著者
森本 宏 菊川 義宣 村上 尚史
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.146, no.4, pp.225-232, 2015 (Released:2015-12-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

尋常性ざ瘡は,脂腺性毛包での毛包漏斗部の角化異常に伴う閉塞およびPropionibacterium acnes(P. acnes)などの細菌増殖による炎症惹起を含め,多因子が絡み合って発症する疾患とされる.過酸化ベンゾイルは,分解に伴い生じるフリーラジカルが,尋常性ざ瘡の病態に関与するP. acnesなどの細菌の細胞膜構造などを障害することで抗菌作用を発揮すると考えられる.また,角層中コルネオデスモソームの構成タンパク変性に基づいて,角質細胞間の結合を弛めて角層剥離促進をもたらすと示唆される.これらの薬理学的機序により,過酸化ベンゾイルは細菌増殖を抑制し,毛包内に貯留した皮脂放出を促すことで尋常性ざ瘡を改善する.尋常性ざ瘡患者を対象とした国内臨床試験において,過酸化ベンゾイルゲル2.5%を1日1回,12週間塗布することにより,治療開始2週後からプラセボに対し有意な炎症性および非炎症性皮疹数の減少を示した.また長期投与試験により,52週後まで皮疹数減少が維持されることを確認した.さらに,被験者に認められた副作用はおもに適用部位である皮膚に発現したもので,多くは軽度の事象であり,いずれも無治療あるいは薬物治療で回復した.本剤は,52週間塗布することによりP. acnesの抗菌薬感受性を低下させることなく,かつ抗菌薬感受性に関わらず皮疹改善効果に影響は認められなかった.さらに,本剤塗布後,過酸化ベンゾイルは安息香酸および馬尿酸に代謝され,尿中に排泄された.以上から,過酸化ベンゾイルゲル2.5%は,尋常性ざ瘡治療において忍容性が高く持続的な治療効果が得られる薬剤であり,海外と同様に本邦での標準的な治療薬の一つとして期待が持てる.
著者
木暮 槇太 中島 誠 高橋 幸吉 稲神 馨 須藤 芳三 待田 行雄 林 禎二郎 平尾 常男 五十嵐 三郎 仲野 良男 竹林 克明 吉田 徳太郎 宮内 潔 江口 正治 林 幸之 佐々木 周郁 渡辺 忠雄 近藤 義和 渋谷 勲 須貝 悦治 田中 茂光 小山 長雄 田中 一行 竹田 寛 竹鼻 孝夫 室賀 明義 蒲生 俊興 高橋 保雄 西村 浩 長谷川 金作 森 幸之 永友 雄 梅谷 与七郎 中村 晃三 松本 介 宮沢 正明 加藤 康雄 土橋 俊人 高木 直温 柳沼 泰衛 小野 四郎 村山 隆之 近森 俊哉 辻 辰四郎 小川 敬之 小松 四郎 大岡 忠三 妹尾 計一 森本 宏 梶浦 みち子 萩原 清治 瓶子 まち子 中条 紀三 高木 春郎 飯島 荘資 横内 和多良 清水 滋 堀内 彬明 堀内 ちよし 原田 忠次 木村 敬助 青木 秀夫 後藤 四男 小林 恵之助 皆川 基 皆川 豊作 岡村 源一 小河原 貞二 村山 穰助
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.244-255, 1956-06-28 (Released:2010-11-29)

蚕卵発育中に於けるPhasphataseの組織化学的所見2雄核の接合に関する細胞学的観察カイコガのモザイク複眼の構造とできかた家蚕蛹の頭部が産卵に及ぼす影響家蚕の血組織に関する生理学的研究 (II) 蛹の発育に伴う囲心細胞及び周気管細胞中の遊離アミノ酸の消長家蚕その他数種絹糸虫における誘引物質の共通性と類縁関係に関する研究蚕種の冷蔵障害と水銀塩による沈澱物前胸腺移植後の結紮と絹糸腺の成長家蚕のフラビン化合物に関する研究 (V) 蛹の器官特に中腸におけるフラビン化合物について (予報)家蚕の計量的形質と脳-食道下神経節連合体の機能追加7.白殫病菌の蚕卵への接種試験繭・繊維の部熱風乾燥に関する研究 (II)繭解じよの向上についての研究 (IV) 病蚕成立繭特に硬化病, 軟化病, 膿繭蚕繭の性状繭及び生糸の繊度変異に関する研究 (9) 定粒生糸と定繊度生糸の性能比較について生糸の摩擦係数に関する研究 (7) 精練度と摩擦係数について糸条斑と繰糸管理について生糸の練減率測定に関する2, 3の知見絹の膨潤現象から見た中心層発現の-所見チオ尿素樹脂の還元性について繭層セリシン溶液の粘度吐糸営繭に伴なう繭形の変化 (続)営繭条件と分離細繊維との関係フイブロインの糸条形成について (VIII) フイブロインの溶液中における分散状態について絹糸構造の研究 (I)酵素製糸の研究 (II)酵素精練の研究 (II)追加8. 落緒に関する研究 (II) 落緒形態の出現率とその分布
著者
吉田 実 森本 宏
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.337-341, 1963
被引用文献数
1

予備飼育飼料を与えて調整した成熟雄ラットに,各種澱粉を含む試験飼料を給与して排糞量を測定することによって,それぞれの供試澱粉と同じ消化性をもつトウモロコシ,ジャガイモ澱粉混合物を推定し,混合物中のジャガイモ澱粉含量をもってPSスコアとし,これによって各種澱粉の消化性を示すことを試みた.<br> 15種類の天然澱粉について検討した結果,穀類澱粉のPSスコアはほぽ0であって消化性が非常によかった.マメ類の澱粉がこれについでPSスコアは約10であった.球根,塊根類はかなり変化があって, PSスコアはタピオカ,タロー,クズ,ヒガンバナ,サツマイモ,ヤマユリ,ジャガイモの順であった.このようなPSスコアによる配列の順序は澱粉結晶部分の結晶構造による配列とかなりよく似ている.<br> さらに,排糞量から消化率を推定する方法を考案して各種澱粉の消化率を推定した.この方法は非常に簡便で化学分析の必要がなく,供試澱粉の所要量も非常に少なくてよい長所をもっている.