著者
小林 良彦 中世古 貴彦
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.3-16, 2019-07

科学技術コミュニケーター像の探求に有益な情報提供を行うための試行調査として,求人・求職支援ポータルサイト「JREC-IN Portal」に掲載された求人情報の分析を行った.本研究では,5カ月間の調査を通して得た83件の求人情報における雇用条件や応募要件,また,そこから読み取れる職務や職能の実情を調べた.結果として,それらの求人情報を,URAや産官学連携コーディネーターを含む「URA相当」,研究機関や研究プロジェクトの広報担当者から成る「科学広報」,ジオパーク専門員を含む「科学館スタッフ」,そして,ファンドレイザー等の「その他」に大別することができた.さらに,担う職務や求められる職能が求人情報において詳述されていない,という現状も明らかにすることができた.これらの結果からは,想定する職種分類に応じた科学技術コミュニケーター養成のコンテンツ開発が求められること,そして,科学技術コミュニケーターの専門的な能力が未だ十分に認知されていない状況が示唆された.
著者
木村 拓也 荒井 克弘 大塚 雄作 林 洋一郎 西郡 大 立脇 洋介 中世古 貴彦 竹熊 尚夫 花井 渉 田中 光晴 渡辺 雅幸 牧 貴愛 関口 洋平
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は,大学入学者選抜統一試験が、高等教育の大衆化・国際化・情報化という大きな変化の中で、如何に制度としての公平性・公正性を担保しているのかについて学際共同研究を行うものである。資格試験制度と選抜試験制度とがモザイク状に混在するアジア各国の大学入試制度に着目し、時代の変化と共に制度設計が益々困難となりつつある、大学入学者選抜統一試験に焦点を当てる。本研究では、教育計画論の立場から大衆化に代表される変化の中での大学入学者選抜統一試験の課題を理論的に精査し、比較教育学の立場からその制度変容(改革経緯)と制度設計の具体を精査し、社会心理学の立場から受験生の納得感を公正知覚の観点で計量分析を行う。
著者
中世古 貴彦
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.195-212, 2018-05-25 (Released:2019-05-25)
参考文献数
41

本稿は,近年深刻な財政難に苦しむカリフォルニア州の高等教育における公立研究大学と州議会との対立に注目し,機能別分化政策的な解釈,大学理事会と政府との葛藤を直視しない立場,政策転換自体が必要とする観点からは見出し難い,同州のモデルが含意する大学の自律性の現代的な意義を検討する.財政難の中で州民への背信ともとれる行動をとったカリフォルニア大学に対し,州議会は統制強化を試みた.だが,公的使命の遵守を求めた公権力の介入は,大学が公的使命を果たすことを一層困難にしようとしていた.こうした対立を乗り越え,旗艦州立大学が卓越性追求を維持しつつ社会的使命を果たし続けるためには,政治的独立性に裏打ちされた真正な自律性が極めて重要であったことが明らかとなった.