著者
山崎 浩 矢沢 久豊 平田 雄志
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.30-36, 1998-01-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
6 9

ジャケット付き撹拌晶析槽の内壁面に予め形成した氷層から氷晶を成長させることによってのみ溶液が濃縮される新しい凍結濃縮法 (アイスライニング法) を開発した.セファロスポリンCNa溶液の凍結過程について濃縮液の濃度と液量を測定することにより, 本法はアイスライニングを使用しない単純凍結と比較して高濃縮液の回収に極めて優れていることが明らかになった.溶質の見かけの分配係数は, 濃縮液の溶質濃度に対する氷の溶質濃度の比として定義した.実験の結果, 分配係数は, 供給液濃度が低い場合, ブライン温度と供給液の氷点が小さい場合, また, 撹拌速度が大きい場合に減少した。さらに, 本法は, 蒸発濃縮法と比較して濃縮液中の溶質の劣化がほとんどないことが確認された.
著者
加々良 耕二 山崎 広志 矢沢 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.604-609, 1994-09-15 (Released:2009-11-12)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

フォスミドマイシン精製晶析は液滴からの溶媒の物質移動を伴う結晶化過程と, 撹拌による析出結晶の機械的破砕過程を含む複雑な晶析法である.本晶析法によって得られるフォスミドマイシンの粒径および粒径分布をコントロールするため, 5lベンチスケールおよび200l一パイロットスケールで実験を行い, 粒径に関しては単位体積当たりの撹拌所要動力 (n3d5/V) およびZ因子が, また粒径分布に関しては単位時間当たりの流体の平均循環回数 (nd3/V) が装置形状・スケールに関係なく良好な相関関係を与えることを見出した.さらにこの因子を仕様の異る無菌室の200l晶析槽に適用した結果, 製剤化に適した所望の粉体特性を有するフォスミドマイシンが得られた.
著者
西山 太一郎 柚木 邦博 本田 孝善 矢沢 久豊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.3, pp.201-206, 1998-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
4

医薬品製造工程は, 粉砕, 混合, 空気輸送など, 粉粒体を取り扱う操作が多く, 静電気に起因する粉粒体の付着, 凝集などの製造トラブルにしばしば遭遇する. このトラブルの原因究明のため, 粉粒体の輸送状態における帯電量と粉体特性の変化を測定評価する帯電特性評緬装置の開発を行った, この評価装置は, 粉粒体を空気輸送によって帯電させ, 経時的に帯電量を測定できるもので, いろいろな物理化学的特性を有する原薬や造粒物質について評価検討を行った.その結果, 空気輸送によって変化する帯電量と粉体特性値から粉粒体のパイプ輸送や回転型混合容器等で発生する帯電, 付着が予想できるようになり, 原薬製造における晶析操作条件の最適化, 粉粒体の取扱い操作ならびにプラソトの安全運転に必要なデータの提供が可能となった.
著者
山本 英治 井ノ上 恵照 篠崎 勝彦 矢沢 久豊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.9, pp.654-657, 1997-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9

医薬品抗生物質の重要中間体,セファロスポリンCエステルを醗酵法で得られたセファロスポリンCから酢酸エチルを溶媒にして,エステル化を行い,直接,抽出分離を行う反応抽出プロセスの最適化検討を行った.反応抽出溶媒酢酸エチル相の容積分率が大きい(0.33以上)領域では攪拌の影響を受けないが,容積分率が0.17以下になると攪拌の影響が現れ,物質移動が律速となる化学反応であることがわかった.また,スケールアップ条件の最適化に必要な攪拌の反応速度への影響を評価した結果,攪拌浮遊動力比で示されるスケールアップ因子(Z)と容積分率0.17で得られる総括物質移動係数との間に良好な相関性を認め,Zが反応抽出の最適条件のスケールアップ因子として有効であることがわかった.
著者
矢沢 久豊
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
1972

博士論文