- 著者
-
田中 善一郎
- 出版者
- Japanese Association of Electoral Studies
- 雑誌
- 選挙研究 (ISSN:09123512)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, pp.19-31,177, 1999-02-28 (Released:2009-01-22)
- 参考文献数
- 71
ギリシャ以来の民主政治に対して,選挙を通じて選出された代表者を通じて統治する代議制民主政治は18世紀末以来の人類にとって有望な統治のための装置となった。しかし,選挙で有権者が行う投票の内容は本質的に曖昧である。すなわち,有権者が,もしあるとしても,いかなる理由から特定の政党や候補者に投票したのかは自明ではない。本稿は,民主政治における選挙をめぐる重要なテーマの中から,代表,多数,公約,マンデート,そして,投票の手段性を取り上げ,投票と選挙結果が有する本質的な曖昧性の視点を中心に,それらが抱える問題点を検討する。現代の民主政治における選挙は,理論と実践の両面において,十分注意して取り扱わねばならない。