著者
鈴木 惣一朗 伊東 聰 酒井 憲一郎 稲田 由江 三吉 郁夫 石川 裕 宮野 悟
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2021-HPC-178, no.18, pp.1-9, 2021-03-08

我々はスーパーコンピュータ「富岳」開発プロジェクトのターゲットアプリケーションのひとつとして,ヒト全ゲノム解析プログラム Genomon の「富岳」向け移植と最適化を行ってきた.本稿では,その最適化内容と「富岳」での性能評価について報告する.Genomon の実行性能はディスク I/O 性能に依存するため,特に「富岳」に実装された LLIO(Lightweight Layered IO-Accelerator)ファイルシステムをどのように活用したかを中心に報告する.また,Genomon のスループット性能向上のために試みた複数パイプライン同時実行についても報告する.
著者
斎藤 正也 井元 清哉 山口 類 宮野 悟 樋口 知之
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.63, 2014

インフルエンザに対する効果的な介入や注意喚起を行うためには、数理モデルを活用した流行予測が欠かせない。感染伝播ダイナミクスを考慮した日本全国の流行モデルを構成する場合、都市間相互の影響を取り入れるのは自然と考えられるが、定点動向調査結果に見られる複数地域での同期した感染者急増はそのことを支持している。そこで、本研究では都市間相互の影響を考慮したモデルの候補として、確率的に要素(地域)間の結合を取り入れた、連結SIRモデルを候補モデルとし、47都道府県での週毎の定点当感染者数を同化することで連結の強さを決めるパラメータを推定する。パラメータ推定にはMCMCを用い、各パラメータ設定での尤度評価を軽量に保つために、カルマンフィルタを適用可能にする近似を行った。また、地域毎の感染者数時系列は、連結強度の推定に十分な情報を持たないと考えられるため、地域間の人の移動件数の統計である都道府県間流動表を推定の事前分布の設計に用いた。
著者
斎藤 正也 井元 清哉 山口 類 宮野 悟 樋口 知之
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第63回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.51, 2014 (Released:2015-02-24)

インフルエンザに対する効果的な介入や注意喚起を行うためには、数理モデルを活用した流行予測が欠かせない。感染伝播ダイナミクスを考慮した日本全国の流行モデルを構成する場合、都市間相互の影響を取り入れるのは自然と考えられるが、定点動向調査結果に見られる複数地域での同期した感染者急増はそのことを支持している。そこで、本研究では都市間相互の影響を考慮したモデルの候補として、確率的に要素(地域)間の結合を取り入れた、連結SIRモデルを候補モデルとし、47都道府県での週毎の定点当感染者数を同化することで連結の強さを決めるパラメータを推定する。パラメータ推定にはMCMCを用い、各パラメータ設定での尤度評価を軽量に保つために、カルマンフィルタを適用可能にする近似を行った。また、地域毎の感染者数時系列は、連結強度の推定に十分な情報を持たないと考えられるため、地域間の人の移動件数の統計である都道府県間流動表を推定の事前分布の設計に用いた。
著者
合原 一幸 宮野 悟 鈴木 大慈 奥 牧人 藤原 寛太郎 中岡 慎治 森野 佳生
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

1. 数理モデルに基づく前立腺がんの内分泌療法と他の疾患への展開前立腺がんに関しては、PSA(Prostate Specific Antigen: 前立腺特異抗原)という高感度のバイオマーカーが存在するため、数理モデルの性能を PSAデータを用いて定量的に評価することが可能である。平成28年度は、昨年度までの解析をさらに進めると共に、統計的機械学習理論を用いて、不十分なPSA時系列データからの予後予測を目指した拡張手法の研究および数理モデルによる分類と癌の転移との関係性についての検討を行った。2. 動的ネットワークバイオマーカー理論の発展とその応用本研究では、病態の変化を一種の複雑生体ネットワークの動的な状態遷移としてとらえ、疾患前後で先導して不安定化する生体ネットワークの部分ネットワーク (動的ネットワークバイオマーカー DNB) を効率的に検出する数理手法とアルゴリズムを開発している。平成28年度は、これまでの成果をさらに発展させ、あらたな遺伝子発現情報のビッグデータを解析の対象として DNB の有効性を確認した。また、DNB を効率的に検出する数理手法の理論的基盤の整理、観測データから生命システムの複雑ネットワーク構造を再構築する手法の開発、DNB 検出に応用可能なテンソル解析など機械学習手法の開発、腫瘍内不均一性を含めた癌の進化シミュレーションモデルの構築、構成要素の多様性減少による遷移方式および遷移に関わる少数因子の相互作用を記述した数理モデルの構築と分析などを行った。
著者
竹井 祥郎 宮野 悟 兵藤 晋 井上 広滋 坂内 英夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

