著者
益本 仁雄 宇都宮 由佳
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.87-98, 2000-11-18
被引用文献数
2

筆者らは, 北タイで情報化と経済化の進展の影響による住民の意識, 行動, 生活価値観の変化や共同体の変容について, 1992年から継続研究に取り組んできた。対象の村では, 1996年末の電化を契機にテレビを通して外部の情報が大量に流入し, 村人の情報交換が飛躍的に活発になった。急速な情報化は, 村人の意識, 行動, 生活価値観も変えつつあることを1998-99年に本紙で発表した。今回の論文は, 最近のタイ社会および当該村周辺の生活環境の変化を踏まえ, 意識, 行動, 生活価値観を13項目に整理・追加し, 村人が現在どのように意識し, 電化前後でどのように変わったかについて調査し, さらにタイ社会の「価値観」に関する先行研究である河部論文(1997)の項目についても検討をおこない, 結果を情報文化論の視点から論ずる。電化後の現在, 高収入欲求, 高学歴志向, 労働観, 勤勉性などが村人の意識が高まった。一方, 意識があまり変化しない項目として, 愛想良く暮らすこと, 保守的な意識, 冷静な心, 仏教や精霊信仰等があげられる。生活向上のための高収入欲求の昂進を軸としてその実現手段に有効な項目, 関連性の密接な項目ほど変化が急激で, この軸から距離を置くほど変化が緩慢である。新しい生活情報の流入は, 高収入欲求の昂進させ, 手段的・直接的関係の強い意識・行動・生活価値観が大幅な変化をきたし, 変化した村人の新たな行動を媒介として村文化が変容する, という図式を描くことができる。なお, 河部論文の一部の項目は, 本調査の結果では妥当性が低いと考えられる。
著者
益本 仁雄 宇都宮 由佳 中野 美雅
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.54-65, 1998-10
参考文献数
13
被引用文献数
3

筆者らは, 1992年以来, 北タイのある農村で情報化が村人と共同体に与える影響と彼らの意識, 行動, 生活価値観などの変容について継続研究を行っている。この村は, 情報流入が極く少量であったが, 1996年末の電化によるテレビの普及を契機に, 爆発的に情報が流入し, 人類の情報に対する歴史的変化の縮図の様相を呈している。電化後1年半経過した最近(1998年5月)の実態の分析結果を以下に示す。情報受信の総件数は, 電化半年後に比べ増加し, 特に口コミの増加が顕著であり, テレビやラジオから新聞・雑誌へのメディア選択の拡大がみられる。受信内容としては村外情報が増加し, 経済・景気, エイズ・衛生, 王室関連など顕著で, 生活商品, ファッションなどが登場して村人の関心領域の拡大を示した。さらに, 「情報」に対する理解や認識が村人に形成されつつあること, 外部情報を積極的に取り入れ商人との売買交渉で対抗するようになったこと, 人の家族の移動が活発になってきたこと, 就労形態・方法や生活価値観に変化がみられること, 周囲の村との所得格差が解消しつつあること, 他方, 村人の一部に情報化に対する拒否反応・過剰適応の存在などが観察された。
著者
中野 美雅 益本 仁雄
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.43-50, 1995-03-30

入学試験の手順を大きく変更することなく,コストも最小限におさえ,処理時間の短縮を図るための入試システムを開発した.市販のデータベースを使用し,必要な項目を作成し,願書より入学願書マスターを作成した.各科目の成績入力,入試成績一覧表を受験番号順,成績順にそれぞれ打ち出し,更に,併願校も判定の資料として打ち出した.合格者が決定した後,合格確認書及び,掲示用の合格者番号も拡大印刷した.これらの作業をパソコン3台,プリンタ2台で行ない,導入前の処理時間の約4分の1に短縮し,入学試験実施当日に合格発表を可能にした.更に.合格し,入学手続きをした生徒のデータは,そのまま学籍簿に使用でき,今後の生徒データ処理の時間短縮の可能性を導いた.
著者
宗景 志浩 吉田 徹志 益本 俊郎 バクタ ジャティンドラナース
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

鹿沼土や赤玉土等を素材に熱処理を行ってシリカセラミックスを作成した。これを使って環境汚染物質(重金属類、富栄養化物質、抗生物質)の吸着能・分解能を調べ、その応用に関して検討した。ここではシリカセラミックスの物理・化学的特性とその改良法、活性化法、有害重金属(Hg^<2+>, Cd, As, Cs)の吸着除去能、カラムを用いた実用化への展開に限って取りまとめる。