著者
加賀屋 勇気 大倉 和貴 皆方 伸 土田 泰大 阿部 芳久 塩谷 隆信
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.55-61, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
23

心不全患者では,労作時の呼吸困難・倦怠感による運動耐容能低下が問題点となることがある.こうした労作に伴う症状は心機能が低下した結果と捉えられがちだが,吸気筋の筋力低下が影響している可能性がある.実際に,心不全患者の吸気筋力は同世代の健常者と比較して低値を示し,吸気筋力は心不全患者の予後規定因子でもある.さらに吸気筋力が低下した患者に対する吸気筋トレーニング(IMT)では運動耐容能,呼吸困難感,QOLの改善が期待できる.一方で,心不全は,他の疾患よりもトレーニングによる心負荷に考慮が必要である.30-40%PImaxの強度ではバイタルに大きな変動はないが,期外収縮の頻度が若干増加する場合もあるため,症例によってはモニタリング下での実施が望ましい.心不全患者に対するIMT研究が進むとともに,IMTが心不全治療の一選択肢として認識されていくことが期待される.
著者
木元 裕介 佐竹 將宏 菊谷 明弘 皆方 伸 中澤 明紀 岩澤 里美 佐藤 峰善 若狭 正彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.51-57, 2015 (Released:2015-07-31)
参考文献数
32

【目的】大腿四頭筋へのダイナミックストレッチングとスタティックストレッチングを実施した後の、膝屈曲可動域および膝伸展筋力の変化を検討した。【方法】健常成人男女18名を対象に、ダイナミックストレッチングを行う介入、スタティックストレッチングを行う介入、ストレッチングを行わず安静を保つ介入(安静)を行った。ダイナミックストレッチングは、つかまり立位をとり1回6秒(10回/分)のゆっくりとした速度で12回行う方法とした。【結果】ダイナミックストレッチングおよびスタティックストレッチングは、同様に膝屈曲可動域が有意に増加した。しかし、スタティックストレッチングにおいてのみ膝伸展筋力が有意に低下した。安静は全てにおいて有意な変化がなかった。【考察】1回6秒を12回行うダイナミックストレッチングは、理学療法場面において有益な方法となり得る可能性があった。
著者
齊藤 恵子 皆方 伸 佐藤 雄一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.35-39, 2015 (Released:2015-07-31)
参考文献数
12

本研究の目的は,当センター回復期リハビリテーション病棟(回リハ病棟)における脳卒中患者の血清アルブミン(Alb)を指標に栄養状態とバランス機能,ADLの関係を調査することである。対象は,当センター回リハ病棟に入棟した初発脳卒中患者58名とした。検討項目は,診療録より後方視的に,入棟時のAlb,入棟時・退院時の体幹・下肢運動年齢検査(MAT),入棟時・退院時の機能的自立度評価(FIM)運動項目合計点,FIM利得,入棟時の年齢,発症から入棟までの日数(入棟日数),在棟日数を抽出した。入棟時のAlb3.5g/dlを基準として対象群を2群に分類し,基準値以上の正常Alb群と基準値未満の低Alb群で各検討項目を比較した。結果,低Alb群は有意に高齢で,入棟日数が有意に長く,入棟時・退院時ともにMAT,FIM運動項目合計点が有意に低値を示した。このことから,回リハ病棟入棟時の低Albは高齢者に多く,低Albではバランス機能やADLが低いレベルに留まる可能性が示唆され,急性期からの栄養管理が重要と考えられた。
著者
越後谷 和貴 岡田 恭司 皆方 伸 長谷川 弘一 若狭 正彦 木元 稔 齊藤 明 大倉 和貴 須田 智寛 南波 晃
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.E-183_2-E-183_2, 2019

<p>【目的】</p><p> 脳卒中後片麻痺患者のうち、リハビリ開始時に杖なしで自立歩行が可能な患者では、歩行パターンに何らかの異常を有しても、歩行自立の妨げにはならない程度の異常と言える。よってこれらの異常を定量的に明らかにできれば、片麻痺患者に歩行自立を許可する基準となると考えられる。近年、簡便かつ定量的に歩行パターンを評価できるツールとして足圧分布が種々の疾患で広く調べられており、片麻痺患者でも応用が期待できる。本研究の目的は、回復期リハビリ開始前から自立歩行が可能であった片麻痺患者の歩行パターンを、足圧分布を用いて解析し、自立歩行を許可しうる異常を明らかにすることである。</p><p>【方法】</p><p> 回復期リハビリテーションを受けた脳卒中後患者31名のうち、入院時に杖なしで歩行が自立していた右片麻痺患者8名(自立歩行群;男6名、女2名、平均年齢62 ±7歳、梗塞4名、出血4名)と、75歳未満の地域在住者で下肢に整形疾患のない14名(健常群;男7名、女7名、64 ± 6歳)を対象に足圧分布測定システム(F-scan Ⅱ、ニッタ社製)を用いて、10 m 快適歩行における足圧分布、および歩行速度を計測した。足圧分布のデータより、踵、足底中央、中足骨、母趾、第2-5趾の5領域の荷重圧比、足圧中心軌跡の足部長軸方向の移動距離比である%Long をそれぞれ3回計測し、平均値を算出した。統計学的検討では健常群と比較した入院時の特徴を明らかにするため、荷重圧比、%Long、歩行速度の群間比較に対応のないt 検定を用いた。また荷重圧比、%Long と歩行速度との相関をSpearman の順位相関係数で検討した。解析ソフトはSPSS 21 を用い、有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p> 健常群に比べ、自立歩行群では右足(麻痺側)の足底中央への荷重圧比が高値(健常群2.9 ± 1.7% vs.自立歩行群 8.3 ± 6.4%)を示し、第2-5趾への荷重圧比が低値(8.8 ± 4.0% vs. 5.4 ± 1.5%)で、%Longは低値(78.7 ± 7.4% vs. 70.1 ± 8.3%)を示した(それぞれp = 0.008,p = 0.014,p = 0.030)。左足(非麻痺側)では足底中央への荷重圧比が高値(2.8 ± 2.1% vs. 8.2 ± 8.1%)を示し、%Longは低値(77.8 ± 6.8% vs. 68.2 ± 6.1%)を示した(それぞれp = 0.034,p = 0.004)。自立歩行群で歩行速度は低値(1.3 ± 0.2 m/sec vs. 1.0 ± 0.2 m/sec)を示した(p = 0.006)。</p><p> 歩行速度は右足の踵(rs = .49,p = 0.022)、%Long(rs = .45,p = 0.035)とそれぞれ有意な正の相関を示し、足底中央(rs = ‐.56,p = 0.007)とは有意な負の相関を示した。また左足の踵(rs = .56,p = 0.007)、%Long(rs = .49,p = 0.022)とそれぞれ有意な正の相関を示し、足底中央(rs = ‐.60,p = 0.003)とは有意な負の相関を示した。</p><p>【考察】</p><p> 健常群に比べ自立歩行群では麻痺側、非麻痺側とも足底中央への荷重圧比が高く、足部長軸方向への移動距離比である%Longが低値で、かつ%Longと歩行速度との相関性が注目された。脳卒中後患者では両側の%Longが健常者の85%程度あれば、自立歩行を許可することが可能と考えられた。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> 書面で説明を行い、同意書を得た上で開始した。測定中は理学療法士が傍に着き、事故のないように配慮した(秋田県立リハビリテーション・精神医療センター倫理審査委員会28-5)。</p>