著者
南山 泰之 照井 健志 村山 泰啓 矢吹 裕伯 山地 一禎 金尾 政紀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.147-156, 2017-06-01 (Released:2017-06-01)
参考文献数
20

「データジャーナル」は従来の「出版」の枠組みを活用しながら,データの保存や再利用を促すために有効な手法と考えられているが,国際的にも概念形成の途上である。本稿では,国内におけるデータジャーナル構築,運用に向けた具体的な検討材料を提供するため,国内での実践例として2017年1月に創刊されたデータジャーナル『Polar Data Journal』を紹介する。具体的には,背景としての国立極地研究所におけるデータ公開の歴史,構想から創刊に至るまでの合意形成プロセス,「データジャーナル」を通じてデータを適切に取り扱うために必要な要件やワークフロー,およびそれらと連携する基盤構築について示す。
著者
飯田 真一 太田 岳史 松本 一穂 中井 太郎 KONONOV Alexander V. MAXIMOV Trofim C. VAN DER MOLEN Michiel K. DOLMAN Albertus J. 矢吹 裕伯
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.109-121, 2016

シベリアのカラマツ林を対象として林床面上および林冠上において渦相関法を適用し,下層植生および全生態系からの蒸発散量を計測した。そして,これらの旬積算値の年々差を評価した。その結果,旬蒸発散量の年々差は全生態系で-11.0 mm~9.5 mm,下層植生で-2.4 mm~4.7 mmと見積もられ,この値は月蒸発散量の平均値の20~30%に相当しており,本林分では顕著な旬蒸発散量の年々差が発生することが明らかとなった。この要因を検討するため,Penman-Monteith式の放射項と移流項の年々差との相関を解析したところ,本林分の低い乖離率を反映して,蒸発散量の年々差は移流項の年々差によって説明されることが分かった。そして,移流項の年々差を生じさせる要素としては,飽差の差異とそれに伴う表面コンダクタンスの変化が重要である。