著者
神田 龍身
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.15, pp.222-203, 2017-03-01

平安時代の西暦九百年前後には、『竹取物語』『古今和歌集』『土佐日記』等の仮名文字テクストが相次いで成立する。そして、それを受けて、『うつほ物語』『源氏物語』『狭衣物語』等がさらに登場してくることになる。漢文テクストというエクリチュールが正統の言語状況下にあって、このような仮名文字テクストとは何なのか。仮名が表意文字ではなく、音声還元主義の言葉であることから、これはパロール(音声言語)の問題をぬきにしては考えられない。しかし、仮名も文字には違いないのであり、この仮名という視覚を媒介した音声なるものは音声それ自体ではない。また漢文テクストも音読されたり、演説の言語として使用されたりして、パロールとしての言語空間を構成することもある。ジャック・デリダの「原エクリチュール」という概念を参考にして、平安時代の仮名テクストをめぐって、西洋とは異なる日本固有の「パロール/エクリチュール」の関係構造を考えてみたい。 Texts written in kana, such as the Taketori Monogatari, Kokin Wakashū and Tosa Nikki, came into being one after another around 900 in the Heian Era. Influenced by those texts, the Utsuho Monogatari, Genji Monogatari and Sagoromo Monogatari followed. What is the meaning of the kana literature in a context in which Classical Chinese was the authoritative written language? It is impossible to answer this question without consideration of parole (spoken language) because kana characters are not ideograms but phonograms. They, however, must be characters; thier sound through the sight is not the voice itself. In contrast, Classical Chinese can bring the language space as parole by means of reading aloud or using as a speech. Referring to the concept of "archi-ecriture" presented by Jacques Derrida, this paper examines the relationship of parole / ecriture in the kana texts of the Heian Era, which is charateristic of Japanese language and differs from Occidental ones.
著者
神田 龍身
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.29-46, 1990

物語の主人公の世代交替を円滑にするシステムとしての「男色」の持つ意味について考えてみた。一言でいえば、「暴力」排除のための「男色」ということになる訳だが、物語個々において微妙な差があり、それを分明にすることに論のポイントを置いてみた。また、物語文学史総体の中で、かかる鎌倉物語がいかなる位置を占めるのか、一応それをも測定してみた。
著者
神田 龍身
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.29-46, 1990-12-10 (Released:2017-08-01)

物語の主人公の世代交替を円滑にするシステムとしての「男色」の持つ意味について考えてみた。一言でいえば、「暴力」排除のための「男色」ということになる訳だが、物語個々において微妙な差があり、それを分明にすることに論のポイントを置いてみた。また、物語文学史総体の中で、かかる鎌倉物語がいかなる位置を占めるのか、一応それをも測定してみた。
著者
神田 龍身
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.68-69, 1992-10-15