著者
城戸 浩三 作間 忠道 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.442-445_1, 1980

かまぼこ製造工場で原料魚から各工程におけるねり魚肉中のホルムアルデヒドの消長およびかまぼこ板から可食部へのホルムアルデヒドの移行の有無について検討した. 板のホルムアルデヒド平均濃度は古板で4.6ppm, 新板で9.4ppmであり, 原料魚のマエソのホルムアルデヒド含有量は222ppmで, マエソ, イシモチおよびメゴチを合わせた混合すり身は41ppmであった. これを水さらしするとその濃度は著しく減少した. 生と蒸かまぼこの上, 中, 下各層の濃度比較から, 板から可食部へのホルムアルデヒドの移行はなく, 上層のホルムアルデヒドの揮散によって, 濃度差ができると推定した.
著者
渡辺 忠雄
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.251-256, 1959-08-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
12
被引用文献数
2

家蚕の突然変異種の1つであるセリシンのみを吐糸するセリシン蚕についてその特異性を正常蚕と比較して研究した。1. セリシン蚕はフィブロインはほとんど吐糸せずセリシンを正常蚕のセリシン量とほぼ同量吐糸することを知つた。2. セリシン蚕の体液の遊離アミノ酸は正常蚕の体液に比較して約10倍のグリシンと数倍のセリン, チロシンを含むがアラニン含量は正常蚕と変らなかつた。3. セリシン蚕の吐糸するセリシンは正常蚕のセリシンと同じアミノ酸組成を示した。4. セリシンは家蚕の体液中の各アミノ酸含量の大小によりそのアミノ酸組成が変化しないと考えた。5. 正常蚕の体液蛋白のアミノ酸組成は哺乳動物の血液蛋白質によく似ており, セリシン蚕の体液蛋白も大体同じ結果が得られた。6. セリシン蚕から分離した正常蚕と通常の蚕との間には特別な相違は認められなかつた。
著者
城戸 浩三 渡辺 忠雄
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.238-243_1, 1977

トリプシンおよびキモトリプシン活性に対するキサンテン系色素の影響について, 初速度の解析から検討した. まず光の照射の強さの影響は, 照射が強くなるとともに阻害度も増した. 次に両酵素活性を50%阻害する色素濃度および時間について検討し, いずれもローズベンガル>フロキシン>エリスロシン>エオシンの順に阻害した. また<i>K</i><sub>m</sub>およびた<i>K</i><sub>cat</sub>について検討し, その結果より両酵素の活性は色素にょる活性中心部位の阻害によって低下したものと推定した.
著者
鈴木 学 大和 康博 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.160-167, 1973-04-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

土壌に残留する農薬の野菜への移行を検討しつぎのような結果を得た.1) 土壌中に残留する各BHC異性体は, ニンジン, カブ葉, ダイコン葉, ホウレンソウなどに多く移行し, トマト, キャベツなどへの移行は少なかった. 現在の土壌残留量から考えるとニンジン, カブ葉などで残留許容基準をこえる可能性がある.2) アルドリンとディルドリンのキュウリ, ニンジン, ホウレンソウへの移行率は, それぞれ16.6%, 9.6%, 4.4%であった. アルドリンは野菜中でディルドリンの型で検出された. 移行率はキュウリについて文献値にほぼ一致したが, ダイコン, ニンジンについてはかなり低い値を示した.3) エンドリンのキュウリ, キャベツ, ダイコンへの移行率は, それぞれ21.8%, 14.5%, 9.1%であった. エンドリン, アルドリン, ディルドリンの野菜への移行率と土壌残留量から考えると, 日本の残留許容基準をこえる可能性が多い.4) DDTは土壌中にかなりの濃度で残留していたが, 野菜への移行は極めて少量であった.
著者
一色 賢司 津村 周作 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.344-349, 1983-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
9 9

防カビ剤及び防虫剤の摂取レベルについて検討を加え, 次のような結果を得た.1) 7家庭より採取した1人1日分の喫食直前の飲食物 (陰膳) から防カビ剤が検出された. 平均含有量はジフェニル165μg, オルトフェニルフェノール24μg, チアベンダゾール33μgであった.2) 国民栄養調査による果物の摂取量を基にして可食部に由来する防カビ剤の1人1日当りの摂取量を算出した. その結果得られた防カビ剤の摂取量は, ジフェニル0.29μg, オルトフェニルフェノール0.09μg, チアベンダゾール0.04μgであった.3) 7家庭のいずれの陰膳からも防虫剤ピペロニルブトキサイドは検出されなかった.4) 穀類の摂取量を基にして防虫剤の1人1日当りの摂取量を算出したところ, 1.77μgという値が得られた.
著者
木暮 槇太 中島 誠 高橋 幸吉 稲神 馨 須藤 芳三 待田 行雄 林 禎二郎 平尾 常男 五十嵐 三郎 仲野 良男 竹林 克明 吉田 徳太郎 宮内 潔 江口 正治 林 幸之 佐々木 周郁 渡辺 忠雄 近藤 義和 渋谷 勲 須貝 悦治 田中 茂光 小山 長雄 田中 一行 竹田 寛 竹鼻 孝夫 室賀 明義 蒲生 俊興 高橋 保雄 西村 浩 長谷川 金作 森 幸之 永友 雄 梅谷 与七郎 中村 晃三 松本 介 宮沢 正明 加藤 康雄 土橋 俊人 高木 直温 柳沼 泰衛 小野 四郎 村山 隆之 近森 俊哉 辻 辰四郎 小川 敬之 小松 四郎 大岡 忠三 妹尾 計一 森本 宏 梶浦 みち子 萩原 清治 瓶子 まち子 中条 紀三 高木 春郎 飯島 荘資 横内 和多良 清水 滋 堀内 彬明 堀内 ちよし 原田 忠次 木村 敬助 青木 秀夫 後藤 四男 小林 恵之助 皆川 基 皆川 豊作 岡村 源一 小河原 貞二 村山 穰助
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.244-255, 1956-06-28 (Released:2010-11-29)

