著者
白幡 聡
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.95-103, 2008-04-30 (Released:2011-03-09)
参考文献数
22

かつて, 新生児期のビタミンK欠乏性出血症は, 新生児出血性疾患の花形的存在であった.一方, 1970年代後半に入ってその存在が広く知られるようになった幼若乳児のビタミンK欠乏性出血症は, 母乳栄養児に好発し, しかも大多数の患児が頭蓋内出血を起こして, 過半数が死亡するか後遺症を残すため, 母乳哺育のアキレス腱として社会的にも大きな関心を集めた.これらの疾患は, 出生時, 産科退院時, 1カ月健診時のビタミンK製剤予防投与によって激減したものの, 少なからぬ幼若乳児が現在でもなおビタミンK欠乏による出血に見舞われている.フランスや英国などEU諸国では, 週1回あるいは連日ビタミンK製剤を経口投与する方式が導入され, これらの方法でビタミンK製剤を投与された乳児の中から本症は起こっていない.そこでわが国でも新しいガイドライン (案) が提唱されている.
著者
白幡 聡
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.55-63, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

1カ月の請求額が1,000万円以上の高額レセプトの件数は2009年の155件から10年後の2018年には728件と5倍近く増加しているが,この間の最高額は2014年を除き,血友病とvon Willebrand病が占めている.凝固因子製剤を使用している血友病患者一人あたりの医療費は全国平均の80倍以上に達する.大規模自然災害の多発や新型コロナウイルス感染症の流行で益々日本経済が逼迫するなか,医療経済の視点から,定期補充療法について,その適応,必要なトラフ値,zero bleedingの必要性,スポーツ参加の許容範囲について再考するとともに,血液凝固因子製剤の価格と費用対効果について考察した.