著者
石川 俊平
出版者
動物遺伝育種研究
雑誌
動物遺伝育種研究 (ISSN:13449265)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-11, 2007

通常ヒトの細胞には遺伝子は2個 (2コピー) あり、片方は父方、もう片方は母方に由来すると考えられてきた。しかし近年、個人によっては1個の細胞あたりに存在する遺伝子が1コピーであったり、あるいは3コピー以上存在するといった遺伝子の数の個人差 (コピー数多型=Copy Number Viariation: CNV用語 (1) ) があることが判明し注目されている。疾患のリスク、様々な薬の治療応答性、副作用の違いといった個人の体質差を生み出す原因として、これまではSNP (一塩基置換多型) に代表される個人間の遺伝子の"配列の違い"が良く知られているが、近年見つかってきたCNVは遺伝子の"数の違い"であり遺伝子をまるごと含むような数Kbp~数Mbpの長さの大きな領域の数が個人間で異なるというものである。
著者
石川 俊平
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

がん細胞はそれ単独での生存は難しく、生体内では常に周囲の間質細胞からの支持シグナルを受け、また逆にがん細胞自身がシグナルを出して生存に適した間質細胞を誘導している。申請者はこれまでにマウスに移植したヒトがん細胞のトランスクリプトームシーケンスから、マウス・ヒト由来の配列の分離によりがん細胞・間質各細胞由来のシグナルとその相互作用のプロファイルを行う技術を確立してきた。本申請では多様ながん種について患者がん組織から直接樹立したPDX(Patient-Derived Xenograft)を体系的に解析し、がん細胞と間質細胞との相互作用の全体像とその多様性をゲノムレベルでの解明を目的とする。平成29年度は、前年度に引き続きデータベースのアップデートをはかると共に様々ながん種のPDXのインターラクトームプロファイルを体型的に解析し、がん種間及び同じかん種でも個体間のがん-間質相互作用の取り得る生物学的レンジを把握し、個別の症例に特徴的かる重要な相互作用の同定を行なった。特定のがん腫で他のがん腫と大きくことなる、がん-間質相互作用が見つかり、治療につながる可能性のあるものも見つかった。またマウス間質側は線維芽細胞、血管内皮、血球細胞など組成がヘテロであるため、それぞれの組成のプロファイルを個別に取得して、トランスクリプトームプロファイルから間質側の細胞組成を推定するアルゴリズム開発を行なった。
著者
宮野 悟 角田 達彦 稲澤 譲治 高橋 隆 石川 俊平 小川 誠司 曽我 朋義
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

システムがんの円滑な計画研究の遂行と、計画・公募研究間の有機的な連携を推進した。毎年、班会議、総括班会議、及び外部有識者による諮問委員会委員を開催し、研究方針の策定、研究進捗状況の把握と内部評価を行った。情報・データ解析系と実験系との研究マッチングをサイトビジット形式で行い、研究支援を行った。アウトリーチ活動としては、ニュースレターを計12発行し、ホームページ、及び多くの論文のプレスリリースを活用して研究成果を社会へ発信した。一般、中学生、高校生を対処とした公開講演会を7回開催した。また、毎年、ソウル国立大学癌研究所の主催するシンポジウムを通して国際交流を深めた。