- 著者
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田尻 尚士
- 出版者
- Japanese Society for Food Science and Technology
- 雑誌
- 日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.10, pp.596-604, 1982-10-15 (Released:2010-01-20)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
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太もやし栽培の改良を目的として,ダイズ,リョクトウ,アズキを用いてエチレンガスの間欠的,短時間処理を行い,その効果を検討した。エチレン濃度は,10, 50, 100ppmに設定,発芽床投入後12時間より始めて栽培7日間,毎日60分間通気中に混入して処理を行なった。エチレン処理は,豆類もやしの生長,品質に大きな影響を与えた。100pmm区では各豆類もやしとも,はい軸部の伸長は抑制され,硬化して繊維質化する傾向があり,側根の発生,および,伸長が著しく,色調も黄色化が明白でかなり品質は劣化した。はい軸部の肥大は著しく増大し,ダイズもやしでは市場取引標準からみて過度となった。重量増加とビタミンC含有量の増加は最も促進された。一方,50ppm区では,はい軸部の伸長,肥大は適度に促進され,重量増加率も高く,ビタミンC含有量も相当増加し,黄色化や硬化は実際上問題とならない程度であった。側根の発生や伸長が促進されたが許容量範囲内であったが,10ppm区でもほぼ同様の効果がみられたが,その程度は50pmm区より劣った。収穫は,はい軸部の生長が市場取引標準に合致し,ビタミンC含有量がピークに近づく頃で,黄色化,硬化,側根生長が顕著になる前が最適であり,総合的には,ダイズ,リョクトウもやしではエチレン処理50ppm栽培で3~4日,アズキもやしは4~5日となり,通常栽培法より各豆類もやしとも2~3日栽培日数は短縮された。以上の結果から,豆類もやしの栽培にあたり,50ppmエチレンガスを間欠的に短時間処理すれば,物性度がすぐれ,ビタミンC含有量の豊富な太もやしの生産が可能であり,同時に栽培日数も短縮され,経済的に有利な方法になると思われる。