著者
矢崎 裕美子 斎藤 和志
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.131-140, 2014 (Released:2014-03-18)
参考文献数
30

本研究は就職活動時の情報探索行動および入社前研修が内定獲得後の就職不安の低減に及ぼす効果を検討した。入社前研修としては,内定者向け研修と内定者懇親会を取り上げた。一般企業への就職が決定している学生177名を対象とし,質問紙調査を行った。因子分析の結果,内定獲得後の就職不安は1因子,情報探索行動は先行研究と同様の企業特徴,就活方法,自己関連,経験・体験の4側面で構成された。内定獲得後の就職不安に対し,各情報探索行動(高・低)×入社前研修(参加・不参加)の二要因分散分析を行った結果,内定者向け研修と経験・体験,就活方法の情報探索行動の交互作用効果,内定者懇親会と経験・体験の情報探索行動の交互作用効果が得られた。また,企業特徴,就活方法の情報探索行動と内定者向け研修の主効果は見られたが,内定者懇親会の主効果はみとめられなかった。本研究の結果から,就職活動中に情報探索行動を多く行ったうえで入社前研修に参加することが内定獲得後の就職不安低減に効果的であることが示された。
著者
橋本 剛 吉田 琢哉 矢崎 裕美子 森泉 哲 高井 次郎 Oetzel John G.
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.91-103, 2011 (Released:2012-03-24)
参考文献数
62
被引用文献数
1 4

日米の大学生を対象とした質問紙調査によって,高親密/低親密関係それぞれにおける対人ストレッサー頻度,それらとソーシャルスキルの関連,およびディストレスへの影響の文化差について検討した。対人ストレッサー頻度に関して,対人葛藤(ケンカや対立)の文化差は示されなかったが,対人過失(迷惑をかけること)と対人摩耗(本音の抑制や気遣い)については文化と親密性の効果が見いだされ,なかでも日本・高親密条件では他の条件と比較して対人過失の頻度が最も高く,一方で対人摩耗は相対的に低かった。対人ストレッサー頻度の文化差に対するソーシャルスキルの影響として,日本のほうがアメリカよりも高親密関係の対人過失頻度が高いという文化差に対するスキルの媒介効果が有意であった。また,高親密関係における対人葛藤頻度とスキルの関連について,アメリカでは高スキルほど対人葛藤頻度が低いという負の関連が示されたが,日本ではそのような関連は示されないという文化の調整効果が見いだされた。対人ストレッサーとディストレスの関連については,高親密関係の対人ストレッサーについて,アメリカより日本の方がディストレスとの関連が強いという文化差が見いだされた。
著者
杉本 英晴 浦上 昌則 矢崎 裕美子 高綱 睦美
出版者
日本キャリア教育学会
雑誌
キャリア教育研究 (ISSN:18813755)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.15-26, 2023-09-30 (Released:2023-10-11)
参考文献数
34

The purposes of this study were to confirm the reliability and validity of the Circumstance Utilization Skills Scale (CPFOST) and to clarify the temperamental basis of the circumstance utilization skills in relation to the behavioral inhibition/activation systems (BIS/BAS). Study 1 tested the reliability and validity of the CPFOST in 228 university students. As a result, the CPFOST had sufficient internal consistency and validity. In Study 2, the temperamental basis was examined in the circumstance utilization skills in relation to the BIS/BAS. Analysis of data from 145 university students revealed that BIS prevents the formation of circumstance utilization skills, while BAS may encourage the formation of circumstance utilization skills. In addition, the interaction effect of BIS and BAS was confirmed in the “interpersonal ties” skill in the circumstance utilization skills. These results suggest that that BIS/BAS are the temperamental basis for skills in circumstance utilization and suggest the need for career education and support considering such individual differences.