著者
由井 秀樹
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.43-53, 2016-01-31 (Released:2017-08-30)
参考文献数
34

出産の医療化は戦後の現象として語られる傾向にあったが、都市部においては戦前、戦中期の段階からある程度医療施設出産が普及していたことも明らかにされつつある。しかし、従来の研究では戦前、戦中期の医療施設出産は十分な根拠をもって論じられてこなかった。本稿では、東京府の著名助産取扱医療施設に注目し、その運営状況を、戦中期に行われた助産取扱医療施設に関する調査や施設史などから検証し、戦前・戦中期東京府でどのような医療施設でどの程度出産が行われていたか検討した。その結果、1930年代中盤から40年代初頭にかけての東京府では、産婦人科取扱施設自体は多数存在していたにも関わらず、大部分の医療施設出産は一部の低所得者向けに設立された助産取扱医療施設において行われていたことが示された。したがって、この時期の東京府の医療施設出産は集約型と特徴付けられる。