著者
石澤 孝
出版者
信州大学教育学部
雑誌
信州大学教育学部紀要
巻号頁・発行日
vol.101, pp.45-54, 2000-12-25
著者
石澤 孝
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.129-138, 2002-08-26
参考文献数
16

本研究は, 冬季オリンピックの開催にともなう長野市の都市化の現状を, 特に農地の公的転用という観点から検討したものである。その結果は以下のようにまとめられる。<br>第18回冬季オリンピックが, 1998年2月に長野市で開催された。国際オリンピック委員会が冬季オリンピックを長野市で開催することを決定したのは, 1991年のことである。それ以降長野市においては, 新幹線の開業や上信越自動車の建設などの高速交通網の整備が行われた。また, オリンピック施設やアクセス道路およびその付帯施設が建設されるなど, 都市的基盤の整備が進められた。これらの都市的基盤の建設用地の多くは, 農地の転用, 特に農用地区域における農地転用によって生み出された。その結果, 1989年約25,000haあった農業振興地域は1998年までに1%の減少にとどまったのに対し, 1989年に7,700haあった農用地区域は, 同期間に5%近い減少をみせている。このように急速な農用地区域の解除が行われたため, 今後は, 特に農用地区域の解除をともなう都市基盤の整備は難しくなると推察される。
著者
石澤 孝 小林 博
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.30-40, 1991
被引用文献数
2 3

わが国においては, 1970年代に宿泊施設の数が急増している。これをホテルと旅館に分けてみると, 1972年頃に旅館数が頭打ちになり, 代わってホテル数が急増した。長野においても同様の傾向が認められる。長野における旅館とホテルの分布は大きく異なっている。旅館が善光寺の門前やその周辺を中心に立地しているのに対して, ホテルは長野駅周辺地域を中心として立地している。また, ホテルはそのほとんどが都心地域に立地しているのに対して, 旅館は都心地域外に立地しているものも多い。規模は, 旅館よりもホテルのほうが大きい。また, ホテルが立地しているところの路線価格は, 旅館が立地しているところに較べて高く, 価格の上昇率も高い。さらに, 路線価格の高いところに立地しているホテルのなかには, 旅館がその営業形態を変更したものも認められる。<br>以上のように, 都心の拡大と核心地域の移動がみられる都市においては, かつての核心地域には旅館, 新しい核心地域にはホテルという宿泊施設分布の差異が生じている。すなわち, 都市地域における宿泊施設は都心のメルクマールとなるものであり, 旅館が集中して立地している地域は高度経済成長期以前の核心地域, ホテルが集中して立地している地域はそれ以降に形成された核心地域と考えることができる。
著者
阿部 隆 石澤 孝
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

名古屋市の都心ならびに都心周辺地域の既知利用の分布について、全市域的に修正ウィーバー法による土地利用の組合せの分析を行なって都心地域を画定し、画定された地域については、その中の建物の用途と階数を悉皆調査した。そして建物階数の分布や街区を代表する建物用途の分布の分析などを総合すると、名古屋市の都心ならびに都心周辺地域の土地利用の分布構造とその変化は、一部の用途に特化した核心地域と、それらの用途の周辺への拡大ならびにそれらの用途との機能的関係にもとづく土地利用変化によってもたらされていると考えられる。その用途による核心地域とは名古屋市の場合には、次の5種類が考えられる。1、シビックセンター(三の丸地区)、2、ビジネスセンター(名駅、錦、栄地区)、3、コマーシャルセンター(名駅、栄地区)、4、エンターテインメントセンター(錦、栄地区)、5、トランジットセンター(椿、金山、今池地区)次に近年の都心地域の土地利用の分布ならびにその混合構造の変化について建物用途現況図を資料として分析した。混合構造分析の結果は、ほとんどの用途の組合せにおいて、有意な混合・分離関係が認められず、名古屋市の都心地域の土地利用の分布が非常にランダムであることが明らかとなった。しかし、1967年と1986年には娯楽と教育との間に、1976年には官公庁と教育との間に弱い分離関係がみとめられた。また1986年には工業と工業的サービス、1986年には工業ならびに工業的サービスと公園との間に弱い結合関係が認められた。カナダのトロント市の中心地域の土地利用分布についても混合構造分析を適用した結果、住居を中心とする居住系の土地利用グループと工業を中心とする生産系の土地利用グループについて、グループ内の強い混合関係とグループ間の分離関係が明らかとなった。