著者
大力 一雄 梁原 智晶 河津 祐子 牧野 聖也 狩野 宏 逸見 隼 浅見 幸夫
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.61-66, 2020 (Released:2020-04-15)
参考文献数
20

ストレスを感じているタクシードライバー100名をランダムに2群に割り付け, 一方にブルガリア菌 OLL1073R-1 株で発酵したヨーグルトを夏期に1日1本 (112 mL) , 12週間摂取してもらい, ヨーグルト非摂取群と比較した。ストレスの度合いは簡易ストレス度チェックリスト (以下, SCL) のスコアで, SCLの主な項目は個別にVisual Analogue Scaleで, 便性は日本語版便秘評価尺度により評価した。その結果, ブルガリア菌 OLL1073R-1 株で発酵したヨーグルト摂取群 (n=39) は非摂取群 (n=47) と比較して12週間後に 1) SCLのスコアが有意に改善し, 2) 「めまい・ふらつき」と「疲労感」が有意に改善し「頭のスッキリ感」および「睡眠の満足感」が有意に高まり, 3) 「便の排泄状態」と「下痢または水様便」が有意に改善した。以上からストレスを感じているタクシードライバーはブルガリア菌 OLL1073R-1 株で発酵したヨーグルトを摂取することにより夏場の体調が改善する可能性が明らかとなった。
著者
逸見 隼 牧野 聖也 狩野 宏 浅見 幸夫
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.99-102, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
15

我が国では高齢化の進展に伴い, 健康寿命の延伸が課題となっている。この課題解決において健康機能を有する食品が果たすべき役割は大きい。我々は, 日常的に気軽に摂取できるヨーグルトを介した健康増進を目指し, 免疫賦活作用を有する菌体外多糖体を高産生する乳酸菌としてOLL1073R-1株を選抜した。本株で発酵したヨーグルトの摂取はマウスの脾臓細胞のインターフェロン-γ (IFN-γ) 産生を誘導し, ナチュラルキラー (NK) 活性増強効果や抗インフルエンザウイルス活性を発揮した。またヒトでは健常高齢者の風邪症候群の罹患リスクの低減効果や健常成人のインフルエンザワクチン接種後の抗体産生の増強効果を見出し, 自然免疫, 獲得免疫の両面から免疫機能を高め, 感染症に対する防御効果を増強することが示唆された。一方で, 気温変化の大きい季節の変わり目時期における疲労感を軽減することも示され, 体調管理に広く有用であることが明らかとなった。
著者
牧野 聖也 狩野 宏 浅見 幸夫 伊藤 裕之 竹田 和由 奥村 康
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.350b, 2014 (Released:2014-10-07)

【目的】昨年本学会において,我々はLactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(1073R-1乳酸菌)で発酵したヨーグルトの摂取が男子大学生に対してインフルエンザワクチン接種後のワクチン株特異的抗体価の増強効果を発揮することを発表した.今回,より幅広い世代の男女に対して,1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルト(1073R-1ヨーグルト)がインフルエンザワクチン増強効果を発揮するか否かを明らかにすることを目的に二重盲検並行群間比較試験を実施した.【方法】インフルエンザワクチン株に対する特異的抗体価が40倍未満の20歳以上60歳未満の男女62名(25-59歳;平均年齢43.7歳;男性25名,女性37名)を2群に分け,1073R-1ヨーグルト群には1073R-1乳酸菌で発酵したドリンクヨーグルト,プラセボ群には酸性乳飲料を1日1本(112ml),インフルエンザワクチンを接種する3週間前から接種6週間後まで摂取させた.摂取開始前,ワクチン接種時,接種3週間後,接種6週間後,接種12週間後に採血を行い,接種したワクチン株に特異的な抗体価をHI法で測定した.【成績】インフルエンザA型H1N1,B型に対する抗体価はワクチン接種後にプラセボ群に比べて1073R-1ヨーグルト群で有意に高い値で推移した.【結論】1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルトの摂取は,幅広い世代の男女に対してインフルエンザワクチン接種の効果を増強する可能性が示された.
著者
山田 成臣 岩本 千鶴 中村 真梨枝 添田 美里 坪井 洋 狩野 宏 浅見 幸夫
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.25-31, 2016 (Released:2016-04-12)
参考文献数
20

プリン体を多く含む食品の過剰摂取は高尿酸血症の原因となる。腸管におけるプリン体の吸収を低減することで,血清尿酸値の上昇や高尿酸血症の悪化を抑制できる可能性がある。我々は乳酸菌によるプリン体の吸収低減の可能性を検証した。初めにプリン塩基がプリンヌクレオシドよりも吸収されにくいことから,プリン塩基への分解能が高い菌株として Lactobacillus gasseri PA-3(以下 L. gasseri PA-3)を選抜した。また,L. gasseri PA-3 が少なくともアデノシンと AMP を取り込むことを確認した。更に in vivo における L. gasseri PA-3 とプリン体(アデノシンまたは AMP)の同時投与試験で L. gasseri PA-3 のプリン体吸収低減効果を明らかにした。最後に血清尿酸値が 6~8 mg/dL の被験者を対象に L. gasseri PA-3 含有ヨーグルトの摂取試験を行った結果,L. gasseri PA-3 摂取時の血清尿酸値の変化量が対照群よりも有意に低く,ヒトでの有効性も確認された。これらの結果より,L. gasseri PA-3 は腸管においてプリン体の吸収を低減させ,適切な血清尿酸値の維持の一助になると考えられた。
著者
牧野 聖也 狩野 宏 浅見 幸夫 伊藤 裕之 竹田 和由 奥村 康
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.350b, 2014

【目的】昨年本学会において,我々は<i>Lactobacillus delbrueckii</i> ssp. <i>bulgaricus</i> OLL1073R-1(1073R-1乳酸菌)で発酵したヨーグルトの摂取が男子大学生に対してインフルエンザワクチン接種後のワクチン株特異的抗体価の増強効果を発揮することを発表した.今回,より幅広い世代の男女に対して,1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルト(1073R-1ヨーグルト)がインフルエンザワクチン増強効果を発揮するか否かを明らかにすることを目的に二重盲検並行群間比較試験を実施した.【方法】インフルエンザワクチン株に対する特異的抗体価が40倍未満の20歳以上60歳未満の男女62名(25-59歳;平均年齢43.7歳;男性25名,女性37名)を2群に分け,1073R-1ヨーグルト群には1073R-1乳酸菌で発酵したドリンクヨーグルト,プラセボ群には酸性乳飲料を1日1本(112ml),インフルエンザワクチンを接種する3週間前から接種6週間後まで摂取させた.摂取開始前,ワクチン接種時,接種3週間後,接種6週間後,接種12週間後に採血を行い,接種したワクチン株に特異的な抗体価をHI法で測定した.【成績】インフルエンザA型H1N1,B型に対する抗体価はワクチン接種後にプラセボ群に比べて1073R-1ヨーグルト群で有意に高い値で推移した.【結論】1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルトの摂取は,幅広い世代の男女に対してインフルエンザワクチン接種の効果を増強する可能性が示された.