmic ray-cloud relationship may be best tested during Forbush decrease events, in which cosmic rays largely decrease for several days associated with coronal mass ejections. Some cloud parameters are likely to respond to the transient decrease of cosmic rays with a typical time delay of several days, although we do not know the physics behind the cosmic-ray cloud relationship.
著者
南條 壮汰 穂積 裕太 細川 敬祐 片岡 龍峰 三好 由純 大山 伸一郎 尾崎 光紀 塩川 和夫 栗田 怜
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

国際宇宙ステーション(International Space Station: ISS)から、デジタル一眼レフカメラ(デジカメ)を用いて都市や海洋、大気などの様子が撮影され、連続カラー画像が NASA のウェブサイトで公開されている。我々は、公開されている画像の中にオーロラが含まれているものを抽出し、背景として写っている街明かりをマーカーにして地理座標上に投影することによって、オーロラの研究、特に脈動オーロラの広域特性の解析に活用することを提案してきた [Nanjo et al., 2020, submitted]。この ISS からのデジカメ観測は 1 秒以下の時間分解能と、地上全天カメラ 3-4 台分の広い視野を持ち、約10分の間にローカルタイム方向に 4-5 時間分に相当する領域を俯瞰的に撮像することができる。脈動オーロラの明滅周期は 2-40 秒、空間スケールは数 10 km 程度であるため、投影されたデジカメ画像によって、脈動オーロラの時間変動・空間変動の双方を十分に分解することが可能である。本研究では、複数の脈動オーロライベントについて投影された連続画像から明滅周期を導出し、その MLT 依存性についての解析を行ったが、明滅周期が MLT に依存しているという傾向を、すべてのイベントに共通するものとして見いだすことはできなかった。次に、デジカメ画像が RGB の 3 チャネルを持つことに着目し、色の違いについての解析を行った。オーロラの色と RGB チャネルの関係は、最も明るい酸素原子の発光である 557.7 nm が G チャネルに対応し、427.8 nm を代表とする窒素分子のバンド発光が B チャネルに対応すると考えられる。窒素分子を発光させる電子のエネルギーは、酸素原子を発光させる電子のそれに比べて相対的に高いため、B チャネルと G チャネルの輝度の比(B/G 比)を用いて降込電子の特性エネルギーに関する情報が得られるのではないかと考え、複数例について B/G 比の解析を行った。その結果、B/G の比は、1) ディスクリートオーロラの領域よりも脈動オーロラの領域において高くなること、2) 脈動オーロラの OFF-time (暗いタイミング)に対して ON-time (明るいタイミング)で高くなること、3) 真夜中よりも朝側の MLT で高くなること、がわかった。これらの結果は、脈動オーロラ電子のエネルギーについてこれまでに知られている傾向と一致するものであり、デジカメで得られた B/G 比を降込電子エネルギーのプロキシとして使用できることを示唆している。本大会では、ここで得られた結果の背景にあるプロセスを、脈動オーロラとの関連が指摘されているコーラス波動の特性を踏まえて議論する。
著者
南條 壮汰 佐藤 夏雄 穂積 裕太 細川 敬祐 片岡 龍峰 三好 由純 大山 伸一郎 尾崎 光紀 塩川 和夫 栗田 怜
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

国際宇宙ステーション(International Space Station: ISS)に搭載されたデジタル一眼レフカメラ(デジカメ)を用いて、オーロラの連続カラー画像が撮影されており、NASA のウェブサイトで公開されている。我々は、それらの画像の中でも、オーロラの高さ構造を同定できる地球をリム方向に撮影した画像を解析的研究に活用することを提案してきた [Nanjo et al., 2020, submitted]。ISS は約 90 分の周期で地球を周回しているため、MLT 方向に 4-5 時間程度のオーロラの大規模な構造をスナップショットとして観測することができる。大規模構造の一例として、オーロラオーバルの朝側領域において、輝度の高い領域が波を打ったような構造になるオメガバンドが広く知られている。これまでに、オーロラを真下/真上から撮影する様々な地上/衛星観測によりオメガ構造の西側(夜側)は東側(朝側)に対して輝度が高くなることが指摘されている [e.g. Opgenoorth et al., 1994; Amm et al., 2005]。しかし、これらの観測はオーロラを二次元的に捉えるため、高さ構造については明らかにされてこなかった。ISS のリム方向デジカメ観測では、オーロラを斜めに捉えているため、高さ構造を識別できる。その結果、いくつかの事例でオメガ構造の明るい領域の西端と暗い領域の境界線上に、南北方向に 300-600 km 伸びる高さ 200-300 km 程度の壁状のディスクリートオーロラ( “Great Wall” )が存在することがわかった。図に示す通り、Great Wall は、底部が緑色で、上部が赤色に発光する。また、Great Wall は南北半球で共通する現象であることもわかった。磁力線方向に伸びる赤と緑の発光は、広いエネルギー帯の電子が加速されていることを意味するが、これは Amm et al. (2005) の UV 観測で見積もられた降り込みエネルギーの 2-5 keV という狭い範囲の数値とは一致しないものである。これは、彼らが用いた観測機器の時空間分解能が低く、Great Wall の部分を切り分けることが難しかったためであると考えられる。また、オメガ構造の内部では、活発な脈動オーロラが観測されることが多いが、THEMIS 衛星との同時観測により、これらがコーラス波動との波動粒子相互作用により降り込む典型的な脈動オーロラであることがわかった。大会では、オメガ構造に現れる Great Wall を作る電子のエネルギー帯やそれらから示唆される磁気圏-電離圏結合系の電流系ついて議論を行う予定である。
著者
片岡 龍峰 佐藤 達彦 塩田 大幸 保田 浩志
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

太陽の爆発現象から地球に向かって放出される太陽高エネルギー粒子(SEP)の影響は、最大規模のもので航空機パイロットの1年間の被ばく線量基準に達するおそれがあるため、宇宙天気予報でも最重要課題として知られている。最高エネルギーSEPによる航空機被ばく線量を物理的に、かつ定量的に予測することを目的とし、3段階モデルを用いて、過去に発生した最高エネルギーSEPイベントについて、地上の中性子モニター観測値を用いた定量的な検証を重ねることで、最高エネルギーSEPの宇宙天気予報システムWASAVIES (WArning System for AVIation Exposure to SEP) を開発した。