著者
岩原 廣彦 白木 渡 井面 仁志 高橋 亨輔 磯打 千雅子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_117-I_124, 2015

わが国の少子・高齢化の問題は深刻であり,特に地方ではその進展が早く,四国地方においては,全国平均に比べて約10年早く進行している.地方都市は衰退し,シャッター商店街や空き家の増加は,防犯面や災害発生時の不安要因となっている.このような状況のなか,地方商店街の再生成功モデルとして全国から注目されている高松丸亀商店街がある.この街の特徴は,商店街と住居エリア(定期借地権付分譲マンション)が一体化したものであり,高齢者や障害者にやさしく,就業・文化活動・買い物・病院通いなどにも便利なコンパクトシティである.一方,四国地方は,近い将来発生が予想される南海トラフ巨大地震により,甚大な被害が想定されており,都市再生においては防災力の保有が重要となる.<br> 本稿では,地方都市再生成功先進モデルと評価されているこの事例が,防災の観点からどれだけの防災力を持っているかを評価し,政府が進める地方創生や,国土強靱化の基本理念に基づく市町村国土強靱化計画のモデルとしての展開が可能かについて検討した結果を述べる.
著者
道上 正規 清水 正喜 矢島 啓 檜谷 治 白木 渡 宮本 邦明
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

わが国では、現在では2000を越えるダムが存在しており、地盤条件あるいは降雨条件の厳しいわが国では、地震あるいは豪雨によって貯水池周辺で大きな崩壊が生じる確率は無視できず、崩壊土が貯水池に流入する可能性は低くない。多量の崩壊土が貯水池内に流入すると、イタリアのバイオントダムのように巨大な波が発生し、大災害を引き起こしかねない。このような災害は、大崩壊の発生確率とともに、貯水池数に依存しており、わが国でのその発生確率は年々高くなっていると考えられ、貯水池の流域管理が重要な課題である。そこで、本研究は、このような貯水池内での大崩壊にともなう段波形成について検討することを目的としたものであり、具体的には1)災害事例(特に眉山災害)に関する研究2)土砂崩壊の予測法に関する研究3)崩壊土砂の運動特性に関する数値解析的研究4)崩壊土塊の水域流入に伴う段波の形成と伝播遡上特性に関する数値解析的研究を実施するとともに、最終的に上記の研究を総合し、200年前島原で発生した眉山の大崩壊に伴う災害の数値シミュレーションを試み、大崩壊に伴う段波災害をある程度予測することが可能であることを実証した。
著者
安田 登 白木 渡 松島 学 堤 知明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.496, pp.41-49, 1994-08-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

近年, 日本各地でコンクリート構造物の早期劣化現象が指摘されはじめ, 維持管理業務の重要性が再認識されるところとなっている. コンクリート構造物の健全度評価を行い, 補修の要否を判断する場合, ひびわれ幅やひびわれパターンなどの劣化状況, 構造物の重要度を踏まえた耐用期間ならびに補修の難易度を総合的に判断する必要がある. 本研究は, 曖昧性を含む多くの評価項目を処理する必要のあるコンクリート構造物の健全度の判断に対して, ニューラルネットワークを適用し, 各要因の感度解析を行った.
著者
磯打 千雅子 白木 渡 岩原 廣彦 井面 仁志 高橋 亨輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_31-I_36, 2013
被引用文献数
9

今後発生する南海トラフの巨大地震による被害は,個々の組織にとどまらず広域的な災害が発生し,地域が機能不全に陥る恐れがある.このため地域継続の観点からハード対策及び復旧箇所の優先順位を事前に合意形成を図って決定し,発災直後から各組織が戦略的に行動できる指針を定めておく必要がある.この戦略的計画が地域継続計画(District Continuity Plan:DCP )であり,その策定が求められている.<br> 事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)は,組織の機能停止を想定し,重要業務に優先度を付加して事業サービス継続のための対策を立案するものである.対策の検討にあたっては,事業継続戦略の意思決定は事業組織の責任者に依存する.一方,DCPの策定プロセスには様々な組織が介在するため,意思決定に資する共通の判断基準が必要である.<br> 本研究では,香川地域を対象に実施したDCP策定事例から,DCP策定指針と今後の課題について述べる.
著者
磯打 千雅子 白木 渡 岩原 廣彦 井面 仁志 高橋 亨輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_31-I_36, 2013 (Released:2014-01-31)
参考文献数
10
被引用文献数
9

