著者
森下 はるみ 黒田 善雄 田畑 泉
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

【目的】本研究の目的は(1)勤労中高年女性の食生活を評価すること,(2)近年、社会問題となりつつある骨粗鬆症との関連で、本対象者の腰椎および大腿骨頸部の骨密度の概要を明らかにすること,(3)身体運動トレーニング(スイミング及び水中運動)が勤労中年女性の持久性体力及び血中脂質に与える影響を明らかにすることであった。【結果】各年代とも、エネルギー摂取量はそれぞれの年代の所要量とほぼ同水準であった。栄養素は、それぞれの年代の女性の所要量を上回る摂取量であった。たんぱく質は所要量より30%多く、脂質も所要量より約10%多めであった。カルシウムはの摂取量は所要量より16%多かった。次にアルコール摂取量はビールをコップ1杯程度であったため、アルコールのエネルギー比率はわずか2%であった。腰椎及び大腿骨頸部の骨密度は年齢とともに低下した。骨密度には個人差が大きかったが、平均的には一般人女性よりも、僅かに高い価であった。水泳トレーニングへの平均出席回数が週当たり1.5回以上の群では、持久性体力の指標である乳酸性作業閾値は24.2±2.2ml/kg/minから26.4±2.4ml/kg/minへ1.6±2.8ml/kg/min有意に増加した(p<0.05)。一方、平均出席回数が週当たり1回以上の群では乳酸性作業閾値とも有意な変化は見られなかった。血中脂質濃度の変化をみると、いずれのグループともトレーニング前後で血中トリグリセリド濃度に変化はみられなかった。また、総コレステロール、LDL-コレステロール濃度はいずれのグループとも上昇する傾向が認められたが、とくに水泳トレーニングにほとんど出席しなかったCグループの被検者の上昇が顕著であった。しかし、いずれのグループもHDL-コレステロール濃度には大きな変化がみられなかった。【まとめ】本研究の結果より、週1.5回以上身体トレーニングを行うと、持久性体力が向上し、さらに血中脂質プロフィールが改善されることが明らかになった。