蚕卵発育中に於けるPhasphataseの組織化学的所見2雄核の接合に関する細胞学的観察カイコガのモザイク複眼の構造とできかた家蚕蛹の頭部が産卵に及ぼす影響家蚕の血組織に関する生理学的研究 (II) 蛹の発育に伴う囲心細胞及び周気管細胞中の遊離アミノ酸の消長家蚕その他数種絹糸虫における誘引物質の共通性と類縁関係に関する研究蚕種の冷蔵障害と水銀塩による沈澱物前胸腺移植後の結紮と絹糸腺の成長家蚕のフラビン化合物に関する研究 (V) 蛹の器官特に中腸におけるフラビン化合物について (予報)家蚕の計量的形質と脳-食道下神経節連合体の機能追加7.白殫病菌の蚕卵への接種試験繭・繊維の部熱風乾燥に関する研究 (II)繭解じよの向上についての研究 (IV) 病蚕成立繭特に硬化病, 軟化病, 膿繭蚕繭の性状繭及び生糸の繊度変異に関する研究 (9) 定粒生糸と定繊度生糸の性能比較について生糸の摩擦係数に関する研究 (7) 精練度と摩擦係数について糸条斑と繰糸管理について生糸の練減率測定に関する2, 3の知見絹の膨潤現象から見た中心層発現の-所見チオ尿素樹脂の還元性について繭層セリシン溶液の粘度吐糸営繭に伴なう繭形の変化 (続)営繭条件と分離細繊維との関係フイブロインの糸条形成について (VIII) フイブロインの溶液中における分散状態について絹糸構造の研究 (I)酵素製糸の研究 (II)酵素精練の研究 (II)追加8. 落緒に関する研究 (II) 落緒形態の出現率とその分布
著者
堤 将和 今村 寛司 波多野 昌二 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.443-447, 1973-10-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

1) 一般の殺菌剤と同様過酢酸の殺菌力もまた薬剤の濃度のみに依存するのではなく, 胞子濃度にも関係することが明らかとなった.2) 過酢酸はカビに対しても強い殺菌力を示した. またこの殺菌力はカビの生活史に関係なくどの生育時点でも作用した.3) 過酢酸はタンパク質分解酵素やグルコース-6-リン酸脱水素酵素の作用を阻害した. この酵素阻害は酵素タンパク質, とくにタンパク質の構成アミノ酸に対する作用であると推定した. したがって過酢酸の酵素阻害は特異的なものではなく, 他の一般酵素に対しても同様の阻害が推定された.4) 過酢酸はタンパク質の他, 核酸とも反応した. この核酸に対する作用は核酸塩基に対する作用であることが明らかとなった. このことから核酸塩基関連物質など生理的に重要な細胞成分との反応も示唆された. また過酢酸は補酵素の構成成分であるビタミン類に対しても顕著に作用し, 過酢酸の作用の複雑さが示唆された.5) 以上のことから過酢酸の殺菌機構は特定の作用機作に基づくものではなく, 細胞の不特定成分との広い反応に基づくものと推定した.
著者
堤 将和 今村 寛司 波多野 昌二 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.116-120, 1974-04-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
10
被引用文献数
4 8

1) 過酢酸は核酸塩基ならびにヌクレオシド単独に作用し, その作用はpHに大きく影響され, アデニン, シチジンを除く他の塩基類はpHが高くなるに従って分解されやすくなった.2) 過酢酸は核酸 (DNA) に対しても作用した. DNAに対する作用の一つはDNA塩基に対する作用であることが塩基分析の結果明らかとなった. このDNA塩基に対する作用は塩基単独の場合とは異なり酸性域で強く作用した. 中性, アルカリ性域では酸性に比べ塩基の分解は小さく, 高濃度過酢酸に対しても比較的安定であった.3) 過酢酸をDNAに作用させると粘度の低下がみられた. この粘度の低下は二本鎖DNAが一本鎖DNAになることによって起こる粘度低下よりも大きいことから, DNAの切断などの, より大きな変化がDNAに起こっていることを示唆した.