- 著者
-
南山 泰之
- 出版者
- 一般社団法人 情報科学技術協会
- 雑誌
- 情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.2, pp.49-49, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
2018年2月の特集は「意匠権・商標権」です。内閣の知的財産戦略本部が決定した「知的財産推進計画2017」によれば,知的財産は「企業・個人の経済活動や創造活動を支える礎」とされ,国際競争力の強化を図り,今後の繁栄を確保するための最重要課題,と謳われています。本協会の活動においても知的財産たる特許や著作権は非常に重要なトピックとなっており,本誌でも単独の記事のみならず特集テーマとしても度々取り上げてきました。しかしながら,私たちが知的財産として保護すべき権利はこれに留まらず,今回の特集テーマともなっています意匠権・商標権や,その他様々な法的権利が存在しています。今日におけるウェブの発展によって侵害の態様が複雑化している中,これらの様々な権利によって,何がどこまで法的に保護されるのか,の基礎を改めて確認しておくことは有益と思われます。本特集では,上記のような特集趣旨のもと,6人の方々から論考をいただきました。初めに,ユアサハラ法律特許事務所の青木博通様からは,意匠権・商標権の全体像として,法制度上の概要を詳細に解説いただきました。西村あさひ法律事務所の齊藤良平様からは,ブランドの意義やその活用戦略と,商標権・意匠権の活用による法的保護の具体的な手法についての論考をいただきました。独立行政法人工業所有権情報・研修館の宗裕一郎様からは,特許,実用新案,意匠及び商標等の産業財産権関連の工業所有権公報等を無料で検索・照会可能なデータベースである,J-PlatPatの使い方を詳述いただきました。株式会社マークアイの中村哲様,大井麻美様からは,商標調査の実態と,調査活動に資する商標データベースに関する詳細な紹介をいただきました。持田製薬株式会社の石川浩様からは,現場における豊富な知財教育の経験に基づいた論考をいただきましたいずれの方々からも,実務のご経験を背景にした極めて実践的な内容をご執筆いただいており,本特集記事を通読することによって,意匠権・商標権に馴染みがない方々にとっては学び始めのステップとして,既に担当されている方々にとっては,知的財産権の体系を様々な角度から多角的に捉えることができるものと考えています。本特集が,知的財産の保護の重要性をより深く理解し,私たち一人一人が意識を高めていくための一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),長屋俊,田口忠祐,小山信弥)