著者
今井 佐恵子 松田 美久子 藤本 さおり 宮谷 秀一 長谷川 剛二 福井 道明 森上 眞弓 小笹 寧子 梶山 静夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.112-115, 2010 (Released:2010-04-26)
参考文献数
9
被引用文献数
5

2型糖尿病患者を対象に,野菜を米飯の後に摂取した場合と米飯の前に摂取した場合の,摂取後の血糖値および血清インスリン値を無作為クロスオーバー法により調べた.野菜から先に摂取すると,米飯から先に摂取した場合と比較して,30分後の血糖値は217±40 mg/dlから172±31 mg/dl(p<0.01),60分後は208±56 mg/dlから187±41 mg/dlと低値を示した.インスリン値も30分後,60分後共に有意に抑制された.「食べる順番」を重視した容易な教育方法が食事指導に重要であると考える.
著者
長谷川 由佳 岡村 拓郎 濵口 真英 本田 晶子 高野 裕久 福井 道明
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第49回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-134, 2022 (Released:2022-08-25)

【背景】マイクロプラスチック(MP)による環境汚染が拡大し、MP及びMPに含有される化学物質の健康影響が懸念されており、環境中の化学物質による生活習慣病の悪化が報告されている。本研究では欧米化食のような高脂肪食を摂取することで起こる腸管炎症(Leaky Gut症候群)に注目し、MPが、肥満・糖尿病に及ぼす影響を調査することで、MPの代謝系への毒性を明らかにする。【方法】現代食のモデル食として高脂肪食 (HFD)を用いる。C57BL/6Jマウス(♂・8週齢、各群10匹)にHFDを4週間給餌し、腸内炎症並びに脂肪肝・糖尿病を発症させる。粒子曝露群に蛍光標識したMP標準品(ポリスチレン、径0.45–0.53 µm)を1000 µg/mLで経口投与した。病理組織学的所見、各組織の遺伝子発現、炎症・免疫応答、糖・脂質代謝障害、ガスクロマトグラフィーにより組織中のメタボライトを評価した。【結果】HFD群とHFD+MP群に有意な体重差は認めなかったが、耐糖能障害はHFD+MP群で有意に増悪しており、肝酵素や血清脂質の上昇を認めた。肝組織において有意な脂肪肝の悪化を認めた。蛍光顕微鏡ではHFD+MP群において蛍光標識したMPの粒子が小腸の腸管粘膜に蓄積しており、便中の短鎖脂肪酸濃度が有意に低下していた。また、フローサイトメトリーで小腸粘膜固有層の炎症細胞の動態を評価したところ、HFD+MP群では1型自然リンパ球の有意な増加、3型自然リンパ球の有意な減少を認め、TnfaやIl1bなどの炎症関連遺伝子がHFD+MP群で有意に上昇した一方で、Il22の発現は低下していた。【結語】MPは腸管炎症を惹起し耐糖能障害をはじめとした種々の代謝障害の増悪を引き起こす。本研究は、高脂肪食下での代謝障害を改善するために、環境対策によりMPの経口曝露を低減する必要があることを示唆している。
著者
今井 佐恵子 福井 道明 小笹 寧子 梶山 静夫
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では「食べる順番療法」の長期間の影響を調べるため、栄養指導を実施した介入群と対照後の血糖値、HbA1cおよび動脈硬化の進展をあらわす頚動脈内膜中膜複合体肥厚度(IMT)を比較検討した。平均4.4年後のHbA1cは介入群においてベースラインより有意に低下したが、対照群では変化がみられなかった。Max IMTおよびmean IMTは両群とも介入前後で統計的有意差はなく、群間の差もみられなかった。両群とも長期間のIMTに変化がみられなかったのは、食事療法だけでなく薬物による血圧、血清脂質管理によってIMTの経年変化が抑制されたと考えられる。
著者
宇野 賀津子 八木 克巳 武曾 恵理 福井 道明 室 繁郎
出版者
財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

新型インフルエンザ等易感染性疾患や重症化しやすい疾患、またその病態とIFN システムにつ いて検討する計画をたてた。しかしながら、新型インフルエンザは2010 年以降大きな流行が なく、当初計画した研究を遂行できなかった。そこで感染重症化リスクの高い、糖尿病、MPO-ANCA 腎炎、慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)患者と健常人のIFN 産生能を比較、これら疾患患者では健 常人に比べて有意に低下している事、MPO-ANCA 腎炎患者ではプラズマサイトイド樹状細胞数の 著しい低下や血中IFN の存在を明らかにした。COPD 患者では、憎悪回数とIFN 産生能との関連 性は認められなかったが、糖尿病患者では、歯周病罹患群でIFN 産生能が特に低下していて、 IFN システムは易感染性と関連している指標として有用である可能性が示唆された。