今後発生する南海トラフの巨大地震による被害は,個々の組織にとどまらず広域的な災害が発生し,地域が機能不全に陥る恐れがある.このため地域継続の観点からハード対策及び復旧箇所の優先順位を事前に合意形成を図って決定し,発災直後から各組織が戦略的に行動できる指針を定めておく必要がある.この戦略的計画が地域継続計画(District Continuity Plan:DCP )であり,その策定が求められている. 事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)は,組織の機能停止を想定し,重要業務に優先度を付加して事業サービス継続のための対策を立案するものである.対策の検討にあたっては,事業継続戦略の意思決定は事業組織の責任者に依存する.一方,DCPの策定プロセスには様々な組織が介在するため,意思決定に資する共通の判断基準が必要である. 本研究では,香川地域を対象に実施したDCP策定事例から,DCP策定指針と今後の課題について述べる.
著者
高橋 亨輔 井面 仁志 白木 渡 磯打 千雅子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1124-1137, 2017-05-15

本研究の目的は,災害時の危機的な状況下で,いかに適切な状況判断ができるか,その判断をもとにいかに適切な意思決定を行い行動に移せるか,これら一連の訓練を通して災害時の対応能力を養成するシステムの開発である.2011年東日本大震災では,広範囲の揺れや巨大な津波により,多くの教員や児童が被災した.従来,学校現場で実施される防災訓練は,マニュアルに記載された基本的な行動手順を確認することを目的としているが,現実の災害では,教員にとって想定を超える事態が発生する可能性もあり,教員自らが適切に状況判断し,素早い意思決定のもとに行動することが求められる.そこで,本研究では,災害時の実践的な対応能力の養成を目的とした災害状況再現・対応能力訓練システムを開発する.提案システムは,まず,大型スクリーンに投影されるバーチャルリアリティ(Virtual Reality:VR)映像と,教室の机や教科書などの現実の物を組み合わせて,バーチャルとリアルを融合して訓練体験者が災害時の臨場感を体感できる環境を構築する.次に,この環境下で対応行動をとる訓練ができるように,訓練体験者の行動に応じて災害状況が切り替わる訓練シナリオを開発する.最終的には,小学校教員を対象とした地震発生時の初期対応訓練シナリオを開発し,学校教員を対象とした訓練の実践事例と訓練システムの運用を通じて,開発したシステムの有用性や効果を検証する.This study aimed to develop a disaster risk reduction training system for school teachers to develop their practicable disaster response capabilities. Education for disaster risk reduction is important in protecting lives. However, conventional disaster reduction education in school in Japan has been delivered in accordance with procedures from the disaster reduction education manual. Although this conventional education material is effective to learn fundamental action steps, it does not provide guideline for the development of practicable response capabilities during disasters. In this study, an attempt is made to develop a simulation system for reproduction of disaster situations. First, an environment is developed to experience disaster situations by using virtual reality image projected on a large screen and real props. Feature of the proposed system is to reproduce disaster situations through a mix of real and virtual space. Next, in order to train response capabilities in this environment, a dynamically changing training scenario is developed. This scenario can switch scenes in response to the trainee's behavior. Finally, the proposed system is applied to practicable initial response training for school teachers in earthquake disaster. A training example for school teachers is presented to demonstrate the usefulness of the proposed system.
著者
石田 香織 井面 仁志 今井 慈郎 堀 幸雄 白木 渡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.135-138, 2009-02-28

耐震改修の急務が報道されつつも,防災教育の整備はその緒に就いたばかりである.防災教育の扱う範囲・対象は多岐にわたるものの,多くの危機管理マニュアルは抽象的で学習者にとって,理解が進まない現状も指摘されることが多い.大学など教育機関でも効果的な教材開発や効率的な実施手法が望まれている.本報告では,学生の観点から,危機管理マニュアルをより効率よく説明できるよう,マルチメディア化し,クラス単位での評価を行い,専用のWebサーバを立ち上げて公開すると共に,オンライン・アンケートによるフィードバックにより,定期的改良や年代や立場に対応した防災教育のための教材作成のアイデア収集もできる教材開発および実施手法の一例について述べる.