著者
牧 陽子
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.137-148, 2015-07-25

高い出生率を誇るフランスの家族政策に近年,関心が高まっている。だが家族給付や多様な家族への現在の支援制度に注目が集まり,男性稼ぎ主モデルでの出生率向上を目指したフランス福祉国家が,1960年代末からの女性の労働市場参入という社会変動の中で,どのように変化したのかについては十分解明されていない。本稿は,フランス福祉国家が共働きモデルへと大きく舵を切った1970年代を対象に,二つの法律(1972年諸措置法と1977年親育児休暇法)の成立過程を議会の文書・言説から分析し,その変化の軌跡を検証した。議員たちは女性の就労という現実を前に1972年には抵抗し,家庭回帰を促した。1977年には女性の就労継続を前提とするようになったが,ケア提供者は母親か両親かで対立した。家族モデルはこうした抵抗,葛藤を経て共働き前提へと変化した。変化の理由には,社会変動に応じた新たな価値を議員が内面化したことや,ヨーロッパの追い風が考えられる。
著者
山口 晴保 牧 陽子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.2146-2152, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

認知症という困難を抱えて生きる人に対する全人的な支援であり,根本的治療薬を持たない薬物療法よりも大きな役割を持つ認知症の非薬物療法を,病期別に解説した.リハビリテーションでは,認知機能向上を目指した介入よりも,快刺激・役割を演じ・褒められ・会話を楽しむ脳活性化リハビリテーションで残存機能を引き出す介入が望まれる.患者への診察態度,言葉遣い,告知,家族指導なども全て非薬物療法の意味合いを持つ.
著者
西口 光一 三牧 陽子 村岡 貴子 難波 康治 西村 謙一 大谷 晋也 義永 美央子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

大学における日本語教育カリキュラムのあり方について、CEFR などの外国語能力記述を参照しつつ、大阪大学における日本語教育のスタンダードとして、6 つの習得段階での各コンポーネントの教育内容と達成水準の記述を行った。それを参照枠としながら以下の開発・研究を行った。(1) 自己表現活動中心の新たな基礎日本語のカリキュラムと教材の開発及びそれに関連する研究(2) 大学院生の研究活動及び各活動に関連するディスコースの研究とそれらに基づくアカデミック・ライティングとアカデミック・オーラル・コミュニケーションのカリキュラムと教材の開発及び実施と検証(3) 社会科学系を専門とする日本語教員による社会科学日本語のカリキュラムと教材の開発的研究(4) 日本語教育 IT 支援プラットフォームに関する研究と同プラットフォームの開発