- 著者
-
田島 司
- 出版者
- The Japanese Group Dynamics Association
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.2, pp.145-155, 2001-07-15 (Released:2010-06-04)
- 参考文献数
- 41
本研究の目的は, 日常生活における対人関係が実験場面における内集団バイアスと協力行動とに与える影響を検討することである。87名の女性の調査対象者は, 日常での対人関係に関するいくつかの質問に回答するよう求められた。その回答によって, 他者との同一化の程度と, 自己の役割を顧みている程度が測定された。実験参加者は無作為に2つの集団のどちらか一方に所属するよう割り振られ, その後集団成員の属性について評価するよう求められた。また, 被験者は社会的ジレンマ状況におかれ, 100ポイントを自己と内集団とに対して分配するよう求められた。実験の結果は以下の通りである, (a) 能力評価における内集団バイアスは家族との同一化と負の相関関係にあった, (b) 協力的分配は家族での自己の役割を顧みる程度と正の相関関係にあった。