海は概して生物にとって棲みよい環境であるが、海水の高い浸透圧はそこに生息する魚類に脱水という試練を与える。海水中における体液調節にはホルモンが重要な役割を果たしていると考えられるが、陸上動物におけるバソプレシン・バソトシンのようなきわめて重要なホルモンはまだ見つかっていない。私たちはバイオインフォーマティクスの第一人者である医科学研究所の宮野教授のグループと共に、フグやメダカなど真骨類のデータベースからナトリウム排出ホルモンを探索した。その結果、ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリンなどのナトリウム排出ホルモンが真骨類で多様化しており、独自のホルモンファミリーを形成していることがわかった。さらに、これらナトリウム排出ホルモンが強力な海水適応促進作用を持つことが明らかになった。心臓のホルモンである心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、飲水抑制作用、腸からのナトリウム吸収抑制作用、鯉の塩類細胞を淡水型(吸収型)から海水型(排出型)に変える効果を持っ成長ホルモンやコルチゾルの分泌を促進する作用、尿のナトリウム濃度を上昇させる作用、などを持っ。ANPを海水ウナギに投与すると、飲水量と腸におけるナトリウムの吸収が抑制されるため、血疑ナトリウム濃度が減少する。いっぽうANPの抗体を投与して血液中のANP.をなくすと飲水量が上昇して血漿ナトリウム濃度が上昇する。また、腸のホルモンであるグアニリンは、腸の管腔側に分泌されて上皮細胞の管腔側の膜にあるクロライドチャネルを活性化してナトリウムを分泌させる。その結果、Na-K-2Cl共輸送体が活性化されて水の吸収が促進される。このように、グアニリンは哺乳類ではClを管腔に排出させることにより下痢を起こさせるホルモンであるが、魚類では2分子のClを排出することにより4分子のイオン(Na, K, 2Cl)を吸収するためそれにともない水が級数され、その結果海水適応が促進される。以上、本研究によりこれまで未知であった主要な海水適応ホルモンが明らかになってきたといえる。
著者
島村 徹平 井元 清哉 宮野 悟 Shimamura Teppei Imoto Seiya Miyano Satoru
雑誌
データマイニングと統計数理研究会(第 7 回)

Statistical modeling based on vector autoregressive model has been considered as a promising tool to reconstruct large-scale gene networks from time course microarray data. However, it remains a challenging problem due to the small sample size and the high-dimensionality of time course microarray data. We present a novel regression-based modeling strategy with a new class of regularization, called recursive elastic net. Numerical simulations and real data analysis show that the proposed method outperforms other traditional methods.
著者
宮野 悟 角田 達彦 稲澤 譲治 高橋 隆 石川 俊平 小川 誠司 曽我 朋義
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

システムがんの円滑な計画研究の遂行と、計画・公募研究間の有機的な連携を推進した。毎年、班会議、総括班会議、及び外部有識者による諮問委員会委員を開催し、研究方針の策定、研究進捗状況の把握と内部評価を行った。情報・データ解析系と実験系との研究マッチングをサイトビジット形式で行い、研究支援を行った。アウトリーチ活動としては、ニュースレターを計12発行し、ホームページ、及び多くの論文のプレスリリースを活用して研究成果を社会へ発信した。一般、中学生、高校生を対処とした公開講演会を7回開催した。また、毎年、ソウル国立大学癌研究所の主催するシンポジウムを通して国際交流を深めた。
著者
河原 康雄 岡崎 悦明 土屋 卓也 宮野 悟 藤井 一幸
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

研究課題名「計算科学への圏論の応用」で行われた本研究は, 情報化社会を支える基礎理論である情報科学, 計算科学, ソフトウェア科学への数学的基盤を与えるために計画された研究であった. 以下, 本科学研究費補助金によって実施された研究実績を報告する. 1.研究代表者:河原康雄は, 初等トポスにおけるpushout-complementの存在定理証明し, 有限オートマトンによって受理される言語の基礎的性質をカテゴリー論的に整理すると共に, Arbib-Manes等のプログラム意味論を初等トポスにおいて考察した. これらの成果は従来から研究を蓄積してきた関係計算(relational calculus)を駆使して得られたものであり, 西ドイツのEnrigを中心としたグラフ文法等についての研究に新しい視点を与えるものであり, この分野の基礎を与えるものと期待される. 2.分担者:宮野悟は, 計算量の理論においてP≠NPの仮定のもとで効率よく並列化できると思われる, 即ち, NCアルゴリズムをもつ問題として, 辞書式順序で最初の極大部分グラフを計算する問題について考察した. 3.分担者:藤井一幸は, 古典的によく知られている4次元のCursey modelを任意次元の時空間上に拡大し, そのinstaton(meron-)like configurationsを具体的に構成した. さらに, 従来からの研究で構成していた高次元Skyrme modelsに付随したWess-Zumino termsを高次元hedgehog ansatsを使用して具体的に計算した. 4.分担者:岡崎悦朗は, 位相線形空間上の確率測度の研究を中心に研究を遂行し, 昭和62年8月よりCNRSの招きによりフランス・Paris V大学において研究を継続中である. 5.分担者:土屋卓也は, 境界要素法よって極小曲面を計算機を利用して計算し, 線形常微分方程式の特異点に関する山本範夫の定理を線形代数の範躊において一般化した. 現在, 土屋は米国・Maryiand大学において研究を発展させている.