著者
村﨑 謙太 甲斐 嘉晃 遠藤 広光 福井 篤
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.20-044, (Released:2021-05-10)
参考文献数
23

Snailfishes (Cottoidei: Liparidae) are a large, morphologically diverse group of marine fishes, comprising about 32 genera with over 430 species worldwide. Among them, Osteodiscus Stein, 1978 is primarily distinguished from other genera in having a unique skeletal pelvic disk covered only by thin skin. Three species of the genus are currently known: Osteodiscus cascadiae Stein, 1978 from the eastern North Pacific; Osteodiscus andriashevi Pitruk and Fedorov, 1990 from southern Sea of Okhotsk; and Osteodiscus rhepostomias Stein, 2012 from southeast of New Zealand. During a taxonomic study of snailfishes, a single female specimen of Osteodiscus (150.3 mm in standard length) collected off Iwate in a depth of 1,997–2,108 m, was discovered in the fish collection of the National Museum of Nature and Science, Japan (NSMT). The specimen, characterized by 60 vertebrae (total), 54 dorsal- and 49 anal-fin rays, a horizontal mouth, simple blunt teeth on both jaws, some teeth with lateral cusps on the tip, an unnotched pectoral fin, and the presence of epipleural ribs and a reduced epural, was identified as O. andriashevi, previously known only from the holotype and three paratypes. The present specimen represents the first record of Osteodiscus from Japanese waters and the southernmost record of O. andriashevi. The new standard Japanese names “Hariban-kusauo-zoku” and “Choja-hariban-kusauo” are proposed for the genus and species, respectively. Based on the present specimen, the species diagnosis was partly revised.
著者
水澤 信之 福井 篤
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.149-152, 2009

An opisthoproctid fish, Dolichopteryx parini, was reported for the first time from Japanese waters, on the basis of a single specimen collected off the Pacific coast of Aomori Prefecture. The species has previously been recorded from the northern part of the Sea of Okhotsk, and other northern and eastern regions in the North Pacific Ocean. The Aomori specimen represents the southernmost record of the species.
著者
福井 篤
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.8-11, 1962 (Released:2009-09-04)

北海道宗谷本線の問寒別 (といかんべっ) と雄信内 (おのつぶない) との間に, 天塩川の屈曲にそってかなり長い鉄橋がある。下平陸橋と呼ばれ, 全長約140m, 河を越えているわけでないから陸橋と呼ばれている。この鉄橋が昨年 (昭和36年) 1月26日なだれのため一瞬にして破壊された記憶はまだ新しい。このときのなだれの状況や事故の経過については, 本誌のVol.23.No.2に旭川鉄道管理局保線課長の福山氏が詳しく報告されている。
著者
伴 和幸 髙見 宗広 冨山 晋一 福井 篤
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.117-121, 2013-11-05 (Released:2015-12-26)
参考文献数
10

Two chiasmodontid specimens (110.2–232.0 mm in standard length), collected off Shikoku, Japan, represent the first records of Kali colubrina Melo 2008 from Japanese waters, being distinguished from six congeneric species by the combination of a unique dentition pattern (two rows of recurved caniniform teeth on the premaxilla and dentary, not developed as fangs, 12–22 lateral and 5–9 mesial teeth on the premaxilla, 8–18 lateral and 5–10 mesial teeth on the dentary, mesial teeth larger than adjacent lateral teeth), 23–26 second dorsal-fin rays, 23–25 anal-fin rays and 39–41 vertebrae. The new Japanese name “Jaguchi-bouzugisu” is proposed for the species.
著者
髙見 宗広 遠藤 広光 福井 篤
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.21-010, (Released:2021-05-10)
参考文献数
13

The alepocephalid genus Conocara Goode and Bean, 1896 is characterized by the dorsal-fin origin located posterior to the anal-fin origin, dorsal-fin base shorter than the anal-fin base, body covered with small scales (> 80 in longitudinal row above the lateral line), tubular lateral line scales, the maxilla toothless, upper jaw equal to or longer than the snout, and photophores absent. Six specimens of Conocara werneri Nybelin, 1947, collected from Hyuga-nada Sea, Japan in a depth of 1,453–1,481 m, on 3 April 1991, are distinguished from all congeners by the following combination of characters: 17–20 dorsal-fin rays, 30–34 anal-fin rays, 159–179 longitudinal series scales above the lateral line, 19–22 scales between the dorsal fin insertion and lateral line, 25–32 scales between the anal fin insertion and lateral line, premaxillary bony crests present, the upper jaw reaching a vertical through the orbit anterior margin, an uninterrupted inner row of gill rakers on the first gill arch, the absence of palatine teeth, and raised insertions of the dorsal and anal fins with well-developed anterior cariniform skin folds. The gut contents of the six specimens represented the following higher taxa: Amphipoda, Copepoda, Ostracoda, Gastropoda (conch), Diatoma, Pyrosomata, and Foraminiferida. Four specimens possessed 113–550 developed ovarian eggs (maximum diameter 4.6 mm). Conocara werneri has been recorded previously only from subtropical zones of the eastern Atlantic and off New Zealand (south-western Pacific), the present specimens therefore representing the first record of the species from Japanese waters and northernmost record in the Pacific Ocean. The new standard Japanese name “Sedaka-yajiri-iwashi” is proposed for the species.
著者
杉本 隆成 澤本 彰三 福井 篤 岡田 喜裕 萩原 直樹 仁木 将人 郭 新宇 金子 新 郭 新宇 金子 新 田所 和明
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

