著者
本間 香貴 岡井 仁志 黒瀬 義孝 須藤 健一 尾崎 耕二 白岩 立彦 田中 朋之
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.27-32, 2010
被引用文献数
1

農家圃場における潅水適期診断の一助として開発した水収支モデルを,実農家圃場に適用した.2圃場においてモデルの出力値である有効土壌水分量(<i>Aw</i>)を土壌体積含水率(<i>SMC</i>)に変換し最適化を行ったところ,実測<i>SMC</i>とR<sup>2</sup>=0.75および0.53で一致し,モデルは農家圃場における水分変動を評価しうると考えられた.モデルを実際に運用するに当たっては,各農家圃場に固有のパラメータである有効土壌水分保持能力(AWHC)を推定する必要がある.本研究では黒瀬(2007)による簡易土壌水分計を用いた推定方法について検討を行った.データ数が少ないものの,簡易土壌水分計における1日当たりの指示値の変化量(<i>&Delta;IR</i>)とモデルによる有効土壌水分比(<i>Aw</i>/AWHC)との間には直線関係がみられたため,その関係を解析に用いた.AWHCは3期間における水分計の指示値(<i>IR</i>)の変化量を用いることにより推定でき,圃場間で24〜73mmの範囲を示した.さらに推定したAWHCの値を用いることにより,<i>IR</i>の推移を予測することが出来た.今後,さらに観測数を増やし,信頼性を高めていくことが重要と考えられた.
著者
田中 朋之 KHAN NADAR KHAN Nadar
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

コメは全世界の約半数以上の人々が主食とする重要な食糧であり、特にアジアの発展途上国では貴重なタンパク源でもある。そこで、パキスタンで収集された約300種類のイネ在来品種・系統における種子貯蔵タンパク質の種内変異を評価した。その結果、主要な貯蔵タンパク質グルテリンのα鎖に関して、ポリペプチドの数と蓄積量に関し大きな変異があることが認められた。特に、リジン含有率の高いグルテリンサブユニットGluB4を認識するanti-B4(No.4b)抗体に対する反応性が品種・系統ごとに大きく異なり、その反応性の違いから、3つのグループに分類できた。その変異パターンと収集地域(N.W.F.P,Punjab,Balochistan,Sind,Azad Jamu Kashmir)ごとに特徴的な農業生態系との間には関連性は認められなかった。一方、グルテリンα鎖における変異の他に、グルテリン前駆体を高蓄積する品種・系統が多く見出された。グルテリン前駆体を高蓄積する品種・系統の出現頻度は、5つの農業生態系により異なり、Punjab由来の品種・系統で最も出現頻度が高く(22%)、次いでSind由来の品種・系統(13%)、Balochistan由来の品種・系統(3%)であり、N.W.F.PとAzad Jammu Kashmir由来の品種・系統には認められなかった。パキスタン由来のイネ遺伝資源におけるそれらの出現頻度は、世界のイネ・コアコレクション約60種類の中で見出された頻度に比べ著しく高かった。世界のイネ・コアコレクションで見出されたグルテリン前駆体を高蓄積する品種・系統が、インド由来の良食味系統local basmati(collection number 40)であったことから、南アジア地域における良食味系統の分布と、グルテリン前駆体を高蓄積する系統の分布との間に関連があることが推察された。
著者
田中 朋之 渦原 茂
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.50(1991-PRO-060), pp.1-10, 1991-06-21

多くの共有メモリ型の並列Lispでは並列性の記述にfuture式を用いている。本稿ではCommon Lispの多値機能にfutureを導入した場合の問題について考える。futureと多値機能を共存させるためには1つのfutureオブジェクトに複数の値を格納できるようにする必要がある。ところがそのままこの方法を用いると、プログラムにfutureを挿入した場合としなかった場合とで返す値の数が異なってしまう場合があり、Common Lispで定義される多値の意味を変えてしまう。この問題を解決するためにmv?context法とmv?pフラグ法の2つの方法を提案する。この2つの方法はマルチプロセッサ・ワークステーションTOP?1上の並列Lisp、TOP?1 Common Lispにおいて実現した。