著者
菅 俊行 石川 邦夫 松尾 敬志 恵比須 繁之
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.313-320, 2007-06-30
被引用文献数
5

フッ化ジアンミン銀(サホライド^[○!R])は,齲蝕進行抑制剤および象牙質知覚過敏症治療剤として臨床で使用されている.しかしながら,フッ化ジアンミン銀は塗布後に銀の沈着による歯の黒変が起こる.したがって,フッ化ジアンミン銀は主に乳歯に使用されている.この欠点を改良するために,フッ化ジアミンシリケートを調製した.銀の代わりにシリカを導入した理由は,シリカは歯質の変色を起こさないこと,そして擬似体液からアパタイトの生成を誘導するからである.本研究の目的はヒト口腔内を模倣した環境下において,フッ化ジアミンシリケート処理後の象牙細管封鎖効果と持続性を評価することである.フッ化ジアミンシリケートの象牙細管封鎖効果は,ヒト抜去歯を用いて評価を行った.フッ化ジアミンシリケート処理直後および人工唾液浸漬7日後の象牙質プレートの表面を,走査電子顕微鏡(SEM)にて観察を行った.SEM観察の結果,開口象牙細管はフッ化ジアミンシリケート処理直後にはシリカ-リン酸カルシウム結晶により完全に封鎖されていた.さらに,人工唾液浸漬7日後には象牙質表面は新たに生成した結晶により覆われていた.EDXA分析によると,フッ化ジアミンシリケート処理直後に象牙細管内に析出した結晶はシリカ,カルシウム,リンを含有しており,シリカ-リン酸カルシウム結晶であることが明らかとなった.その結晶のカルシウムとリンのモル比はフッ化ジアミンシリケート処理直後には2.02であったが,人工唾液浸漬後には徐々に減少した.一方,象牙質表面に新たに生成した結晶は実験期間を通して,ほぼ一定の値(Ca/P=1.16〜1.28)であった.周囲の管間象牙質と比べて有意に低い値であることから,おそらくカルシウム欠損アパタイトが析出していると推察された.フッ化ジアミンシリケート処理は人工唾液中からリン酸カルシウムの析出を誘導し,したがって,ヒト口腔内を模倣した環境下において,持続的な象牙細管封鎖能を有することが明らかとなった.
著者
古賀 のり子 都留 寛治 戸井田 力 高橋 一郎 石川 邦夫
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会誌 (ISSN:18844421)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, 2014-09-20

Effect of treatment condition on carbonation of calcium hydroxide compact was examined. The result indicated that 100% relative humidity was quite effective for carbonation of calcium hydroxide compact. When calcium hydroxide compact was prepared under high compaction pressure, the calcite block with high mechanical property could be obtained after the carbonation although it took longer time to transform to calcite. High temperature more than 200℃ could enhance the carbonation, however, the heating more than 600℃ facilitated calcium oxide formation which caused lower mechanical property.
著者
藤澤 健司 宮本 洋二 石川 邦夫 湯浅 哲也
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

われわれは水酸化カルシウムを出発物質として、焼結反応なしに低結晶性炭酸アパタイトの開発に成功している。炭酸アパタイトの粒径の違いによる吸収と骨形成に及ぼす影響を検討したところ、顆粒径の小さいものほど吸収が大きく、また骨形成が大きくなることが示された。さらにウサギのサイナスリフトの実験では、骨置換性と吸収性に優れ、骨補填材として有用であることが示唆された。