- 著者
-
篠田 純子
松倉 節子
久田 恭子
守田 亜希子
中村 和子
山川 有子
相原 道子
蒲原 毅
- 出版者
- 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
- 雑誌
- 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌 (ISSN:18820123)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.3, pp.225-231, 2016-07-30 (Released:2016-09-01)
- 参考文献数
- 12
柑橘類によるアレルギーの4例を経験した。すべて柑橘類単独でなく,他の果物野菜のoral allergy syndromeを伴っていた。感作花粉はさまざまで,4例中スギが3例,シラカンバ・ハンノキは2例,イネ科花粉は1例,ほかにブタクサ1例,ヨモギ1例であった。プリックテストでは,施行した3例全例においてBet v2が陽性であったことから,プロフィリンの関与が強く示唆された。柑橘類アレルギー患者においてプロフィリン抗体陽性の場合,海外ではイネ科花粉感作の報告が多くみられるが,自験例ではイネ科花粉感作は1例のみであり,シラカンバ・ハンノキ花粉やヨモギ,ブタクサとの交叉反応の可能性が考えられた。また,スギ花粉は3例で陽性であったことや過去の報告から,スギとの交叉反応の可能性も否定できないと考えられた。また,1例については,花粉症はみられたものの,アナフィラキシー症状がみられ重篤であったことから,LTPの関与も否定できないと考えられた。