駿河湾の急潮およびサクラエビの再生産環境に注目した流況と生態系の観測網を構築した。駿河湾を東西に横断するフェリーに搭載した音響ドップラー式流速鉛直プロ ファイラーADCPと、湾口および湾奥部における係留型の流速計による連続観測と、調 査船による水質およびプランクトンの隔週反復観測を中核としている。これらによって、後述するような成果が着々と得られつつある
著者
伴 和幸 福井 篤
出版者
日本魚學振興會
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.45-48, 2012

著者らは,房総半島沖,小笠原北東沖および九州南東沖から採集され,千葉県立中央博物館(CBM)および国立科学博物館(NSMT)に所蔵されていたトゲボウズギス属の4標本を精査した結果,これらはDysalotus oligoscolusに同定された。本報告では,これらの標本の形態を記載し,新標準和名を提唱する。
著者
水澤 信之 福井 篤
出版者
日本魚學振興會
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.149-152, 2009-11-05

全世界の中深層に分布するヒナデメニギス属魚類は、伸長する体、管状あるいは小袋状で背面あるいは斜め前方を向く眼、2本の鰓条骨、数列の鋤骨歯、および透明な皮膚と腹膜に覆われる消化管によって特徴づけられ、幼形成熟をすることが知られている。今回、著者らが青森県太平洋沖で採集され、国立科学博物館(NSMT)に所蔵されていたヒナデメニギス属の1標本を精査した結果、Dolichopteryx pariniと同定された。本種は小袋状で伸長しない眼、背鰭基底下に位置する臀鰭基底始部、および伸長する胸鰭条と腹鰭条などによって特徴づけられる。本種はKobylianskii and Fedorovによって、オホーツク海の北部および北太平洋の北部と東部、さらに日本周辺海域およびカリフォルニア沖にも分布すると報告された。しかし、日本周辺海域およびカリフォルニア沖からの標本は別種であり[前者はヒナデメニギス、後者はMoserのD. sp.]、日本周辺からはD. pariniは今まで知られていなかった。よって、本研究では、これを日本初記録として報告するとともに、本種に新標準和名を提唱し、その形態を記載した。
著者
福井 篤
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.1-10, 1964-02-29 (Released:2009-11-12)

今日, 雪氷学と称せられる分野において, 氷の結晶の問題から, 積雪・融雪の物理学的問題に至るまで, 学問的体系をととのえてきたのは, 最近ほぼ10年位の進歩によるものであろう。氷の結晶, 雪の結晶及び降雪現象については, 雲物理学の進農も含めて純基礎的学問の分野で進められてきたが, 積雪現象については, 従来主として応用科学的に取扱われ, 特に産業分野における防災対策上の問題として研究が進められてきた。特に, 多雪による大災害の発生を見ると急速にその対策研究が要望され, 昭和9年, 11年, 15年等の大雪年の際は, 農林業・鉄道などの被害が大きく, これらの分野では, 積雪による直接災害に対する対策に必要な調査研究が個々に行なわれるようになった。戦後に至ってやや暖冬の傾向にあった時期においては, 雪に対する研究調査の必要性は, 世間的に認められるところではなかったが, 産業構造の発展によって, 各分野における積は的な対策研究が進められたほか, 積雪現象の純学問的な取扱いがなされるようになってきた。近年に至り, 両者の歩み寄りが次第に深まりつつあるときに当って, 昭和35~36年の新潟における豪雪, そして今回の北陸地方から西日本一帯を襲ったいわゆる38。1豪雪となった。従来の産業分野における十数年にわたる対策研究も相当の効果があったにもかかわらず, 再度大災害をまねく結果になった。このため, 雪害対策について再び大きな話題を呼び, 多くの対策研究の再検討と同時に雪 (この場合降雪積雪現象を対象として) そのものに対する基礎的研究の必要性が論ぜられるようになった。しかしこのことを論じるに当っては, 特に38.1豪雪に際しての災害の実態が何であったか, また今日の雪に関する基礎的研究がどのような現状にあるかを見はめなければならないであろう。38.1 豪雪による災害の実態については, 各方面で調査が試みられ, それぞれの分野における被害の様相が発表されているものもあるが, 相互の関連性についての究明がなされていない面もあり, 真の意味の災害の様相がつかみにくい。また一方一般的に雪害というものがどのような形態で発生するかについてもいままで総合的に調査されたものが少なく, 社会科学に立った対策に至っては全く未開発の問題にもなっている。これらの点も考えて, 現在雪国のおかれている地理的社会的条件と雪との相互関係及びこの問題を解決する基礎的な雪そのものに関する研究との連繋について考える必要があろう。このような意味において, 雪に関する研究調査の現況と問題点を述べてみたいと思うが, 積雪学という立場における理論的発展過程については, 本誌の吉田順五先生によって詳しく述べられておるので, ここでは, 主に雪害の防災的見地に立って述べることにしたい。