著者
富山 一 田邊 潔 茶谷 聡 小林 伸治 藤谷 雄二 古山 昭子 佐藤 圭 伏見 暁洋 近藤 美則 菅田 誠治 森野 悠 早崎 将光 小熊 宏之 井手 玲子 日下 博幸 高見 昭憲
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.105-117, 2017-07-10 (Released:2017-09-14)
参考文献数
18

詳細な野焼き頻度分布についての知見を得るために、つくば市において巡回と定点カメラによる観測によって野焼き件数の分布を調査した。2015年秋季 (9~10月) に毎日巡回して燃焼物別の日別野焼き件数を調査し、降雨前に野焼き件数が多くなることが確認されたほか、野焼き件数の57%を占めた稲作残渣は稲の収穫時期から一定期間後に籾殻、稲わらの順で焼却されることが確認された。秋季の巡回調査に続き2016年8月まで4日に1度ほどの頻度で巡回し、月別野焼き件数を比較すると9~11月に多く、1~8月に少ないことが確認された。2016年1~12月にかけて行った筑波山山頂に設置した定点カメラからの観測では、1月、10月~12月に野焼き件数が多く、2~9月に少ないことが確認され、1日の中では午前10~11時および午後2~3時に野焼きが行われやすいことが確認された。2015年秋季の調査結果にもとづいて稲の収穫時期と気象条件から稲作残渣の年間野焼き発生量に対する日別野焼き発生量比を推計する回帰モデルを構築した。回帰係数から、降雨前に野焼き件数が増えること、強風により野焼き件数が減ることが定量的に確認された。構築されたモデルに都道府県別の稲収穫時期と気象データを適用して、従前研究では推計できなかった都道府県別の大気汚染物質排出量の日変動を、2013、2014年の稲収穫時期と気象データを適用して各年の野焼き発生量比の日変動をそれぞれ推計した。
著者
富山 一 菅田 誠治 森野 悠 早崎 将光 小熊 宏之 井手 玲子 日下 博幸 高見 昭憲 田邊 潔 茶谷 聡 小林 伸治 藤谷 雄二 古山 昭子 佐藤 圭 伏見 暁洋 近藤 美則
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.105-117, 2017

<p>詳細な野焼き頻度分布についての知見を得るために、つくば市において巡回と定点カメラによる観測によって野焼き件数の分布を調査した。2015年秋季 (9~10月) に毎日巡回して燃焼物別の日別野焼き件数を調査し、降雨前に野焼き件数が多くなることが確認されたほか、野焼き件数の57%を占めた稲作残渣は稲の収穫時期から一定期間後に籾殻、稲わらの順で焼却されることが確認された。秋季の巡回調査に続き2016年8月まで4日に1度ほどの頻度で巡回し、月別野焼き件数を比較すると9~11月に多く、1~8月に少ないことが確認された。2016年1~12月にかけて行った筑波山山頂に設置した定点カメラからの観測では、1月、10月~12月に野焼き件数が多く、2~9月に少ないことが確認され、1日の中では午前10~11時および午後2~3時に野焼きが行われやすいことが確認された。2015年秋季の調査結果にもとづいて稲の収穫時期と気象条件から稲作残渣の年間野焼き発生量に対する日別野焼き発生量比を推計する回帰モデルを構築した。回帰係数から、降雨前に野焼き件数が増えること、強風により野焼き件数が減ることが定量的に確認された。構築されたモデルに都道府県別の稲収穫時期と気象データを適用して、従前研究では推計できなかった都道府県別の大気汚染物質排出量の日変動を、2013、2014年の稲収穫時期と気象データを適用して各年の野焼き発生量比の日変動をそれぞれ推計した。</p>
著者
橋本 俊次 大塚 宜寿 山本 敦史 高澤 嘉一 柏木 宣久 田邊 潔 頭士 泰之 姉崎 克典 大原 俊彦 半野 勝正
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

固相吸着法などで採取した大気や水試料を加熱脱着法により直接、測定装置に導入することで、迅速かつ網羅的な分析を可能にした。膨大な種類の化学物質を分離測定するために多次元ガスクロマトグラフィ-飛行時間型質量分析法を用いた。測定データから任意の物質情報を抽出あるいは除去する手法を開発し、特に質量欠損の利用は、炭化水素由来のマススペクトルをほぼ完全に除去可能にした。未知物質の同定には質量分解能3万程度の測定が有効であった。非負制限因子分解(NMF)法の応用により、連続するモニタリングデータから差を検出する手法を開発した。また、データ比較のためには必須の保持時間合わせの手法も新たに開発した。
著者
長谷川 就一 若松 伸司 田邊 潔
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.181-192, 2005-09-10
被引用文献数
9

従来から用いられてきた熱分離法による粒子状炭素成分分析において, 有機炭素(OC)の熱分解による元素状炭素(EC)の過大評価が問題となっていた。しかし, 最近, 分析中にフィルター試料の反射光や透過光を測定することによってOCの熱分解補正をおこなう熱分離・光学補正法が広まりつつある。本研究では, 熱分離・光学補正法による分析値が, 熱分離法による分析値とどの程度異なるかを調べるため, 冬季および夏季に, 都市部と郊外において, PM_<2.5>やPM_<10>など数種類の粒径範囲について採取したサンプルを各々の方法で分析し比較した。OCとECの熱分離条件は, いずれの方法においてもHe雰囲気下550℃とした。総炭素(TC)濃度については2つの方法において差は見られなかったが, ECおよびOC濃度は分析法によって明確に違いが見られた。EC濃度は, 熱分離法よりも熱分離・光学補正法の方が小さく, 熱分離法に対して, 反射光によって熱分解補正した場合の回帰直線の傾きは0.70, 透過光によって補正した場合は0.34であった。また, 分析法の違いによる影響だけでなく, 季節の違い, 採取場所による違い, 粒径範囲の違いによる分析値への影響についても検討したが, 分析法の違いによる影響が最も大きかった。また, 一般的に試料のサンプリングに広く用いられているハイボリウムサンプラー(HVS)とローボリウムサンプラー(LVS)の両方を用いてSPM(10μm 100%カット)を採取し, サンプラーの違いによる質量濃度や炭素成分の分析値への影響についても検討したところ, LVSに比べてHVSの質量濃度は15%程度, EC濃度は20%程度, OC濃度は40%程度小さくなっていた。